056.鎖



お前が、悪いんだよ。

俺以外のヤツに話しかけたりするから。

俺以外のヤツに笑顔を向けたりするから。

だから、俺はこうするしかないんだよ。




―――ジャラ…ッ。




お前が、俺以外の誰とも会わないように。

お前が、俺以外の誰とも笑いあわないように。

俺以外の誰も、お前の笑顔を見ることがないように。

俺以外の誰も、お前の声を聞くことがないように。




「…ゆ、ぃち…」




あぁ、ちょっと痛かったかな?

その切なげに俺を呼ぶ声、大好きだよ。

でもゴメンね。外してあげることはできないんだ。




ねぇ、竜也…。

これからお前はずっと、俺と二人だけの世界で生きていくんだよ。

この鎖は、そのためだけに必要だったんだ。

だって、永遠にお前を俺だけのものにするために、繋ぎ止めておかなくちゃならないんだから。




でもよかったよ。

竜也、鎖とか好きだったもんな。

俺はお前を繋ぎ止めることができて。

お前は大好きな鎖で繋がれて。

ほら、嬉しいでしょ?

ね、お互い満足でしょ?




もちろん、この部屋には誰も入れさせやしないからね。

俺が出かけるときも、ちゃんと鍵をかけていくから心配しないで。




―――ジャラ…。




小さな身体が身動きをする度に鳴る、この独特の金属音。

竜也の四肢と首に繋がっている鎖が奏でる音は、お前が俺だけのものである証拠。

…俺にとって、最高のハーモニー…。









初めてつけられたときはひんやりと冷たかった鎖も、オレの体温が移って冷たさを感じなくなった。

動かないことが分かっていながら無理に腕を動かしてみる。




―――ジャラ…。




あぁ…。

この音、スキ。

ゾクゾクする。

オレが雄一のものである証拠。

これ以上動かすことができない身体も。

この拘束感がタマラナイ…!




「竜也…これでお前は、永遠に俺だけのものだよ…」




拘束され、そう囁かれたときに全身に駆けめぐった感覚は紛れもなく“悦び”。

あの凄まじいほどの快感を雄一に伝えたいのに、どのように伝えればいいのかわからない。




ねぇ、雄一…。

オレが他の人と喋ったりするの、雄一は気に入らないんだよね?

でもね。

雄一以外の人と話しても、オレにとっては花に話しかけるのと同じこと。

言葉を返すことのない花に、笑いかけるのと同じこと。

だから、雄一以外の人と会えなくなっても、笑いあうことができなくなっても、全然平気。

むしろオレの全てを雄一にだけ晒すことができて嬉しいんだ。




もう俺の目は、雄一の姿しか映さない。

声も、雄一のためだけに紡ぐ。




ウレシくて。

シアワセで。

ヨロコビで。

カイカン。




もっとキツク縛ってくれたっていいのに。

鎖で傷つき血を流しても、その痛みさえオレには快感なんだ。

雄一がしたことだから。

雄一がすることなら全部、この身体全てで受け止めたいよ…。




―――ジャラ……ジャラ…ッ。




あぁ…愉しい。

この音…動かない身体…。

…最高に…幸せ…。











狂っている中丸と更に狂っている上田。を書いてみたかったのです…。

裏Story

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