over18

S M L XL B

運動中

 体の下で白い背がしなる。
 汗に濡れた胸は光って扇情的で、それが判っているのかいないのか、達哉は存分に淳の視線にその胸を晒した。
 両の乳首は何度も嬲られた為に腫れたように赤く膨らんでいる。
「綺麗だよ、達哉・・・」
 腰だけ高く上げさせて、内部を存分に犯しながら、そんな風に囁いてみる。
 忘我の極地にいる達哉には、どうせ聞こえていまい。
 後から流れ出てくる涙と雫は、視界から淳の中枢を限りなく刺激する。
 勿論、肉の締め付けも文句がないくらいイイのだ。
 意識は霧散しているものの、声を上げまいとは思っているのか、必死に引き結ぶ口は、呼吸の苦しさから解けそうになっている。
 とっとと降参すれば良いのに。
 声を聞きたい淳としては、無理矢理口をこじ開けてやろうかとも思うのだが、それだともしも達哉の意識があったとして、後で拗ねまくられるのは目に見えているので、そうはしないでおく。
 障害は少ない方が良い。
 行為に嫌悪を覚えられたら、淳としてはピンチなのだ。
 ただでさえ、達哉はこういう行為にはあまり乗り気でない。
 無理矢理こじ開けるのが無理なら、自分から開けるようにすれば良い。
 淳は、角度を変え、タイミングをずらし、あらゆる攻め方で達哉をよがらせる。
 鼻だけでは足りない酸素を得る為に口が解けた一瞬を見逃さず、達哉の一番良い場所をこすり上げた。
「あぁぁぁぁ!」
 声が出たことで、聴覚に刺激を受けた達哉の体が、一気に臨界点に近付く。
 はちきれそうに膨らんだ前を、軽く握りこみ前後に動かすと、楽しいくらいに腰が踊る。
「綺麗だよ・・・達哉」
 もう一度、淳は呟いた。



「うっわ・・・」
 起き上がった途端、淳は思わず声を上げた。
 ベッドがガビガビになっている。
 またぞろ達哉を犯す夢を見て、散々夢精したらしい。
 夢だというのに、しっかりパジャマも脱いで全裸になっているのが、恐いところだ。
「僕って奴は・・・」
 ベッドから降りると、なんだか情けない気持ちになりながらシーツをはがす。
 どうせもう両親もいない身の上であるのだから、何はばかることなく洗濯も出来ようものだ。
 今日は一日休息日と決められた日だから、溜まった洗濯ものと一緒に掃除もするか・・・。
 仕事を持つ主婦のように考えた淳は、シーツを丸めて持ち洗面へ。
 洗濯機はここに一緒に置いてある。
 全く家事というものをしなかった母の順子には不似合いな高機能洗濯機。これは淳が選んで買い換えてもらったものだ。洗濯物を入れて洗剤を入れて――柔軟材を少しばかり入れてから、スイッチポンで洗濯機が回り始める。
「そういえば、今日は弁護士さんが来るって言ってたな・・・」
 行方不明の黒須順子のことについて、その行方を探すべく来訪していいかと、昨日携帯に連絡があったことを思い出す。
「えっと・・・13時だったっけ?」
 時計を見ると、もう直ぐ12時だった。
「お昼でも食べながら、弁護士さんを待つかな・・・」
 洗面を出ようとした時だった。
 背後にあるトイレから物音がした。
 ――ど、どろぼう?
 淳の脳裏を恐怖が過ぎる。
 いや、ペルソナもあることだし、恐れる必要はないとは思うのだが・・・。
 思わず硬直しつつ、トレイを眺める淳。
 その淳の視界の中で、トイレの扉がゆっくりと開いた――。
 で。
「た、達哉?」
 中から出てきたのは、シャツを上半身だけに羽織ったしどけない格好をした、達哉その人であった。
 その姿を見て、淳は絶句・硬直する。
 達哉も同様らしく、呆然と淳を眺めていた。
 しかし・・・。
 なんて格好なのだろうか? これでは、した後でとりあえずシャツを羽織りました、なんという凄い状況ではないか。
 そう思うと、淳の視線は達哉の微妙に見え隠れする股間に集中する。
 おや? 股間が汚れているような気がしないでも・・・? それに、足を伝っているあの白いものはなんだろう?
 首を捻る淳。
 達哉は、沈黙と凝視に耐えられなくなったのか、よろよろとした足取りで淳の横をすり抜けようとする。
 今まさに通り過ぎる。その瞬間、達哉の体が硬直した。
 一体何事だ?
 思った淳の視線の先で、達哉の頬が赤く染まるのが見えた。
 どうしたんだろう?
 というか、何故達哉が家に?
 どうして良いのか判らずに、淳は俯く。俯いて・・・。
 達哉の内股を今まさに伝い落ちる白い液を発見した。
「ま・・・まさか・・・」
 淳は呆然と達哉の横顔を眺める。
 硬直している達哉は、今はもう全身に届く程赤く固まって、言葉もない。
「夢・・・じゃなかった?」
 思わず達哉の尻を触り、双丘の間に指を這わせる淳。
 痴漢に等しい行動をしつつも、本人にその自覚はない上、達哉は硬直し続けていて、抵抗もなかった。
 ぬるり・・・。
 指に滑る感触。
 中央にある、蕾に指を滑り込ませると、驚く程すんなりと淳の指を飲み込んでいく。
「ちょ・・・」
「はぁっ・・・っ」
 驚きで声を上げると同時に、達哉がとんでもなく艶っぽい声をあげ、しゃがみこんだ。
 思わずつるりと抜けた指は、淳の視界でしっとりと濡れていた。
 床には四つんばいになった達哉。呼吸が荒い。
 スイッチが入ってしまったのか、そのまま動かなくなってしまった達哉。
「・・・大変だ・・・」
 淳は思わず洗面を走り出た。
 居間に走りこみ、メモを用意すると玄関へ。
『運動中につき、暫くお待ち下さい』
 メモを玄関に貼り付けると、しっかりと鍵をチェーンまでかけ、再び洗面へ。
 達哉はまだ蹲ったままだ。
 少し躊躇った後、結局背中から達哉を抱き上げた淳は、そのまま部屋に直行。
 シーツをかけてないベッドに達哉を下ろすと、目元を涙で潤ませた達哉の上に乗りあがる。
「えっと・・・」
 淳はそんな達哉に全身を刺激されながら。
「いただきます」
 言った。



 一時間だ。
 弁護士は炎天下の中を一時間黒須家の玄関前で待たされた。
 やっとこ出てきた黒須順子の一粒種は、何故か頬を赤く染めながらも満たされた顔をして、弁護士を居間に通す。
 用件は一つ。黒須順子の捜索だ。
「探偵事務所も使おうと思いますが」
 費用の方は、この弁護士が財産管理をしているので、問題はない。
「お願いします」
 一応は殊勝に頼んだ淳に満足して、弁護士は帰っていった。
 一時間待たされて、対面したのは十分にも満たなかった。
「運動中か・・・」
 言い得て妙だな。思った淳は、二階を見上げる。
 あの後、夢という誤解なくしっかり達哉を散々鳴かせた淳は、達哉本人から、昨夜のことを聞いた。
 家に帰るのが面倒だと言った達哉を誘ったのは淳の方。
 二人で食事を作って食べて、何処に寝るかという話になった時、達哉が淳の部屋を選んだ。
 黒須家は女優である順子の見栄もあって、かなり広く作られている為、使われていない部屋も多い。その中でも、達哉は淳と一緒に寝ると言った。
 しかし、淳は以前から夢精する程達哉を抱きたかった。
 願望が強すぎたのだろう。寝入った達哉に襲い掛かり、抵抗する間も与えずちゃっかり頂いてしまったらしい。
 そして2度目も。
 今はすっかり疲れ果てて、二階にある淳の部屋のベッドの上で睡眠を貪っている達哉。
「なんで忘れてたんだろうな・・・?」
 淳は首を捻る。
 まさか、達哉に嫌われるのが恐いので、全てなかったことにしたかった、などとは気付かない。
 しかし今は、感じまくって殆ど自意識のない状態の達哉にどさくさ紛れで告白し、半ば無理矢理ではあったが返事も貰った。
 晴れて恋人同士になった今では、恐いものは何一つない。
 淳はにんまりと満足な笑みを浮かべ。
「達哉が起きたら、食事にしようね~」
 鼻歌を歌いながらキッチンに向かうのであった。

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