1)縛られた手足
「済まない……」
兄は言った。本当に済まなそうな顔で。
だけどそれは一瞬のこと。
次の瞬間にはニヤリと人が変わったように笑い。
「だけど仕方ないよね。達哉が悪いんだから」
そう、言った。
何のことだ? と問いかけるまでもなく、兄の凶悪な手が達哉の服の前を割る。
抵抗は出来なかった。手を足を、拘束されていたから。
頑丈な鎖が四方に繋がれた手足。自由すら与えられない、屈辱の体勢。
2)誘拐→監禁
学校帰りに隙のない動作で後頭部を殴ってきたのは、薄れる意識の下で見た限りでは、見知った兄の姿だった。
好かれている自信は、あの特殊な家庭環境の下では、あまりなかったが、憎まれているとは思っていなかった。
だからこそ、疑ったのだ。
あれは兄ではない――と。
だけど、連れられた場所は明らかに兄が一人暮らしするマンションの一室で。
以来、一度として外には出してもらえなくなった。
出れないのだ。
服は一切与えられず、獣のように全裸で毎日を過ごす。
右足には重い枷がついて、部屋ですらも自由に動き回ることが出来ない。
監禁――されているのだとは、直ぐに気付いたが、どうしようもなかった。
3)放置プレイ
兄が始めて行動に出てきたのは、監禁を受けて三日程も経った頃だっただろうか?
枷は両手を背で一つ。両足は大きく広げられて部屋の隅から伸びる鎖に、閉じることが出来ないように。
兄はそうして拘束を深めると、両足の狭間で恐怖に縮まっている男の象徴をいじり始めた。
男の性から言うなら、触れられたら直ぐに反応を示すそれが、しかし一向に反応しないのに焦れた兄は、指にたっぷりゼリーを塗ると、それを後ろに伸ばしてきた。
周囲をゼリーでねとねとにしたあと、ゆっくりと指先をもぐりこませ、意図を持ってある場所に触れる。
強制的に勃起させられた。
「可愛いね」
うっとりと呟いた兄は、そのまま仕事に出かけていった。
戻ってくるまで数時間。
勃起状態で放置されていた。
4)強制F
パス
5)穴の中に放尿
体の構造的に不可能ではないかと思われる。
6)コックリングとバイブ
放置から数日。兄の行為はエスカレートした。
強制的に勃起させられた上、根元をリングで止められる。
同時に勃起を促す後ろにはバイブを。
体を苛む振動と、しかし絶頂を封じるリング。
この行為の繰り返しによって、射精のない絶頂を覚えさせられた。
7)強制挿入
一度として直接交わるということをしなかった兄が、始めてそれを実行に移したのは、ドライオーガズムというものを覚えさせられてから更に数日後。
「そろそろ良いかな?」
嬉しそうにうっそりと言った兄は、前には一向に気を払わず、ひたすら後ろをゼリーやらローションやらでびしょびしょにした。
バイブによって慣らされたそこを、両手の指を突っ込んで開いて中を覗き込んだり、したい放題。
散々言葉で嬲られた上で、やっと中に肉欲が押し付けられた時、それまで保ってきた何かが、ごっそりと崩れるような、そんな感じがした。
8)前も後ろも
既に意志はなかった。
言われるままに口を開きそこに男の欲望を受け、促されるままに力を抜き、後ろに男を食んだ。
ただ、体は素直で、教え込まれる全てを快楽に変換する方法を自ら学んだ。
入れられれば気持ちが良いと感じる。そして感じたまま吐息がこぼれた。
9)輪姦
これまでの全ては、この時の為のものだったのかもしれない。
殆ど自我すらない意識の下で思う。
複数の男達が、下卑た顔で見下ろしている。皆が皆、欲に塗れた獣のようだ。
男の一人が手を伸ばし、肩を押した。
何とか起き上がらせていた体が、背中から床に崩れる。
もう一人が手を伸ばし、両足を広げた。
更にもう一人が、体中に気持ちの悪い触手を伸ばしてきた。
目の前に綺麗とは言えない男の尻が見える。滑稽に揺れてるそれは、その男が欲望の証を含んで愛でているからか?
口には男の欲望。
下の口にも男の欲望。
「次は俺の番だ」
言う男達の声が、どこか遠くから聞こえていた。
10)連れ込まれたSMホテル
「貴様は何をするつもりなんだ? もう彼には十分だろう?」
「俺はこいつが気に入っている」
「だからか? だから彼の兄に扮して、彼を……ここまで……」
「一度でも俺を封じ込めたこいつには、礼を言わなくてはならないと思っていた。これが、礼だ」
「……どこがだ! これは蹂躙だろう?」
「だが、こいつは心の奥底から兄貴が好きだったみたいだ。望みをかなえてやったんだ」
「自我が崩壊して意志を捨てるように仕向けて、何が礼だ!」
「礼だろう? 一人崩壊したこの世界に戻って、希望や未来は閉ざされている。ならば、愛する兄に犯される夢を見続けた方がいくばくかましじゃないか?」
それは、うたかたの……。