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S M L XL

どうしようもなく、過去

「ネロ……」
 優しく耳元に吹き込まれる声に、ネロはゆっくりと覚醒を促された。
 ぼんやりとした思考で目を開けると、そこにはヴァイスの笑みが視界を覆っていた。
「兄さん?」
「大丈夫か?」
 問われ、ネロは頷いて体を起こそうとする。
「まだ、やめた方が良い」
 その肩を押され、再びベッドに沈む。
 ヴァイスの手の感触が、何時もと違い、見下ろしてみて納得した。
「そうか……僕は兄さんと……」
「可愛かった」
 言われて、ネロの頬が薄桃に染まる。
「兄さん……僕は……」
「ネロは、嫌だったか?」
「嫌なんかじゃない……むしろ僕は、望んでいた……」
 ずっと、前から。
 衣一枚まとっていない肌のあちこちに、ヴァイスの与えてくれた痛みと切なさの象徴が刻まれている。
 肉体を、実験とは違う意味で求められ開いたのは、初めてのことだった。
「ずっと、兄さんと一つになりたかった。体だけじゃなくて、心まで……」
「なったじゃないか……」
「うん。でも……」
 終わって欲しくなかった。
 ずっと、一つになり続けていたかった。
 望めるのなら、この身を液体に溶かし、ヴァイスの口の中から体の中に浸透していきたい。それが、ネロの願い。
 切なく歪むネロの表情に、ヴァイスは薄く笑った。
「俺は、このままの方が良い」
「え?」
 まるでネロの思考を読んだかのような答えに、ネロは驚いてヴァイスを見上げる。
「存在があるから、肉体を高めあうことが出来る。愛し合うことも……出来る」
 ヴァイスはベッドに横たわるネロの上に乗り上げる。
 小さな顔の両脇に手をついて、上から翳り気味のネロの顔を覗き込み、その薄い唇にキスを落とす。
 甘い痛みを伴うそれを受け入れたネロは、むさぼられるままにヴァイスの舌を受け入れて、吐息を弾ませた。
「本当に一つになりきってしまったら、こんな風に、俺の愛撫に震えるネロの顔を見ることも出来なくなる。それは、俺が楽しくない」
 直接的なヴァイスの言葉に、ネロは頬を染める。
 弾んだ息が、続きを求めてヴァイスを誘う。
 互いには初めての性交で疲れているはずの体だったが、ネロは行為そのものには慣れており、仕掛けられれば簡単に昂ぶった。
「兄さん……好き……」
 どんな女よりも魅惑的な声が、そうヴァイスに告げる。
「ああ、俺もだ……」
 互いの告白に、気持ちも昂ぶってくる。
 触れる手は、互いの欲望に触れ、了解をとりあってもいないのに、昂ぶりを誘って蠢く。
「に……さん…」
 快楽に弱いネロが先に音をあげ、怪しく腰をゆらめかせた末に、熱飛沫を放った。
 ヴァイスは耐えた。
 ネロの手を己の欲望からはずし、ネロをうつ伏せに誘う。
 高く腰を上げさせ、先程ヴァイスが内に放った熱欲濡れた秘部を露にさせた。
 しとどに濡れた秘部は、怪しくうごめきヴァイスを誘っている。
「欲しいのか?」
 意地悪でなく問うヴァイスにネロは頷く。
 それだけでなく、ヴァイスの気をそがぬよう、己の秘部に手を伸ばし、そこを広げて見せた。
「兄さん……嫌でなければ僕を……」
 ネロはどう思っているのかはヴァイスには判らないが、こうやって誘うネロは、とんでもなくヴァイスの肉欲中枢を刺激した。
 無意識にやっているのだとしたら、恐ろしいくらいの淫欲の持ち主ということになる。
 しかし、それはネロが望んでそうなったわけではない。
 これが、神羅によって与えられた実験の成果なんだ。
 哀れな肉欲奴隷。
 ヴァイスはネロを不安にさせないよう、己のたかぶったものをネロの秘部に押し当てた。
 無理に押し入れてもネロはすんなりと受け入れてしまう。
 それは、面白くなかった。
「入れるぞ?」
 耳元に囁かんばかりに囁きを送り、ヴァイスはゆっくりと入り口を通過させた。
 そう、ゆっくりと。
 少し進むごとに、ネロの内部壁面をこするように回し、声を上げさせる。
 時に挿入角度を変え、中に入っているのが誰であるのかを自覚させるように、声をかけて。
 ネロは、思う通りに喜びの声をあげ、鳴いた。
 ヴァイスの名を必死に呼び、喜ぶ体のままに、奥へ進むヴァイスを締め上げる。
 時に昂ぶった象徴を爪弾き、感じるラインを撫で。
 ヴァイスはあらん限りの性技を尽くす。
 奥に到達すると、今度は引き抜くのに時間をかける。
 はげしく鳴く部分を何度も小刻みに突き――。
「に……さん…に…………っさ……」
 何度も甘い声に混じらせてヴァイスを呼び、その声にヴァイスも煽られていく。
 倒錯的な営み。
「ネロ……良いか?」
 ふくらみきった欲望に、とうとうヴァイスも耐えられなくなる。
 ネロは頷き、更に高く腰を上げ、同時に中のヴァイスをきつく締める。
 ヴァイスはそんなネロに答えるように、激しい突き上げを開始した。
「ん……っ…に、にさ…」
 必死にヴァイスを呼ぶネロ。
 煽られ、昂ぶり――ヴァイスが放つ。
 奥にぶちまけられた熱に、最後の砦を破られ、ネロも……。
 高くひきつれた声をあげ、ネロはぐったりとベッドに沈む。
 二度の性交で、精魂尽き果てた……という雰囲気に、ヴァイスは淡く微笑み、汗ばんだネロの背を撫でる。
「やっぱり二人が良いだろう?」
 問うヴァイスの声に、ネロは笑う。
「そうかも……」
 この熱を、永遠に分け合えるという確約があるのなら。
 闇に捕らわれたネロの心は、そう簡単にはヴァイスの言葉には傾けないけれど。
「大好きです。兄さん……」
 呟くネロに、ヴァイスは頷いたのだった――。

 それは、遠い昔の、ネロの、記憶。

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