over18

ぴぴぴぴ。
会議中に響く呼び出しの音。
ここ最近頻繁に聞かれるのが、この音だ。
スコールは舌打ちして立ち上がると「済まない。先に進めてくれ」と一言置いて会議室を出て行く。
途端に空気が張り詰める会議室。
苦々しげに吐息したキスティスとシュウは、互いの顔を見合わせると。
「これ以上報告がなければ、今日の定例会議は終了します」
と告げた。

会議室を走り出て、近くの作戦室へ飛び込むと、スコールは慌てて電波回線の繋がったコンソールに指を滑らせた。
呼び出す先はエスタ大統領官邸。
直ぐに通信が繋がって、目の前の巨大ディスプレイにラグナの顔が映し出される。
『遅い』
「会議中だった……」
『そりゃ、悪かったな』
薄く笑った顔は、とてもじゃないが悪いと思っていない。
「で、何の用だ？　休暇は暫く取れない」
『別にこっちに来なくても、そこでしてるところを見せてくれても良い』
意味を掴みかねて、スコールは首を捻る。秀麗な顔面が歪むのに、ラグナも楽しげに顔を歪め、低い笑いを漏らした。
『脱げよ、スコール』
「何を……」
『そこでして見せろ』
重ねて言われて、嫌でもその言葉の意味が判る。
ラグナは、通信回線を開いたこの状態で、ディスプレイごしにスコールの媚態を眺めるつもりなのだ。
ラグナの背後には、なじみのある補佐二人の姿も見える。
このままするということは……。
「冗談だろ……」
『冗談だと思うか？』
「……」
正直に答えるなら、とてもじゃないが冗談とは思えない。
だが……。
「せめて後ろの二人をどうにかしてくれ……」
『気になるか？』
「俺は、あんたの女になることは了承したが、あんたの部下の見世物になるつもりはない」
『へぇ……』
その返事が受け入れられたのかどうか、後ろを振り向いたラグナは補佐官二人を下がらせると、再び振り向いて――。
『じゃ、見せろよ』
言った。
スコールはコンソールを操作して作戦室のドアをロックすると、まとった衣服を脱ぎ捨てた。

広いとはいえない室内。
たった一人しかいない作戦室には、スコールの淫らな声だけが響いている。
円状のテーブルの上に腰をかけ、ラグナに見えるように両足を開き、既に立ち上がったものを己の手で扱く。
後ろをいじれと言われれば、長い指を舐め押し込み、イケと言われれば絶頂を目指して両手を動かした。

『お前のそこに、入れてやりたいなぁ』
欲情を含んだ声が、言う。
『お前の仲間の前で、お前を犯してやりたい――って言ったら、お前はどうする？』
「え……っ、遠慮、するｯ……」
こんな浅ましい姿を、グランスールの誰にだって見せたくはなかった。
そんなことになるなら、死んでしまった方がマシ。
『もっと泣けよ。その部屋の外に響くくらいに』
「や、やだっ」
『強情だな……』
呆れたような声。
『ならもっと、強烈な奴をやろうか？』
「っ！？」
ディスプレイの向こう、ラグナが差したのはカードタイプのリモコン。
スコールは怯える。
それには、覚えがありすぎる程、あった。
かつて一時、エスタに監禁され、ラグナの女になることを了承したあの後――。
スコールは無理矢理埋め込まれた。男根の根元と肛門の奥に、振動する小さな小さな発信機のような……。
「や、やだ……やめろ……」
怯えて首を振るスコールを、ラグナはあくまで冷たく見下ろしてくる。
『そう言われると、余計にしたくなるな』
エスタで一度テストをされた後、一度も使われていないそれ。だが、その効力は判りすぎるくらいに判っている。
ラグナの手が、ゆっくりとカードをすべり、回線越しにもその小さな音が響いてくる。
カチリ。
瞬間、スコールの体を電流が走った。

「ん……ぁあっ、あｯ……ん」
触れても触れても足りない。
何度いっても絶頂間が薄れない。
体の奥から、欲望の根本から突き上げる情動に、スコールは惑乱した。
「あっ、あっ…や、や…だ……ぁっ」
ひっきりなしに上がる甘い声と、淫らな水音。
開いた両足の狭間は、白濁に濡れ、そこから続く奥まったかげりは、ひくひくと顫動を繰り返した。
『良い格好だ。スコール』
ラグナの声すらも、スコールの体に情欲を灯す。
全身が自分のものでなくなったような感覚の中、ディスプレイの向こうのラグナが再びカードリモコンを操作する。
出力が上がり、スコールを煽る動きが激しくなる。
「ふぁ、ぁ、あぁ、あああああ――っ」
高く断続的な声を上げ、スコールはその日何度目かの絶頂を迎え、さらにその激しすぎる快感に、意識を手放した。

『可愛いよ、スコール。俺の人形……』
ディスプレイの向こう。作戦室の円状のテーブルの上にぐったりと身を沈めたスコール。
まるで、顔だけは見せるか、とでもいうように、腕をクロスして顔を覆ったスコールの姿に、ラグナは薄く笑って通信を解いたのだった。