高い水音を上げる室内。
熱気を孕むその空間には、まだ幼くも艶を含んだ声が、甘く響いていた。
「あ……んっ、や…も…………」
一杯に広げられた穴をこすられ、エドワードはピンと高く上げられた足を痙攣させた。
前はぐちゅぐちゅと音をたてて、大きな手にこすられている。
母とアルフォンスのいない一時。
それ以外には音のない空間の中、エドワードは乱れに乱れ、己の肉親の目を楽しませている。
「もっと尻を上げなさい。もっと良いところに触ってあげるよ」
振ってくる声は、何時もなら優しく己を抱きしめる父親のもの。
初めての経験であるのに、まるでそれを最初から知っていたかのように、エドワードは言われるがままに尻を上げ、更に父の猛る肉欲を己の奥深くに導く。
「と……さん…」
ぐいぐいと押し込まれる塊は、エドワードを罪の楔で罰するかのように遠慮なく官能を刺激する。
呼吸が苦しい。
「エドワード……母さんとアルには、内緒だよ……」
「ぁ……や……い…わない……」
言えない。言えるわけがない。
母の愛する男と、気持ちは違うとしても、愛し合っている。
背徳が快感に変換され、より深く落ちていく。
「エドワード……もう少し……」
「あっ、あっ…や、も…やぁ」
耐え切れぬというように断続的な快感がエドワードの内を暴れまわる。
一際高い声を上げ、大きな手の中に、未熟な精を放つ。
少し遅れて、体の奥に強い迸りを受けた。
初めてだった。
当然だ。まだエドワードは二桁に満たない年齢であるのだから。
性交をそれと知らぬ内に教え込まれ、子供の頃に得たそれは強烈で、エドワードは後に何度も父と関係を結ぶことになる。
「エドワード。大丈夫かい?」
行為後の疲労に腕一本すら動かせないエドワードを、父は風呂場に運ぶ。
湯を一杯に張った湯船に沈められ、体を清められている最中、何度も言われ、頷いた言葉。
「誰にも内緒だよ。母さんにも、アルフォンスにも」
エドワードは何度も頷いた。言われる度に頷いた。
そしてその度に気付くのだ。
この関係はおかしいのだと。
だけど幼い体は、受けた快感を気持ちに変換する。
エドワードは、父を、一人の男として、愛した……。
誰も知らない、物語。