天が見下ろす地面の上。哀れな獲物が両足を開いて主君を待つ。
獲物の名は、エドワード。
天下に名高い、鋼の錬金術師である。
世に知られるエドワードは、天才最年少錬金術師である。が、実際にエドワードの真価をはかるのは、そこではありえない。
少年は、類まれな性感を持つ、生まれもっての淫乱であった。
今も、目隠しをされ両足を開かされているだけなのに、少年の幼い性器は張り詰め立ち上がり、先端から透明な雫をこぼしている。
その奥のかげりはひくひくと蠢き、まるで何がしかの訪れを、今か今かと待っているようであった。
「ふ」
と声が笑う。
「淫乱だな」
「……ぁ」
言葉で嬲られるだけで、エドワードは身を焦がす。
「……やく…」
我慢が出来ないとばかりに、全身をビクビクと振るわせるエドワード。
今少し放置されたなら、己で慰めてしまいそうな……そんな様相であった。
目隠しはされていても、両手を戒められてはいない。自由な両手は今は、己の胸の突起に絡められ、淫靡にその核を嬲るのみ。
その様子を粒さに観察するのが、その少年の官能の真実を暴き立てた男であった。
名を、ロイ=マスタング。世に焔の錬金術師として名を馳せる、若き国軍大佐。
初めては強姦という形であった交接を、和姦に持ち込み、また、今度は少年から求めるようにとしつけたのは彼であった。
彼は、少年にとって性の主人なのである。
「弟が見たら、さぞや嘆くだろうね」
「そ……んな……いう…なっ……」
切なげな吐息と共に懇願がロイに委ねられる。
「黙っていても良いが――錬金術師にはあるだろう?」
何とは言わず、ロイは答えを求める。
既に全身が性の奴隷と化したエドワードは、溜まりきった唾液を零しながら「等価交換」と息も絶え絶えに答える。
「そう。その通り。で、君は何を等価に差し出してくれるのかね?」
主人の命令は絶対。その上で、ロイはエドワードに問いかける。
官能の殆どを引き出された状態の少年は、ゆるい動作で立ち上がり、感覚でロイの足元に膝まづくと、手探りでロイの股間を探り、ズボンのジッパーを下げると既に熱を持ったそれを引き出し、口いっぱいにほうばった。
「成る程……楽しませてくれる――というわけだ……」
乱れた三つ網に指を絡めると、人差し指にゴムを引っ掛けはずす。
ぱらりと空を舞った金髪が、空気をかすかに揺らし、ぱさりとエドワードの肩に落ちる。
こうしてみると、女のような姿であった。
長い金の髪。目隠しをしている所為で、持ち合わせる特徴とも言えるきつい目は見えず、赤く熟れた唇が男のいちもつを含み濡れ、淫らな音を上げる。
「ふ……ん……んん……」
ただでさえ大きい全身を含みきるのは無理なようで、なので少年はひたすら先端を含み刺激を送り、他は手で覆いつたない愛撫を送る。
技巧はなくとも、その姿は酷くロイの劣情を煽った。
後頭部に伸ばした手を、髪を撫でながら引き下ろし、頬から耳、首筋までをじらしつつ愛撫する。
「ふぁ……あ…ん……」
少年は時にロイから口を外し喘ぎ、切なげにそれに頬を寄せた。
限界が近いらしい。
「入れて欲しいか?」
意地悪く問いかければ、がくがくとぎこちない頷きを返す。
「ならば、自分で準備してくれないか?」
耳元に口を寄せて、吐息を一杯に囁けば、ぶるりと震えたエドワードががくがくと再び頷く。
全身が過敏になっている少年には、少しの愛撫でもきついのだろう。
素直にぺたりと床に腰掛けると、そこで大きく己の足を広げ、生身の左手を口に含む。
ぺちゃぺちゃと音を立てて唾液を滴らせたエドワードは、その手を今度は狭間に伸ばし、立ち上がっている己を通り過ぎて、更にその奥へ――。
「ん……っ……」
入り口に滑りを帯びた指を滑らせ、それだけで身悶えた少年は、しかしその体制では上手く収まらないことに気付き、今度は横倒しになり、ロイに向けて両足を開くと、その目前で秘所に指を潜らせた。
「ひゃ……あ……ん……」
ずぶずぶと飲み込まれていく細い指の、酷く倒錯的な香り。
己で己を慰める幼い少年の、なんと淫らな見世物か。
ロイは生唾を飲み込んでその様子に見入った。
エドワード本人は気付いていないだろうが、ロイの視線の先では、エドワードがエドワード自身に指を飲み込ませる様子がまざまざと展開されているのである。
ぐちゃぐちゃと音を立てて、己で己をかき回す、幼いとさえ言える少年。
指が二本に増え、内で複雑な動きを繰り返す。
したたり落ちる雫を見て、ロイの劣情は崩壊した。
開かれた足の一方を掴み上げると、強引にその狭間に腰をねじ込んで荒く指を引き抜く。
「ぁっ!」
驚き声を上げたエドワードに構わず、両足を肩に担ぎ上げ、熱を秘所へ――。
「きゃっ、ああっ!」
衝撃に驚いたエドワードが高い声をあげ、切羽詰ったそれにすら、劣情は煽られる。
ずどん、と強い衝撃が身を襲ったと思ったら、今度は激しいグラインド。
深く突き刺しこまれ、次にはギリギリまで抜かれる。
角度を変えて幾度も突き上げられている内、ロイのものはエドワードの良いところに触れた。
「ふぁ……あ……ああっ……」
腰を激しく振り、感覚から逃れたいのか、それとも全て受け入れたいのか?
心境に裏づけされた動きがロイの抽挿を助け、更に激しくエドワードの欲情を暴き立てる。
「やっ……もっと……」
貪欲にロイを飲み込んだ後ろと連動して、エドワードは己の前に手を伸ばし、ロイの抽挿の激しさに合わせて扱きたてた。
「うぁ……あっ、あ、も……だ……めぇ…………っ」
絶頂は直ぐに訪れた。
きつくロイを締め上げたエドワードが先に、ビクビクと痙攣を繰り返し白濁を放ち――その刺激を受けてロイも……。
「く……」
短い声をあげ、エドワードの内に奔流を叩きつける。
一瞬の空白。そして……。
「鋼の?」
呼びかけるロイに答えて、エドワード。
「すっげ、良かった」
「それは良かった……」
二人は照れたように笑い合う。
「なんか、良いな、ソフトSM?」
「ご主人様に燃えるのでは?」
「そんなんじゃねーと思うんだけどなぁ……」
首を捻ってエドワード。
ずるりと抜けたロイの熱に「あ」と短く声を上げ、先程の淫乱振りが嘘のように頬を染める。
「悪ぃ、感じた」
「もう一度いくかい?」
「もちっと休んでから。つーか、この目隠し、取って」
ロイは先程の横柄振りが嘘のように、エドワードの目隠しを取る。
「はぁ……視界がふさがれてるのって、結構クるな」
「だからこそのソフトSMなのだろう?」
「もう、こんなに慣らされちゃって、俺、今後男にしか立たなくなったら、どうしよう?」
真剣に悩みはじめるエドワードに、そんなことは簡単だ、とロイ。
「生涯私一人を相手にすれば良いのだよ」
「何、それって、俺が欲しいってこと?」
「前々からそう言っているのだがね?」
エドワードは肩を竦めると起き上がり、今度はロイを押し倒した。
「あんたも経験してみたら?」
「何をだね?」
「男をさ、ここで受け入れてみたら?」
そ、と触れられる奥所に、ロイは苦笑する。
「遠慮する。私は君の中に入りたい」
「ま、良いけどさ……」
エドワードは言って、2ラウンド目は普通で、と注文を付け、既に昂ぶっているロイのものの上に、腰をゆっくりと落としていくのだった。