※双子の設定です。兄=アッシュ、弟=ルーク。
※他の設定は本作と同様。
※想像するための小説です(爆)
01 鍵をかけて声を潜めて
「本当にやんの?」
「今更。二人で決めただろーが」
「だけど……父上と母上が屋敷にいるし……」
「だからなんだ? 見られたら見られたで、公になって良いじゃねーか」
「だけど……」
「双子だからって愛し合っちゃいけねーのか?」
「そういうわけじゃ……だけど…アッシュは跡取りで子供が必要だろう?」
「んなの、どっからか貰ってくりゃ良いじゃねーか」
「ナタリアも……」
「無理矢理言わされた婚約の言葉に、意味なんざねぇ」
「本当に俺と?」
「他に誰がいるってんだ。お前は俺のたった一人。そう俺が決めた」
02 罪深い交わり
「ふ……んぅ……アッシュって、慣れてるね」
「キス一つで何が判る?」
「動じてないし」
「これから動じるんだ。お前ん中に入って動いて」
「生々しいなぁ。でも此処まできたら同じだもんな」
「んな簡単な言葉では言い表せないくらい禁忌だがな」
「でも昔は近親婚とかあったらしいじゃん」
「王家にはな。だが、今は俺らがいるからその必要もない。継承者がいない時期の王家が、近親婚に頼るんだ」
「そうなんだ……」
03 抗えない衝動
「……汚いよ?」
「お前の体のどこが汚いって? 汚れるようなこと、しねぇ癖に」
「そうだけど……さすがにそこ……っ、やっぱ……まず」
「黙ってやられてりゃ良いんだよ。判ってるだろうが、なるべく声は抑えろよ?」
「む、無理……だって、ば……」
「無理でもなんでもだ。ま、俺は見つかっても問題ないがな」
「っや……お、俺もっつ、けど……」
「そうか? ここを突っ張らせて滴らせて、この姿を見られても良いってか?」
「だ、駄目っ……それは、だめ……ぇ」
「ここに男を銜え込んで、淫らに腰振ってる姿が、誰かの目に晒されるんだぞ? 楽しいじゃねーか」
「やっ、だ、めだって……も、やば……」
「まだいくな」
04 誰よりも理解した体
「って言ったのに、これかよ……」
「ご、ごめん、かけちゃって……」
「別に良いけどな。お前のだし」
「汚いってば。どうして舐めるんだよ……」
「お前のだからだ。それに……お前あれだろ? こういうの見てると興奮するんだろ?」
「え……」
「自分が舐められてるような感じがするんだろ?」
「……っ……」
05 裏切りから生まれる快楽
「ジェル出しとけ。買って来たんだろ?」
「……知ってたんだ?」
「そりゃな。母上から金貰って、何を買いに行くのかと思えば……使用人すら使わずに行ったところがショップだと? しかも専門の」
「だって……」
「本当は望んでたんだろ? 母上から貰った金で母上に言えないことをする為の道具を買って、興奮したろ?」
「……そんなこと、ないよ……」
「それでも、お前はジェルを使って俺の前で足を開くわけだ」
06 壁越しの睦言
「とは言え、俺だってもう、部屋越しに右手で慰めるのは飽きた。そろそろ良いだろう? 俺らは散々周囲の言いなりになった」
「……そうだね……でもやっぱり……」
「まだためらいが抜けないか? だが、そろそろ限界なんじゃないか?」
「気持ち的には……何時誰かに持っていかれるかと思ったら……母上にお願いしてた」
「金くれってか? 俺らに自由になるものなんて、ないからな。ほら、貸せよ」
「自分でやるよ!」
「冗談だろう? 見えない場所をどうやって?」
「それは……」
「だから、貸せ」
「……案外と冷たいものなんだな、ジェルって……」
「不満なら、舐めてやっても良いが?」
「汚いから。ゴムもかぶせた方が良いよ、雑菌が……」
「冗談だろう? 中に出すんだ。邪魔なだけだな」
「中?……っぅ」
「何だ、指一本で感じてるのか?」
「ち、ちがッ……」
「音が凄いな。欲しくなったら、言え」
「あ、……も、ほしッ……」
「早くないか? ま、良いけどな……俺もそろそろ……」
「や……あ、あッ、アッシュ……」
「痛いか?」
「だ、いじょ、ぶ……けど……」
「動くぞ……」
07 夜と朝の変化
「や、アッシュ……も、駄目ッ」
「馬鹿、声を抑えろ! もう直ぐだ」
「あ、アアッ、や……だ、駄目ぇ、も、や……」
「うるさいってんだろうがっ」
「あっ、も……いく……、やぁぁっ!」
「くッ……」
「…………」
「………………」
「大丈夫みてぇだな。わめきやがって……」
「だって……我慢出来なかった……」
「とりあえず、後始末しておくから、寝てろ」
「うん……ありがとう……アッシュ…………」
「お前を天使みたいだという奴がいるが……どこがだろうな? 悪魔じゃねーか……」
08 触れた手で合図
「アッシュ、ルーク。私の部屋へいらっしゃい」
「……はい」
「判りました」
「ばれたのかな?」
「そんな不安そうな顔をするんじゃねぇ。ばれたらばれたで構わねぇと言っておいただろう?」
「だけど……俺達は母上と父上を……」
「反対された出て行くだけだ。問題ねぇ」
「あら、反対はしないわよ」
「「母上!?」」
「知ってましたもの。ルークがジェルをほしがっていたことも、アッシュがそろそろ限界だということも」
「……何故……」
「キムラスカの貴族は皆そうなのですよ。何故か近親者を愛したがる。あなた方もそうだと、もう随分と前から予想していましたから。ですが、旦那様には黙っておいでなさい。合図を決めておくと良いでしょう。アイコンタクトでも、ちょっとした言葉でも。その合図を私にも伝えてくれれば、その夜は人払いしておきましょう」
「では……母上の手に触れた時に……」
「判りました。辛い恋ですが、耐え切りなさい。幸福に」
「「ありがとうございます」」
09 ごめんと呟きながら
「母上、知ってたんだ……」
「そのようだな。そして、後押ししてくれるようだ」
「良いのかな?」
「さてな」
「このままだと、ファブレは断絶して……」
「関係ねぇな。俺はファブレの為に生きてるわけじゃない」
「俺もそうだけど……」
「そんなに気になるなら、養子を貰えば良いと言っただろう? それにな、とっておきの秘密を教えれば……ナタリアには別に好きな奴がいる」
「え? そうなの?」
「ああ。だがそいつと添い遂げることは出来ない。だから俺が隠れ蓑になってるってわけだ。いわば共犯者だな」
「そうなんだ……」
「ごめんと謝るつもりなら、逆に幸せになってやればよい。親は子の幸せを願うもんだ。父上もきっとそう思ってくれるだろう」
「だと……良いね……」
10 破綻した劣情
「とか何とか、俺達も若かったよなぁ」
「随分世間ずれしたからな、お前は」
「アッシュも相当口悪かったし?」
「宮廷の作法がある。あのままでは王の器には遠かったからな」
「アッシュも王様か。ナタリアとの間に二人も子供が生まれたし、これで問題は解決したね」
「お前の子育てが問題だがな」
「大丈夫大丈夫。アッシュとナタリアの子だから、きっと頭が良く育つよ。これでファブレも安泰だ」
「その代わり、ナタリアとの間に愛のないセックスを続けた俺を慰めてくれるんだろうな?」
「勿論! これからは誰に遠慮する必要もないよね!」
「30近くなっても衰えないお前への欲望が、ある意味怖いがな」
「それは俺も同じだよ」