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S M L XL

調教 4

※誰にしようが迷ったが、時間的にジェイド。
※エンゲーブ辺りタルタロス内部にて。



ぱんっ! と高い音がして、ルークは瞬間、目をつぶった。
薄目を開けてみれば、ティアが頬を押さえて涙目でジェイドを見上げている。
「何ですか、その反抗的な目は? 判っているのですか? 他国とは言え、私は大佐の階級を持っている。更にダアトの冠する最高指導者導師イオンに協力を得ているとなれば、例えば神託の盾騎士団の総長程でも私に頭を下げて敬わなくてはならない相手です。それを、睨む、ですか?」
は、とジェイドは吐き捨てて、今度はティアの腹の辺りを蹴った。
「どういう教育を受けているのでしょうね? それともあれですか? 何か特別な出自で、他人に嫌われているも偉そうにするだけの贔屓は受ける存在であると? だから何ですか? 何がどうであろうが、あなたが今、ローレライ教団にて最も低い地位を持つ兵士には違いない。兵士のするべきことは、民間人を体を張って守り、上官にその都度報告をして、高い身分の者には屈辱を感じることなく跪き、やれと言われれば犬のマネでもなんでもして、床を這い蹲ることです」
ジェイドはちらりとルークを見ると「さ、あの方の名前を呼んでみてください」と告げる。
ティアは痛みに瞳をユラユラさせて、ルークを見上げると「ルーク……」と呟いた。
ガツンと、再びティアを痛みが襲う。
「彼は貴族です。あなたのような蛆虫の生まれではありません。高貴な方なんです。さ、名前を呼んでみてください?」
「ルーク……様」
屈辱と痛みによる不安がない交ぜになった表情で、ティアはひたすらジェイドを睨む。
その度にティアには痛みが与えられ……。
「もう良いよ、ジェイド」
とうとうルークが口を挟んだ。
だが、ジェイドは止めなかった。
「見ているのが辛いなら、どうぞ客室の方へおいでになっていてください。後で私も参ります」
「でも……このままじゃティアが……」
不安そうにジェイドを見上げるルークは、このエンゲーブで出会った後、タルタロスで再会するまでに見せていた我侭な様子をかなぐり捨てていた。そもそもその我侭だって、ティアの言動があまりにもルークに対して無礼だった為のものなのだ。
「ルーク様。ダアトのあまっちょろい軍人教育がどういうものか私は知りませんが、相当甘いものであることは確かです。例えばマルクトでは、例え不慮の事故で高貴な身の上の方と二人になってしまった場合、側に寄るだけで懲罰ものです。礼も払わぬ粗末な言語で話しかけるなど、不敬罪で良くてマルクト追放。悪くて無期懲役です」
「そ、そんな……なのか……」
「この場合で言うなら、この女のしでかしたことは死罪で済むような軽いものではありません。公爵子息誘拐に不敬罪、一族郎党皆殺しでも温い方ですね」

ぶるりとルークが震える。驚いたのはその罪状についてもそうだが、ティアがそれ程までに罪を犯していた事に気付かなかった自分に。
少し考えれば判ることだったのだ。ティアが襲撃する際、警備の者を眠らせた為、屋敷は誰もが入れる状況になっていた。もしもその隙を狙われ侵入されていたら?
戦えるものならば、目が覚めれば対処出来るだろう。だが、あの屋敷には戦うことを学んでいない者も多く居た。彼らは大丈夫だろうか?
蒼白になったルークは、部屋に戻ると一言置いて、その場を立ち去った。

見送ったジェイドは、暗い笑みを浮かべて、ティアの調教に精を出す。
――もう二度と、同じ過ちを繰り返しはしない。
その為に、世に言うあらゆる常識を学んできた。
「良いですかティア=グランツ? あなたのような下衆な人間が、ルーク様に声をかけるのすら、簡単には出来ないことなのです。判っていますね?」
既にアニスは調教済みだ。後はガイが伯爵に戻るのか戻らないのかを確認し、戻るつもりならば手加減して貴族のあり方を教えてやれば良い。
とにかく、何を勘違いしているのか、無駄に偉そうな口を叩いてさもそれが当然とばかりの顔をしているこの女だ。
ルークを傲慢とそしり、しかし本当に傲慢だったのは誰かを思い知れ。
「さて、復習をしましょう。彼は誰でしたか?」
「る……ルーク、様、です」
まだ様付けをすることに躊躇いがあるらしい。
がん、と細身の体を壁に叩き付け、ジェイドはもう一度尋ねる。
「彼は誰ですか?」
「ルーク様です……」
「そうです。では、今度はあなたが何者なのか、教えて差し上げましょうね」
教育をする場合は、褒めるか叱るかのどちらかで伸びていく。だが、調教の場合は痛みで教える。
単語と痛みが連動したら、後はこちらのものだ。
ジェイドはうっそりと笑うと、ティアに「自分が何者なのか」をじっくりと教え込むことにした。



チーグルの森を合わせて三日程停泊したタルタロスは、ゆっくりと発進した。
同乗者はジェイド、ティア、アニス、イオン、ルーク。
ティアは驚く程にルークに従順になり、言われること一つ一つに頷いた。もう逆らうことなど出来ない。
アニスもスパイを止めさせた。モースに情報は流れないから、恐らくタルタロスの襲撃はないだろう。
だが、あったとしたなら……。
「あなたにも常識を教え込んで上げますよ、アッシュ」
たとえ被験者であろうが何だろうが、今は神託の盾騎士団の一騎士に他ならない。故に、ルークに対して礼を失することがあってはならない。
歪む視界の端に、ティアの調教に付き合って少しばかり貴族のあり方を学んだルークがいる。
彼は基本的には馬鹿ではない。他人のあり方を見て学ぶのは子供でも大人でもそうだ。
正しい教師が居てこそ、子供は真っ直ぐ育つことが出来る。
――今度こそ……。
ジェイドは笑い、まだ青い空を見上げた。

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