弥勒は肌寒さを感じて目が覚めた。しかし、目が覚めたはずなのに周りは暗かった。いや、暗いのではない。自分のまぶたが開かないのだ。何故だか目隠しをされていたのだった。 耳にも粘土の様な物が詰められているようだった。それも一緒に目隠しをしている物が止めている様であった。一体自分はどうなってしまったのだろうか。 少しの混乱が収まると、今度は身体に纏っている物が少ないことに気が付いた。法衣は脱がされ、襦袢だけでいるようである。しかもそれは紐が解かれ前が開かれているようである。 ようやくと自分の置かれた状態が理解できた。弥勒は視覚と聴覚を奪われ、裸に近い状態で両手を縛られ、どこかから吊されていたのだ。 それでも弥勒は修行で付けた力で近くに何かがいる気配を察する。 「一体私をどうする気ですか」 弥勒が聞いても返事がない。いや、返事はしているかもしれない。ただ耳が塞がれた弥勒には届かないのだ。 しかし何故か笑われた気がした。弥勒はその気配だけでカッとなる。 「お前は誰です!」 音も光もない世界で弥勒にあるのは触感と嗅覚、味覚だけである。その中で離れていても分かるのは匂いのみ。かすかに漂う匂い‥これはだろうか。 「もっもしかするとですか」 弥勒には相手の応答があったのかすらも分からない。 「何故こんなことをするのですか」 聞いても聞こえないこの耳じゃ仕方ないと思いつつも疑問に思ったことが次々と口から出てくる。 「放して下さい」 そう言った唇はとうとう塞がれた。それもヌルッとしたものが入り込んできて分かった。弥勒は口付けられているのだった。 入り込んだ舌は弥勒の口内を好きなように侵す。噛み付いてやろうにも頬に掛けられた手が強くて出来なかった。 抵抗も出来ず、長い時をその相手の舌と格闘して過ごす。そのうちに水音をさせて貪る舌に負ける。頭の中に自分の口中の音だけは響いてくるのだ。吸われて絡まれてだんだん気持ちが高揚してくる。息が鼻から抜ける。 口は名残惜しげに軽く何度も啄みながら離れた。 いったん離れたと思ったのだが、それはそのまま首筋を移動し、弥勒の胸の敏感なところに止まる。 「ああっ‥」 いきなり舌で転がされて背中が仰け反る。逃げようとして手が自然と動く。繋がれた手首が引っ張られて痛む。足はかかとが付いておらず、背伸びした状態で身体を反らせば腰を突き出した格好になる。 今度は勃ち上がってしまったそこを掴まれた。 「ぁうっ‥なっ何を‥」 その相手にすれば決まっているじゃないか、と返事が返ってきそうなことを思わず口走ってしまう。 胸を舌で嬲られながら股間を手で撫で上げられ、身体が震える。 「あ‥っ‥く‥」 どんなに堪えても喘ぎが漏れる。認識できない相手に感じていると伝わってしまう。弥勒は腰を振って抵抗したが、それはただ単に自分の快感を増しただけであった。 「やっ‥止め‥ろ」 不良法師と言われた真の自分を晒して毒づこうにも、足で蹴り飛ばそうにも、今にもイきそうな身体では出来そうもなかった。 硬いモノを温かい手が何度も往復する。尖った小さなモノを濡れた舌が何度も舐めあげる。 もう、堪えきれない。 弥勒の腰が引けた。 その瞬間、あと一息でイってしまいそうなモノから手が離れた。 「あぁ‥」 頭では安堵しながらも、正直な身体は手を追ってしまう。腰は刺激を求めて自然に揺れた。 そんな弥勒はそのまま一人でほっておかれた。そこにいる相手は弥勒を見て楽しんでいるのだろうか。 射精感が治まった頃、左足の膝が縛られた。そして引っ張り上げられる。 「何をする」 弥勒が声を荒げても左足は限界まで引っ張られた。股間をすっかりさらけ出す。 後ろから尻を撫でられ、油のような物が塗られ、弥勒の後孔に何かが突き立てられた。 「あぅっ」 片足で背伸びをしてる格好では好きなようにされてしまう。入り込んだモノは中でぐにぐにと動いた。それは弥勒の一番感じるところをすぐに見つけ、円を描くように強く回された。 これだけ細かく動かすことが出来るのは指しかない。見えない相手は弥勒の下の口に指を入れてそこを解しているのだ。 どれだけ止めろと言ってもその指は長い間いいところを弄り続けた。そのうちに本数が増え、3本は確実に出入りを続けていた。 その相手は3本が楽に抜き差し出来るようになっても、他のことをしてこない。弥勒の身体は上昇の一途を辿り、出口を求めて彷徨い続ける。 「もう‥もう‥い‥い加減‥にして‥くれ」 あまりにも長い時が経ち、弥勒の口から泣き言が零れる。すると何かの合図があったのか、身体の周りの空気が変わった。 後ろにはまだ指は入ったままで、相手は弥勒の背中側に居ると思われた。 なのに、弥勒の悦んで汁を垂れ流している肉棒が舐められたのだ。 「あああっ‥」 こっこれは人間の舌ではない。何か動物か妖怪の舌ではないだろうか。覆い尽くす面積が広すぎるし、何よりざらつきが凄い。人に舐められるより数倍の刺激があった。 後ろをずっと嬲られていた弥勒はその刺激に耐えきれず、とうとう快感を証明してしまった。 「ぅうっ‥くっ‥はぁっ‥」 弥勒が吐き出している間も後ろも前も刺激が変わらない。それは射精感を高め、吐き出す瞬間の快感を長引かせる。 何度もムリヤリ吐き出さされて、吊られた身体はグッタリと弛緩した。 身体の力が抜けたところを狙って今度は指とは比べものにならない大きな、太い、そして硬いモノが一気に弥勒を貫いた。 「ぅああっ‥」 散々嬲られていたそこは痛むこともなく、あっさりとそれを呑み込んでしまう。そしてそこだけは狙って欲しくないと思っていたところがばれる。 「ああっ‥やっ止めて‥下さ‥い」 勢いを付けてそこを突かれ、前は何か全く分からぬ物がまとわりついている。 「だっダメ‥だ。そっ‥そんな‥こと」 右足はガクガクと震え、ほぼ支えると言うことを放棄した。体重は後ろからの硬い棒にかかる。よりいっそう奥深くまで銜え込む。 必死で快感を堪え、刺激を逃がそうとするが、前も後ろもこれ以上はない行為を施され耐えられるはずがなかった。 「ううっ‥はぅっ‥」 あっさりと二度目を吐き出す。痙攣して尻に力が入ると中に入っていたモノも果てた気がした。抜かれて分からなかったのだ。 前にいた正体不明のモノが弥勒が出した液体を綺麗に舐め取る。 それがまた気持ち良くて、残りも飛び出てしまう。 ぶら下がっている手首も膝も、割られている足の付け根も限界だった。 「たっ頼みます‥。おろして‥下さい‥。もう‥抵抗しません」 その相手はそれを聞いて笑ったような気がした。 そして望み通りおろしてはもらえたが、四つん這いにされ、突き出した尻を散々犯された。仰向けに返されて、再度犯された。分からぬモノの仕業か、弥勒の肉棒はすっぽりと何かに包み込まれて上下されることもあった。 人間らしきモノと動物らしきモノに好きなように弄ばれたのだ。 それは今まで弥勒が経験したことのない、例えようがない快楽の世界だった。見えない、聞こえないことが、神経を集中させ刺激だけを追うことになってしまったのだ。予想が付かないことも突然来る刺激に備える期間がなく、常にその不安で神経は高ぶっていたのかもしれない。 何回か数えることも出来ないほど頂点を見た。 「もう‥無理‥です」 全てを手放して降参するとようやく目隠しを取られた。 そこに見た者は‥初めに想像した通りの者が立っていた。 「‥」 「‥相当楽しんだみたいだな」 弥勒はニヤリと笑うの姿を確認したところで意識を手放した。 終わり |