えっ、俺ってどうしたんだろうか。
ここはどこだったのか考えたのだが、すぐに思いつかなかった。寝ていたソファーから立ち上がろうとしたのだが立てず、転げて床に這いつくばってしまった。
なっ何この格好。何と俺はサンタの上着だけで下には何も付けてなかったのだ。恥ずかしいから早く立ち上がって着る物を捜したかったのに何故か腰が抜けていた。
「冬哉起きたのか?」
床へ転けたときの音が大きかったのか、狼帝が顔を出した。
「俺、どうしちゃったの?」
「なんだ。覚えてないのか。昨日はケーキ屋のバイト終わってからそのままの格好でうちまで来て、俺を驚かせたんだろうが」
そっそう言えば‥、バイトが終わってからサンタさんの姿が結構気に入っていたのでそのまま狼帝の家に来ちゃったんだ。よく見たらここは都築の家の応接間だった。
ちょっちょっと待って。こんな所を狼帝のお父さんとお母さんに見られたらどうするの。
「冬哉‥、そんな色っぽい格好で誘うなよ。またしたくなる」
「だっだって‥立てないんだもん」
「う‥悪い‥。あんまり冬哉が可愛かったから歯止めが効かなくて、ついやりすぎた‥」
腰が抜けるほどしちゃったんだろうか。記憶が曖昧になるほど?
「そんなにしちゃったの?」
「これも覚えてないのか? ケーキ食べてワイン飲んで、それから虎王と3人で‥。凄かったぞ、お前」
‥言われて思い出してきた。そうだ、狼帝の両親がいなくって丁度いいって。ほぼ1人で飲んでたワインも程良く回ってかなり強請った気がする。思い出したらメチャクチャ恥ずかしくなった。
「ほら、帽子かぶってみろ」
俺の姿を眺めていた狼帝は、また俺にサンタの帽子をのせる。
「ダメだ。冬哉‥俺の部屋に行こう」
狼帝はそう言って俺を抱き上げた。
もうっ狼帝。ダメだって。
と言っても鼻歌でも聞こえそうなくらい機嫌のいい狼帝には、聞いてもらえそうになかった。
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