夢(アルエド)
「ア‥‥ル‥」 「兄さん‥?」 ボクの隣で寝ている兄さんを見れば、布団を抱えて丸まっていた。月明かりに顔が照らされる。その表情はなにやら険しそうで。ボクも兄さんの夢に登場してるんだ、と思えば嬉しいのだけど、一体ボクは兄さんの夢の中ではどんな役で出ているのだろうか。それを思うと不安でもある。 ボクにとっての兄さんはこの世で唯一の兄弟で肉親。言葉では言い表せれないほど大事な存在。父親は生きているらしいけど、ボクには兄さんほどの記憶はない。その兄さんが苦しそうなら安らかに眠れるようにしてあげたい。 「兄さん‥またお腹出して」 抱え込んでしまった布団を引き剥がそうとした。そのせいで冷えたのかと思ったのだ。 「ア‥ル、アルッ‥」 ボクの名前を呼ぶ兄さんに返事をする。 「兄さん、ボクがついてるから」 そう囁きながら布団を握り締めていた手をそっと解いてやる。肩をちょっと引っ張れば兄さんはゴロンと転がって仰向けになった。いつものランニングに短パン。寝るときはさすがに下はつけていない。 オートメイルと生身の繋がった部分が痛々しい。どれほどの痛みと闘ったのか、ボクには想像が付かない。兄さんはボクのために大人でも耐えられないと言う痛みに打ち勝ってくれた。 「兄さん‥」 どれだけボクが代われたら‥と思ったことか。兄さんはボクにはそんな素振りを見せず、ウィンリーとばっちゃんだけに涙を見せ、耐えきったのだ。 「兄さん」 何度呼んでみても兄さんは起きる様子がない。だけどさっきボクの声を聞いてから幾分険しい表情がなくなった。夢の中でもボクがそばにいて兄さんを守っているだろうか。 「ア‥ル、ダメ‥だ。そこは‥あっ‥」 なっ何だろう‥。兄さんは本当にどんな夢を見ているんだろうか。危険なことと遭遇しているのかと思っていたが、掠れた声でのこの台詞は他ごとを思い浮かべてしまうヨ、兄さん。 綺麗な金の、ボクと同じはずの金の前髪をそっと梳いてみる。兄さんの顔がハッキリと見え、切なげに寄せた眉と、先ほどの寝言が余りにも艶っぽくてボクの冷静さを奪っていった。 そっとランニングをめくってみる。第五研究所で付けられた傷跡がクッキリと見える。ボクはこの時ボクでないかもしれないと悩んだのだけど、これだけ兄さんのことが好きなんて、兄さんが操作するわけはなくて。ううん、操作できるはずがない、と言う方がピッタリかな。だってこれだけの深い想い、兄さんに分かるはずがないんだもん。これがなによりもボクがボクである証拠なのだ。 もう少し上まで引っ張ると他の皮膚より色付いた部分が見えた。そこはぷっくりと膨らんで摘んだり触ったりするためについてるんじゃないかと思わせる。けど、ボクのこの手じゃ柔らかそうなこの小さな粒の感触が分からないんだ。凄く凄く寂しい。ボクは兄さんの全てが知りたいのに。ここを弄ったら普段は男らしい勇ましい顔がどんなになるのか見たいのに。 「‥アル‥、ダメ‥。頼‥む‥」 気付かれたかと思ってランニングから手を離す。けれどやっぱりこれも寝言だったみたい。何がダメなんだろう。ダメと言いながら怒ってない所を見ると観念しちゃってるみたいだね。 こういうことをしたらダメってことなのかな。 ボクは今度は兄さんのパンツに手を掛けて少しずらしてみた。けれど下を向いてる男の部分はハッキリ見えなくて。身体は歳よりずっと小さいくせに、そこは年齢通りだと思わせる兄さんのモノがどうしても見たくなって両手で一気にパンツを降ろした。そこは何故か既にしっかりと形が出来ていて、やはり薄く色付いた部分がピクリと揺れた。それを見たら魂が熱くなるのが分かった。 「なっなっ、なんだ?‥」 まだ寝ぼけているけど兄さんは上半身を起こした。そしてパンツが膝まで下がっていることに気が付いた。 「なんだこりゃあっ」 慌ててそれを上げようとする。せっかくそこを見ることが出来たのに。ボクは足の間に手を突っ込んで上を向いているそこを掴んだ。 「ちょっちょお、アル。なにすんだよ」 暴れてボクの手を剥がそうとする。 「だってボクだってどうなるか知りたいんだもん」 兄さんはピタッと大人しくなった。ボクがこんな姿になったのは自分の所為だと思い込んでる可愛い兄さん。身体がないから出来ないことになると罪悪感からか抵抗できないんだよね。けど‥ここを触ったらどうかなるなんて誰に教わったのか、ボクはそっちの方が気になるよ。 ヤワヤワと揉みしだくとそこはもっと硬くなってくる。 「ねぇ、これって気持ちいいの?」 「う‥そん‥な‥こと」 「気持ちいいわけじゃないの? じゃあボクが生身の身体に戻ってもしなくていいかな」 ボクの鎧の大きな手じゃ指が三本掛かるくらいなんだけど、それでもしっかりと形が分かる。それを上下に動かしてやると兄さんは今までボクが聞いたことのない甘い声を出した。 「やっ‥アル‥ダメ‥だ、それ‥以‥上‥」 上半身を折り曲げるようにして、お腹が痛い時みたい。けどボクはそのまま手を動かし続ける。 「アルッ‥アルーッ」 兄さんは咎めるようにボクの名前を呼びながら、ボクの手に粘度のある液体を吐き出した。 「はぁっ‥ぁぁっ‥、こ‥こんな‥こと」 兄さんは目尻に涙を浮かべながらボクを上目遣いに睨む。 「ねえ兄さん。この瞬間って凄く気持ちいいってほんと?」 「だっ誰に、んなこと聞いた」 「誰でもいいじゃない。ボクは気持ちいいかどうかが知りたいんだ。どうなの」 兄さんは言葉に詰まって真っ赤になってうつむいた。 「‥‥人に‥言うことじゃない‥。けど、アルはそう言うのが分からない‥から、言うけど。気‥持ち‥いい、と‥思う」 「気持ちいいならまたやってあげるよ」 「なっ。ダッダメだ。俺たち兄弟なんだぞ」 「兄弟はしちゃダメなの?」 「ダメだ、ダメだ、ダメだっ」 壊れるんじゃないかと心配になるくらい兄さんは首を振った。 「兄弟だからこんなに兄さんのことを思ってるのに。こんなごつい硬い手じゃなくて、ボクは柔らかい暖かい手で兄さんのここを触りたいんだ。そうしたら兄さんは泣かないでもっと気持ち良くなれるんでしょう?」 「アル‥。お前は今、生身の身体を持ってないからそう言うことがしてみたいだけなんだ。俺が必ず元の身体に戻してやるから。それまで待っていてくれ。俺を信じて」 「ならそれまではこういうコトしてもイイ?」 「なっなんで、こんなことがしたいんだよ」 「だって、こんな顔。普段は見れないから。兄さん‥凄くいい顔してる」 「みっ見なくていい」 「それに兄さん、どんな夢を見ていたの?」 「えっ、ゆっ夢?」 「そう、夢。アル、アルってボクのことを呼ぶから。どんな夢を見てるのかなって気になって」 「いっいいじゃないか。俺の夢なんて」 「だってボクが出てたんでしょう。気になるじゃない。それともボクには言えないような酷い役で出てたの? 夢ってその人の深層心理が分かるって言うよね」 「ちっ違うっ」 「アル、ダメだ。って、さっきと同じようなこと言ってたよ」 「うっ‥」 真っ赤になって固まる兄さん。 「もしかして‥今と同じような夢を見ていたの?」 「もっもう寝るっ」 兄さんは布団をかぶってその中に隠れてしまった。 「兄さん。夢に見るほどしたかったなんて。これからちゃんとボクの役目を果たすからね。安心してね」 返事がないってことはしてもいいってことなのかな。嬉しくて嬉しくて気持ちが暖かくなっていく。身体なんてなくてもこんなに暖かくなれるんだ。ボクには兄さんさえいればいいって教えてくれる。 ボクは前よりもっと兄さんが好きになったヨ。 終わり
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ええっと、随分日が経ってしまいましたが、一応10万ヒットのお祝いとさせて下さい。 ただ‥これがお祝いになってるかどうか‥と言われると‥自信がないのですが‥。(汗) アルエドがお好きだとお聞きして、これを書こうと思ったまではいいんですが、龍詠ただのエロ書きなんで、健全サイトのマメダイフク様に捧げられるような物が書けません。(:_;) なのでどんどんと日が経ってしまい、なおかつ出来上がった物はエロしかないような話し‥。 ごっごめんなさ〜い。アルエド、私にはとても難しかったです。(^^;;; こんな可愛らしい健全イラにこんな乱れた話しをくっつけて載せさせてもらってもいいもんか、凄く悩んだんですが、こんなもの送りつけられても困りますよね。なのでここでこっそりと気持ちを捧げさせて頂きました。すいません‥。(:_;) けど大好きなにるさんを思う気持ちだけでも受け取って頂けたらなぁと願っております。 にるさん、10万ヒットおめでとうございます。これからもサイトのますますの繁栄をお祈り致しております〜vv |