「ろっ‥狼帝、お願‥い。イかせ‥て‥よ」
冬哉が潤んだ瞳で俺を見つめる。その時の俺はただ嫉妬に駆られ、キスを拒まれたことに衝撃を覚え、身体中の血が沸騰していた。一度くらい抱いてもそれは収まらず、何故、どうしてなんだ? との疑問で冬哉の顔を睨み付けていた。
いつもなら冬哉にイかせてと言われたら、欲望がすぐに捌けるペニスを扱いてやるのだが、少し虐めてやりたかった。冬哉が苦しむ様を見たら気が晴れると思ったのかもしれない。よく覚えてないほど頭に血が上っていた。
冬哉は睨み付ける俺を怖いとは思ってないのか、変わらず見つめ続け、そして上った血が逆流するかと思うくらい驚くことを言った。
「狼帝‥、キッ‥キスして。だから‥イか‥せて」
さっきはあれだけ拒んだのに‥。俺は自分の耳を疑った。
今までに冬哉とキスしたのは2回。1度目はイかせて欲しかったらキスしてもいいか、と半ば脅すように了解を得た。2回目はゲームだったが、冬哉から俺を選んでくれた。いずれも冬哉に俺のことを想う気持ちは含まれていないが、それでも充分に嬉しかった。
今回も冬哉の気持ちに変化があったわけではないし、それはよく分かっているのだが、キスしていいと言われ喜びで身体が固まった。
熱い息が短い間隔で吐き出される。そこは先ほどからずっと俺を誘っていた。
冬哉‥。
俺は冬哉の顔を両手で壊れ物を扱うように挟み、その可愛らしい唇に貪り付いた。本当に食べるのかと思うくらい口を開き、冬哉の口内を犯す。冬哉は下の口も虎王に突かれて苦しそうなのに、それを吐き出す所が塞がれてもっと苦しげに呻く。
角度を変えつつ一番ピッタリと合わさる所を探す。舌を絡めると途中で冬哉の叫びが俺の喉の奥へ飛び込んできた。
俺は他の奴らに何をされているか気にもならず、冬哉の柔らかな舌を味わっていた。
人差し指と中指で挟んだ耳を形に添ってなぞる。そのまま耳の中もそっと撫で続ける。下半身の激しい刺激を耐えているのに、それでも耳の愛撫にも冬哉は反応する。可愛くて愛おしい冬哉。
俺は冬哉をイかせてやることを忘れ、その口の甘さに酔った。
冬哉が達しても酔いは醒めず、かなりの力で足を踏んづけられて、ようやく目が覚めた。しばらくして酔いが醒めてくると、自分の行動がどんなに大人げなかったか思い出される。
俺は当分冬哉の顔をまともに見ることが出来ないかもしれない。そう思って覚悟していたのだが、冬哉は俺にちゃんと謝る機会をくれ、なおかつとんでもないことを考えついて、俺がそのことで落ち込むのを阻止してくれる。とんでもないことの方ではかなりガックリきてしまったが。
でも俺はそんな冬哉に心の底から惚れている。
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