![]() 狼帝は大学の中庭で俺のことを待っていた。 初夏の日差しの中、狼帝は一人だけ深緑の緑を湛えている。そばにいたら森林浴が出来るんじゃないかと思わせるほど、狼帝のそばにいると落ち着いてしまうのだ。 それは安心できる‥に近いかもしれない。ホッとするというのか。 俺は割と人懐っこいと言われるし、誰のそばにいても喋れないとか緊張すると言うことはないのだが、けれど狼帝といると誰よりもホッとする。 虎王先輩といるとやっぱり安心するけれど、けれど先輩とはゆっくりしていられない感じ。いつも何か新しい刺激を求めているから。俺はそれに期待しつつ、逃げ出したくなる気分も抱えている。 狼帝とはそれだけ信頼し合っているからだろうか。性格は随分違う気がするけど波長が同じだからだろうか。何もしゃべらなくても通じ合えてるこの関係が凄く好き。 ただ、これが夜になると先輩と狼帝に対する思いはまったく逆転してしまうんだけど。先輩とは安心して寝られるけど、狼帝は寝かせてくれない‥から。 だけどこうやって一番仲のいい友達とずっと一緒にいれるなんて、かなり俺は幸せだと思う。 「狼帝」 待たせたまま狼帝を眺めていたい気分だったけど、それじゃ悪いと思って呼びかけた。狼帝は俺に気が付くと、それまで渋い顔をしていたのに、俺だけに優しい笑顔を向けてくれる。渋い顔も大好きだけど、けれど俺はやっぱりこの優しい顔が大好きかな。 狼帝に彼女が出来たらこの笑顔を向ける相手は俺だけじゃなくなるわけで、それは少し寂しいかもしれないと思って狼帝のそばに駆け寄った。 「狼帝」 再度呼びかけると嬉しそうに冬哉と呼んでくれた。 俺はそんな狼帝が大好きで、この瞬間にしみじみと幸せを噛み締めた。 -- end --
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雪さん、こ〜んな格好いい、そして渋い狼帝くんを描いて下さってありがとうございました。本当に雰囲気があって素敵な狼帝くんでした。この狼帝くんを見たら、きっと冬哉くんだって心を動かされるはず! とか思って冬哉くんが見た狼帝くんを書いてしまいました‥。(^_^;) あの、雪さんが思われた狼帝くんのイメージと違っていたら言って下さいね。格好良さと渋さを損なわないよう書いたつもりなのですが‥。 もうメチャクチャに嬉しくて少し落ち込みモードだったんですが、すっかり癒されました! 本当にありがとうございました!! |