「はぁ、お前なに考えてんの。俺がいいって言うまでイっちゃなんねぇ」
「ええーっ、みっ岬先輩‥超酷いッス‥」
可愛い顔して言うこときつい。マジで俺泣けそう。
もうそろそろイイかと様子を窺いつつ、やっと好機が来たと腰を振り始めたところである。今すぐにでも爆発しそうなものを先輩の中に収めたまま、加速したい気持ちを押さえるのに全神経を集中させた。
「んく‥っ」
俺を受け入れてくれてる目の前の相手は「岬 剛」(みさき つよし)。大学2年生。高2の俺の先輩であり、一応恋人である‥と思いたい。
何故そんなあやふやな言い方なのかと言えば、俺はそう思いたいのだけど岬先輩はどう思ってるのかがまったく不明だから。恋人というのは惚れ合ってる者同士に使う言葉であって、片方だけが思っていても成立しないのである。ハッキリ言って俺は先輩のバイブであり、シモベでしかない。
でもこの童顔につぶらな黒目、目元のホクロ、エロ薄い唇を見てると堪らなくなる。華奢な身体は抱いてくれ、と朝昼晩、昼夜問わず24時間365日年がら年中、俺を呼んでいるのだ。
「何、なんか不満?」
体勢だけ見れば俺が上なのだから、先輩の方が酷いことをされているように見える。押さえ込んでいるにもかかわらず、下から半眼で高飛車に睨み付けられゾクリとする。
色っぺぇー。
当然だけど繋がっている大事な部分も思いっきり反応してしまった訳で。大きく脈を打ったことは岬先輩にも伝わってしまったことだろう。
何故ホクロが付いているだけでここまで色っぽいのだろうか。普段はぱっちりと大きな目が半分隠されると一気に違う表情になってしまう。エロくて誘っているようにしか見えない。そこにホクロが加わって俺の心臓は爆発しそうになるのだ。
不満があるはずなのに、自嘲して同意するしかない。
「ハイ‥、すいません。どうせ俺はドMです」
虐められているのに岬先輩の顔や表情は刺激的過ぎて、興奮はむしろ高まっていく。それだからMだと言われても思われても弁解できない。でもそれは岬先輩だけに限ってのこと。他の奴に同じことをされたら、多分ぶん殴っているか、無視して最後まで突っ走っていることだろう。
俺は高校生だけどラグビー部所属でしかも県内で1、2を争う強豪。そこでレギュラーなのだ。身体のつくりは半端なく頑丈でデカい。
それ故なのかやたらと性欲があり、毎日抜かないと気が狂いそうになる。青春しろと言われるように運動すれば性欲も一緒に発散される、なんて思われてるけどそれは嘘だ。疲れた時ほどヤりたくて仕方なくなる。そこら辺で見掛けた女を強姦してでも欲求を解消したくなるのだ。
自分でもヤバい奴だと思う‥。
名誉のために言っておくが今までに強姦もそれに近いこともしたことはない。それどころか女性童貞なので情けない奴だと映るかもしれない。
でも岬先輩がいなかったらどうなっていたか分からない。今もここでラグビーをやれていただろうか。少年院でやるはめになっていたんじゃないだろうか。「お前にはラグビーがある」なんて更正のために言われていたんじゃないだろうか。
けど‥、最後の最後では押し留まってくれると自分を信じたい気持ちでいっぱいだ。
決死の覚悟で腰の動きを止め、止まれたことを報告する代わりに先輩の顔を見つめる。
「お前さ、俺が最初になんて言ったか覚えてる?」
「‥はい‥」
岬先輩は自分が命令したことをキッチリ聞けるならヤってもいい、と言っていたのだ。けれど「勝手にイくな」とかの制限は受けてなかったので慎重に行動したのに。
止められた不満が顔に出てしまったのだろう。
「ふーん、俺の言うことに文句付けれる立場だと思ってるわけね」
そんなことは少しも思ってないので一生懸命首を振ったが遅かった。
俺の肩に担がれていた右足と腕に掛かっていた左足はかなり開いていたのだけど、胸を滑り一気に閉じられる。それは同時に俺の息子を痛いほど締め付け、足首で首も絞めたのだ。横からだけなので呼吸が苦しいと言うことはないが、結構痛い。
「先輩‥痛いッス」
「痛いのが好きなんだろ。お前が好きなことをわざわざサービスしてやってるってのに、なんで喜ばないんだ?」
先輩は俺が本当はマゾじゃないことを知っているくせに、いつも難癖付けては虐めてくる。俺はマゾではないが、先輩は真性のサド。ドSと言って間違いない。
でもこの得意げで高慢な顔にもやられてしまう。要は薄開きの目に弱いのだ。先輩も自分で分かっているのだろう。この目が人を射殺せることを。半開きのまま流し目なんてしてみ? 見られた人間みんなくたばって、死屍累々となること間違いない。
またゾクリとしてしまい、先輩に締められて喜んでいることになってしまった。
「素直に嬉しかったみたいだから許してやる。イかせろ」
この意味をはき違えるとまた大変なことになってしまう。許してやると言うのは「俺がしたいことを許してくれる」ではない。先輩に触れることを許されたのだ。突っ込んでいるのに変だと思うかもしれないが、抜けと言われてないから真剣には怒ってない。まだ虐めて楽しんでいる状態。でもこれで機嫌を損ねるとイってようがイってなかろうが容赦なく終了が告げられる。
ペニスに触れることを許可されたシモベは、先輩をイかせることに集中しなくてはならない。そう、自分だけがイくようなやり方だとダメだしを食らうのである。
「了解」
先輩の両足に手を掛ければ力が緩んだ。その足をググッと割り広げ、先輩の腰を高く上げると俺は四つん這いになった。ようやくイける、と思って気を抜いてはいけない。
ゆっくり‥、気遣っていることがハッキリ伝わるほどゆるゆると動きだし、片手は先輩の息子に手を掛ける。強く握り締めてしまわないよう気を付け、扱く。
この俺の、手と腰の動きが合ったとき、先輩は感じたのか声を上げる。
「んんっ‥」
少し切なげな表情がこれまた堪らない。そしてこの顔に理性も思いやりも吹っ飛んでしまうのである。
飛びそうな理性を必死でつなぎ止め、先輩を気持ち良くする方向に動く。ゆっくり腰を使い、やんわり手を動かす。
「はぁ‥はんっ‥、あっんんっ‥、いっイイ‥感‥じ、もう‥少‥し」
先輩は自らを高めるよう、骨盤の角度を調整する。腰を引いたり、倒したりしている様は悶えているようで、これまた色っぽい。
俺もイきたい。
そんな思いが身体中を駆け巡る。これは俺の精神力の戦いなのだ。この苦難を乗り越えれば、どんな我慢も出来る男になれる気がする。少年院も刑務所も入らずに生きていけるのだ。
「ああっ‥、も‥イく‥から」
先輩からラストスパートを掛けろとの指示が出て、手の速度を上げた。もちろんそれに合わせて腰の動きも速くなる。
イきたいのを必死で堪え、先輩が達するのを死ぬ気で待つ。
ああ、先輩。岬先輩、俺の方がもう持たない‥。
二人の息が荒くなり、鼓動が跳ね上がった。一瞬時間が止まったかと思わせる瞬間を経て、それから達する。
頂点へ昇っている先輩も美しい‥。
「もう用は済んだだろ。抜け」
返事をする間もなく、先輩に胸の辺りを蹴っ飛ばされた。
その衝撃で正座をする形になり、腰が落ちたことで先輩から抜け出してしまい、身体が水平になった先輩の足が伸びきると、俺はその足に押され後ろへひっくり返った。勢いに乗ってそのままベッドから落っこちる。
重い身体が落ちて部屋中に振動と音が響き渡った。素知らぬ顔で立ち上がった先輩は、落ちた俺を見下ろして完璧な笑顔で微笑んだ。
痛い、との呻き声一つ出せない。なんだ、この笑顔。慈愛に満ちたものではなく、勝利を確信した笑顔。勝ち誇ってなお嗤う。嘲られているのにどうしてこんなに美しいと思うのだろう。
また俺はその顔に撃沈する。
「先輩、もっかいお願いします」
その場で土下座をして拝み倒す。当然だけど簡単にオッケーが出るわけがない。
「バカか、お前。もう充分だろ」
風呂場へ進み掛けた岬先輩は少しだけ振り返り、呆れた目付きで横目にチラリと見下ろした。
そう、これぞ岬剛伝家の宝刀。流し目を食らわされて俺は理性を失った。
タックルに来たウィングを押し止める、それくらいの素早さと力であっと言う間に先輩をベッドへと押し戻した。
抵抗などさせず、両足を両手で押さえ付け、己のモノを突っ込んだ。
「バッバカ野郎」
根元までキッチリ収まったときにようやく先輩が叫んだが、理性の切れた俺の耳には入ってこない。
「嫌だ、我慢できない」
先ほどの潤滑剤がまだ残っている。引き攣れることもなく出し入れを容易にする。前にはなかった肉体の当たる音がパンパンと響いている。
「先輩、好きです。惚れてます、愛してる。一日中突っ込んでいたい」
発情期の犬のように盛り狂って、思うがままに突きまくり、思いっきり吐き出した。
「超気持ちいい‥」
満足の溜息と共に力が抜けてその場に座り込む。その途端、先輩の攻撃が嵐のように繰り出された。
踵落としから始まり、顔面も蹴られ、首は横からスネで蹴られた。
「ったく、腰いてえっ! お前、何度も言わせるなよ。一体何回繰り返せば気が済むんだよ!」
「だっだけど先輩見てるとムラムラするし、先輩‥挑発するし」
「この大バカ野郎が! 4回だぞ、4回!」
また突き落とされるくらいの蹴りが鳩尾に決まって、先輩は今度こそ風呂場へ消えた。
うぐっ、こんな場所に決まってはもう動けない。
そう、この話しの最初のシーンは、さっき吐き出したシーンの少し前だと思ってもらうといいかもしれない。
先輩が色っぽすぎて中々離れられず、延々と抱き続けてしまい、先輩もぶち切れていたのだった。
ハッ! もしかして、俺の方がSなのだろうか‥。我慢強さは身に付いただろうか。刑務所には入らずにすむだろうか‥。
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2010/02/11
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