シン「来ちゃった……」
ここはアイドルグループ『ファントム・ペイン』の所属する事務所。
ステラから貰った名刺を頼りに、ここまで来てしまった。
シン「いるかな?」
シンはステラに会いたかった、会ってどうするという訳でもなく、ただ会いたかった。
しかしアイドル事務所に行ったからといってアイドルに会えるわけはない。
そんなことは…
シン「わかってる…でも!」
不意に扉が開いた、そして一人の男が現われた。
?「あ、君かい、新しい子猫ちゃんは?……そんな所いないで入りなよ。」
突然出てきた仮面の男、とまどうシンに男は構わず手を引いて事務所の中に入れた。
シン「えーと……」(仮面……)
?「あ、紹介が遅れたね、私はネオ、ネオ・ノアロークだ。」
シン「は、はぁ…」(お笑いの人かな?)
ネオ「君の名前は?」
シン「シン・アスカです。」
ネオ「え?聞いてたのと違……あぁ、芸名か、なかなか気の早いお嬢さんだ。」
シン「あの、ステラに会いたいんです!」
ネオ(志願理由だな。)
ネオ「それはこれからの君の頑張り次第だよ。」
シン「頑張り?」
ネオ「簡単には……ね。」
シン「なんでもしますから、ステラに会わせてください!」
――――――――――――
ネオ「アイドルならマイクを上手に使えなければならない。」
ネオ「形を手に覚えさせるように擦すれば、マイクが体の一部のようにつかえるぞ。。」
ネオ「しっかり口でしごく、喉もしっかり使って、喉を鍛えるんだ。」
ネオ「飲むんじゃないぞ、口の中に留める、アイドルは時に我慢を必要とするからな。」
ネオ「もっと腰を動かす、アイドルは体力勝負だ!」
ネオ「危険日?人気低迷になったら一か八かの賭けに出ることで生き残れる……うっ」
ネオ「まだまだぁ、持久力がないとライブも出来ないぞ。」
ネオ「仕事の掛け持ちは当たり前、次は四人を相手してもらう。」
ネオ「じゃあ奥の部屋に…」
ネオ(よし、パーティータイムだ!)
そう言われて奥の部屋に向かい、ドアを開ける。
スティング「おい、遅いぞ!」
ステラ「ぐぅぐぅ…」
アウル「いつまで待たせんのさ?」
そこには『ファントム・ペイン』が、『ステラ』が居た……
シン「ステラ!」
ステラ「んー?スイカバーの種は食べてもいいんだよ?」
シン(寝ぼけているのか?)
ネオ「なんでおまえらがここにいる?」
スティング「はぁ?打ち合せがあるからって、おっさんが呼んだんだろ?」
ネオ「おっさんじゃない!」
ネオ(そういえば次の歌番組の打ち合せだったな…)
アウル「用がないなら帰るよ。」
ネオ(呼んだのを忘れてた、これは俺のミスかな…)
ネオ「まぁまぁ、打ち合せ前に新人を紹介しよう、この子が…」
ステラ「んー!?…シン?」
スティング「なんだシンじゃねぇか?」
アウル「『アイドル』になる気になったんだ。」
シン「………へ?」
ステラ「シンー!」(シンに抱きつくステラ)
ネオ「なんだ、知り合いか?」
スティング「まぁな。」
ネオ「だったら話は早い、おまえらの後輩になるかもしれないから、仲良くな!」
アウル「おまかせってね!」
ステラ「シンー!シンー!」
(頬ずりスリスリ)
シン「あのー、俺はステラに会いにきただけで、『アイドル』になる気はな……」
ネオ「そうと決まればさっそく準備するか、慎ましくな。」
シン「だーかーらー!!」
終わり。