【なくてもいい前フリ設定】
氷帝学園男子テニス部は全国大会常連という強豪だ。
対して、女子テニス部はそれほど強いわけではない。
稀に一人二人の実力者はいるものの、大会常連になるには物足りない。
実力はあるがチーム戦では負けてしまう。
そんな女子テニス部の実力者に、救いの手を差し伸べたのは榊だった。
女子テニス部一番の実力者へ、男女混合ダブルスへの誘いをかけたのだ。
条件は二つ。
ひとつは男子テニス部レギュラーの足を引っ張らない事。
もう一つは男子テニス部正レギュラー陣が生活の拠点としている特別施設への入所だ。
特別施設は冷暖房完備の他、豪華食堂、トレーニングルームがあり、自室にはシャワーもある。
そこらのホテルよりも余程住み心地がいい。
セキュリティ面も万全で、中に入るには生体認証をクリアしなくてはならない。
選手育成のためには惜しみない援助をするその姿勢に、選ばれた女子選手は勿論、選ばれなかった選手も感謝の念を抱いていた。
しかし、何故か女子テニス部の選手は、長く続かない。
一週間、あるいは三日も持たずに選手を辞退する者もいる。
理由を聞けば、皆が皆、ついていけないとだけ話すのだ。
そしてある日、女子テニス部最後のレギュラーが選ばれた。