「二年六組、向日岳人。よろしく」

自己紹介をした選手を見て、レギュラー陣はそろって溜め息をついた。

「…お子様じゃねーか」
「いつ見てもちっちゃいなぁ」
「ついてこれるのかよ」

上から跡部、忍足、宍戸だ。
全員岳人と同学年であるにもかかわらず、この言い様である。
岳人がムッとしても当然だ。
第一、男子である彼らと女子である岳人では体格に差があって当然だろう。
それに、中学2年の平均身長よりも彼らは高すぎるのだ。

「岳人、久し振り。今日からよろしくね」
「今度は岳人!?嬉Cー!」

滝とジローが岳人に声をかける。
滝と岳人は一年時に、ジローと岳人は今同じクラスだ。
忍足とも同じクラスなのだが、こちらはあまり仲良くない。
一年でレギュラーだという鳳、樺地、日吉も順に頭を下げる。

「じゃあ、早速来なよ。施設でのルール教えるから」

滝に案内され、岳人は荷物を持ってついて行く。
自室として案内された部屋に荷物を置き、ミーティングルームへと入る。
岳人が勧められたイスに座ると、最後に部屋に入った鳳と樺地が扉に鍵をかけた。
滝の淹れた紅茶に口をつけ、説明を聞く。


「まず、門限だけど、あんまり遅くになると危ないからね。午後九時〜午前六時までは外出禁止。なにか入り用なら、ミーティングルームで大抵は揃う。
自室にシャワーはあるけど、大浴場も使えるよ。使用時間は午後六時〜午前九時。
集合の時は放送がかかる。原則、五分以内に集合。
決められたスケジュールは、勉強時間が日に二時間。課題でも自習でもいいから、集中してやること。
あとは…大体、ルールブックに書いてあるから、分からないことがあればその都度聞くように」

滝はA4サイズの薄いルールブックを岳人に渡す。
岳人はそれを受け取り―――身体が妙に熱っぽいことに気付いた。
力が入らない。
頭の中がぼんやりとしている。

「…あ…あれ…?」
「それから、これが一番重要でね」

滝がにっこりと笑った。



「施設内では男子に絶対服従、施設内での出来事は口外禁止。守れない場合は…どうなっても知らないよ」










おとなしくしてなよ、岳人に経験なんてないんでしょ。
痛い目見たくないなら、抵抗しなきゃいいんだ。
滝がそう言うと同時に、忍足が背後から岳人の上着を捲りあげる。
脇腹を撫でられ、ビクッと身体が反応した。

「はっ…な、何…どういう…?」
「カマトト…って訳じゃねーんだろ?」

抵抗のためか、弱々しく振り上げられた岳人の左手を、宍戸が掴む。

「今時ウブだよ。岳人、本当に何されるのかわからない?」

岳人は泣きそうな顔で首を振った。
きっとさっきの紅茶に何か盛られたのだろう。
そんなことをされてしまったのだ、これが悪い冗談じゃないことは分かっている。

「やだ……ね、ねぇ…滝…ジロー……やめ……」
「危機感はあるのか…大丈夫だよ、オレ達だって鬼じゃないんだ。抵抗しなきゃ可愛がってやるさ」

抵抗らしい抵抗も出来ない間に、岳人は上着を脱がされてしまう。
忍足の手がブラジャーの上から岳人の胸を揉む。
初めてだから、と多少手加減してやっているのか、優しい手つきだ。
それでも、岳人からすれば、そんなことはどうでもいい。
唇をきつく噛み、目をギュッと閉じて、弱々しく首を振るだけだ。
岳人は何を言っても何をしても助からないことを理解していた。

「声を聞かせろ」

跡部の命令も、首を振って拒否する。
と、ジローが岳人の鼻をつまんでしまう。

「っ…!」
「ほら岳人!口開けて、声聞かせて」

無邪気に笑われても、岳人には恐怖しかなかった。
逆らったらどうなるか分からない。
どうせ助からないのなら…
岳人は観念し、口を開いた。
その時を待っていたかのように、忍足がブラジャー越しに岳人の乳首を摘んだ。

「ひゃっ!」

裏返った声は、とても自分の声とは思えなかった。
恥ずかしさで顔が真っ赤になる。
レギュラー陣はそれを楽しむように見ている。

「ええ声出るやん」
「喉嗄れるまで鳴かせてやるよ。…いや、泣かせてやるか」

跡部が岳人の髪を掴んで顔を上げさせた。

「いたっ…」
「お前、処女か?」

不躾な問い掛けをつっぱねられるほどの力もなかった。
怖々と頷く。
途端に頬をはたかれた。

「ひぃっ!」
「ちゃんと答えろ」
「う…あぁ……」
「もう一度叩かれたいのか?」

ボロボロと涙が零れる。
懸命に首を振り、助けを求めるように視線を彷徨わせる。
しかし、誰も、滝やジローですら、岳人を助けようとはしなかった。
跡部の手が、先程とは反対の頬を打つ。
バシッ、と音がして、岳人は悲鳴をあげた。

「やだっ…やだやだやだっ!助けてっ、助けてっ!」
「質問に答えるまでは何度だって痛い目に合わせてやるぜ」
「答えてるじゃっ……ひああああっ!?」

岳人は背をのけ反らせ、目を見開いた。
ジローが岳人のショーツの中に手を入れている。

「岳人、ちゃんと答えなよー。はい、処女です、って。言わないならお仕置だよ」
「次に答えんかったら、オレもお仕置モードになってまうで」

耳元で忍足が囁く。

「お仕置は嫌だろ?答えろ、岳人。お前は処女か?」

跡部がもう一度尋ねる。
岳人は震えながら答えた。

「しょ…処女…だよ……」
「自慰の経験は?」
「…な、ない……」
「やり方は知ってるか」
「っ……」

真っ赤になって岳人は首を横に振った。
同時に乳首を爪でひっかかれる。

「いぅっ!」
「やり方は」

顔をしかめる岳人に構わず、跡部は再度問い掛けた。

「知って…る……」
「どうやるのか言ってみろ」
「言わなかったら…岳人のココ、思いっきり捻っちゃうよ」
「やあぁっ!」

ジローの手が動いた。
盛られた薬によって無理矢理性感を高ぶらされたため、まったく経験のない身体も反応してしまっていた。
勃起した肉芽をジローにつつかれ、岳人は初めての快感に声を上げた。
しかも、初めての身体はそれを快感とは受け止められず、岳人は得体の知れない感覚に更に恐怖した。
恥ずかしいからと回答を拒んだら、本当にどうなるかわからない。
恐怖が羞恥を上回った。

「ば…バイブ…とか……いれて……」
「どこに入れるんだ?」
「っ…ち、膣……に……」
「それで?」
「…バイブ…スイッチ…いれて……」
「その後は?」
「う……む、胸とか…触って……感じてくるから……それで、その……」
「それで、なんだ?」
「あ…そ、それで……イって……」
「説明下手だな」

跡部は岳人の髪から手を放し、満足そうに笑った。

「まあいい。お前ら、脱がせて押さえ付けろ」

レギュラー陣に腕力で敵うはずがない。
岳人はあっさりと全裸にされ、机の上に押さえ付けられてしまう。

「さて…初めてだからな、選ばせてやるよ。誰にヤられたい?」
「…っ…い、いやだ……皆、嫌だっ!」
「嫌なの?じゃ、初めてはバイブにする?」

滝が太いバイブを岳人の眼前に突き付けた。
初めて目にした玩具に、岳人は息を飲んだ。
知識はあっても見たことはなかったし、使われることすら思い至らなかった。

「我儘はダメだよ。こんなのに処女捧げるなんて、嫌でしょ?」
「や…やだ…」
「ね。どうするの?」
「…だ…だって……」
「五秒で決めなけりゃバイブ突っ込んでやるぞ」

跡部の脅しで、岳人は選ばざるを得なくなった。
初めてをバイブで…なんて、絶対に嫌だ。

「あ…跡部と忍足とジローと滝と宍戸以外っ!」

跡部と忍足は論外。
ジローと滝には裏切られた。
シシドは抵抗を許さずに腕をつかんだ。
ひどいことをした奴を外した、あまりにストレートな人選に、全員が思わず噴き出した。

「お前…いくらなんでも…」

宍戸が笑いをこらえて肩を震わせている。

「ま、岳人らしいっていえばそうだけど…」

滝も笑いを堪えられないらしい。

「そしたら…日吉?」

ジローが日吉を手招きする。
仏頂面で岳人を眺めていた日吉だが、先輩には逆らえないのか素直に歩み寄る。

「せやな…最初から樺地や鳳だとこの子もツラいやろ」

背も小さいし…とは呟かなかったが、忍足以外の全員も同じことを思っていた。
小柄で男性経験のない岳人が、樺地や鳳のような体格のいい者を相手にするのは無理だろう。

「それじゃ…いただきますね」

日吉は身動きの取れない岳人を見下ろした。
和んでいるのはレギュラー陣だけだ。
岳人はガチガチに緊張して身体は強張り、レギュラー陣を恐怖の対象としか感じられなくなっていた。










シーツにくるまり寝息を立てている岳人の髪をそっと梳く。
余程疲れているのか、岳人は身動ぎもせず眠り続けている。

「あれからだいぶたつのに、ちっちゃいまんまやな」

岳人を起こさないように、忍足は笑った。

「それ、背のこと?それともおっぱい?」

岳人を挟んで、ジローが尋ねた。

「両方」
「やっぱC」
「背はなぁ…ちっこいまんまでも問題ないけど乳はもうちょい欲しいな」
「忍足は巨乳派?」
「ないよりあった方がええ。プレイの幅が広がるやん」
「未だにAカップじゃそう言いたくなるのも分かるー」

岳人がこの施設で生活するようになってからもうすぐ一年になる。
ことあるごとに泣いていた岳人も、最近では本来の明るい調子を取り戻し、跡部や忍足に意見するようにもなっている。
この会話を聞いたらまた怒ってほっぺたにビンタでもされるんだろうなと考えながら、ジローと忍足は眠っている岳人をいとおしそうに眺めていた。






後書き



岳人の入所→2年の4月中旬ごろ
と思っています。

最後の乳談義。
何でもイケる派:跡部、忍足
貧乳派:日吉
形重視:滝
やわらかさ重視:宍戸、ジロー、鳳
興味なし:樺地

話はやや尻切れですが、一応、この後しっかり日吉にいただかれています。

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