チューリップ チューリップの咲くころには戻ると貴方は言った。 庭のチューリップはもう満開だけど、 僕の横に貴方はいない。 一人でこの花が散っていくのを見守るのももう三度目。 どうして僕はいつまでも貴方を待っているんだろう。 あの約束がもう果たされないものだと 心のどこかで確かに認めているというのに。 信じたくないわけではない。 認めたくないわけではない。 ただ今年も貴方の好きなチューリップが とても綺麗に咲いたので。 ただ見つめているだけなんだ。 見上げた空のずっとむこうにいるんでしょ? そこから貴方もきっとこのチューリップを見下ろしているんだから。 |
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