ルルーシュ?
 え、と振り返った。
 だって呼ばれたから。呼ばれたら振り向くだろう、普通。
 でも、そこにいたのは。



見つけたよ!



 ちょ、ちょ、ちょ。ちょっと。ちょっと待て。
 ルルーシュは、自他共に認めるイレギュラーに弱い(といっても自分ではあまり認めたくなかったが)、一般人だ(これも複雑な事情が色々あるのだが)。
 だから、慌てないはずがなかった。

 見つかった! よりにもよって、コーネリアに!!

 周囲の人間はびっくりして、総督であるコーネリアもまたびっくりしていた。勿論ルルーシュもびっくりした。

「「なんでここに」」

 だから、と言っていいものか、奇しくもその発言はコーネリアとルルーシュ、両方から同時に発せられた。
 なんでここに、いるんだ。お前は総督であり、それ以前に皇族であり、つまりルルーシュとは交わらないはずの人間だ。
 なんでここに、生きている。お前は死んだはずであり、つまりコーネリアとは交わることができなくなったはずの人間だ。

「いや、私はユフィのためにぬいぐるみをだな、その、だから、私の趣味ではなくて」

 奇遇だな、俺もナナリーのために、いやそうじゃなくて。慌てる頭で、逃げ道を探す。背後にはコーネリア、店の出口には彼女の騎士のダールトン。
 可愛い雑貨屋で皇族に遭遇するだなんて、誰が考えただろうか。しかも二人とも目的は妹のプレゼント購入。シスコンにも程がある。
 だがそこは租界でも人気の店で、抱き心地と可愛さでは一級品を置いてあるのだ。

「じゃ、なくて、ルルーシュ、だな? ルルーシュ・ヴィ……」
「恐れながら、何方かと勘違いなさっているのでは」
「私が間違えるものか! お前は」
「いっ」

 がっしりと肩をつかまれ(痛い、手加減をしろ、痛い!)、耳元で囁かれる。ルルーシュだろう? マリアンヌの、長子。疑問ではなく、確認の声音。
 何で皇女殿下自ら買い物に来ているんだ! 罵りたいが、返答は用意に予測できる。シスコン振りは相変わらずか(だがルルーシュも人のことは言えない)
 武人の力から逃れるほどの体力は、ルルーシュにはない。店員は突然の出来事に挙動不審だし、騎士が主に逆らうことなどないだろう。
 逃亡経路をシミュレートしろ。そう、死んだ皇子が生きているはずがないのだ。口先でなんとかコーネリアから抜け出し、仁王立ちするダールトンを潜り抜け、逃亡。出来るのか?  否、出来なくともするんだ。あ、しまった。学生服のままだった。どうするべきだ。こんな時にカレンは何をしている! そうだ、黒の騎士団を呼ぼう。店を包囲し、その隙にって阿呆か!
 しん、と静まり返った店内で、見詰め合う見目麗しい男女二人。少年は熊のぬいぐるみを片手にし、テレビで御馴染みの女性の目つきは何やら怖い。 普通なら目の保養にもなるだろうそれも、何だか奇妙にしか見えなかった。

「何故生きてることを――いや、当然か。だかしかし私たちがどんなに嘆き悲しんだことか!」
「いえそのコーネリア殿下? 何を仰ってるのか分か」
「大丈夫だ。ナナリーはどうしてる? 生きているんだろう? 保護してやろう。お前はともかく、ナナリーをまた道具になどさせるものか」
「ナナリーだけかよこのシスコン。じゃなかった、あの、殿下、」
「何だルルーシュ。大丈夫だと言ったろう? ユフィも喜ぶ。そうだ、副総督になって一緒に暮らそう。一人や二人増えたって構わないだろう」
「構えよ。人の話を聞けよ」

 動揺のしすぎか、一般人を装うことは彼方に投げやっての応対。
 ルルーシュの暴言とも取れる無礼な振る舞いに、店内の空気はひんやりと凍った。主な原因はダールトンの出す、不機嫌オーラだ。
 もしかすると、思い込んだら一直線というのは皇族の性なのかもしれない。しかも一例を挙げればテロってブリタニアをぶっ潰すだとか、些か突飛な方向に。

 じりじりと腰が引けてきたルルーシュと、背後に花を咲かせて妹二人とのうはうはライフを妄想し始めたコーネリア。
 報告を受けてやってきたシュナイゼルが、更に場を引っ掻き回すまで、後ちょっと。



(ああもう誰か助けてくれ!)






おやくそく
ネリ様だいすきー。






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