どうしよう。
 張り詰めた顔をして、空気の読めない男は言った。
 どうしよう。ルルーシュ。



爆弾投下



「気になるんだ。なんかルルーシュの挙動一つ一つ? よく分かんないけど。思わず目で追っちゃうんだ。なんでだろう。寝顔とか見てると、ずっとこのままでいたいな、って気持ちになる。そんで、ルルーシュと一緒にいるとすごく幸せになれるんだ。怒られた時は本当は反省しなきゃいけないのに、嬉しいんだよ。ルルーシュが僕のこと、ちゃんと考えてくれてるんだなあ、って。あ、怒った顔、可愛いよね。でも笑った方が可愛くて好き。ナナリーといるといつも柔らかい顔してるよね。でも、ルルーシュがナナリーに笑いかけると、すごく変な気持ちになるんだ。もやもやってする。なんなんだろう、これ。どうしよう?」

 どうしようって。それは。お前。
 スザクの様子が最近おかしかったのだ。ため息が多く、覇気がない。ルルーシュは鬱陶しいと言っていたが、実は心配しているのだということにリヴァルは気付いていた。だから、言ったのだ。どうしたのか、と 。
 単なる世間話の一貫のつもりだった。気合で平静を保ちながら、リヴァルは皆の様子を見渡す。ちなみに場所は生徒会室。彼の人に片思い中のシャーリーはかちんこちんに固まり、珍しく病欠ではないカレンは明らかに引いている。ミレイは面白そうに目を細め、気の弱いニーナには刺激が強かったのだろう、パソコンに突っ伏している。運良く、ナナリーはいなかった。そして、ルルーシュは。

「………。…………。………………。会長、この件についてなんですが」

 聞かなかったことにしたらしい。もしくは、脳が受け付けなかったか。思わず哀れみを込めて見遣ってしまう。彼は基本的に鈍感だが、ここまではっきりと言われて理解できないほどではない。しかし何事も受け入れられるだけの柔軟さは持ち合わせていない。
 一方スザクはといえば、肝心のルルーシュに無視されたことに、しょんぼりと頭を下げる。まるで犬のようだな。リヴァルは思ったが、助け舟を出そうにも問題が問題で、どうにも発言しにくい。

「病気なのかなあ?」

 小さく呟くスザクに、彼らの心中は一致した。病気だよ、それも薬じゃ治らない類の。にたりと目を光らせたミレイに気付き、リヴァルは慌てて止めた。この世界には、掘りまくっていいネタと、断じて触れてはいけないネタがある。この場合は言わずもがな、後者だ。
 嫌な空気が、生徒会室に流れる。一触即発触るな危険。流せこんな話題。ルルーシュに倣って、何も聞かなかったことにしよう。満場一致で無言のうちに取り決めが為された。彼らの性癖は至ってノーマルだ。
 だが、問題児が一人。彼は空気が読めない。天然と言い換えても良いが、結果的には同じこと。何事もなかったかのように書類整理を続けようとした彼らに、又もや爆弾が投下された。

「ね、ねえ。どう思う? ルルーシュ。変だよね、こんなの」

 おお神よ! リヴァルは宗教熱心ではない。だが時には神に縋りたくなる時もあるらしいと、今知った。
 ルルーシュは一見平静。だが持ったペンごと体は完全に固まっている。下手すると呼吸さえも忘れているのではないだろうか。そう心配するほどの停止振りだったが、ちらりとリヴァルの方を見た。助けてくれ。だがしかしその期待に応えられるだけの力を、リヴァルは持ち合わせていない。心の中で両手を合わせながら、神速で目を逸らした。
 完全停止状態のルルーシュに、不安げにスザクが声をかける。それでも彼は動かない。動けない。彼は優しい。本人に言えば物凄く嫌な顔をするだろうが、事実彼は優しい。だからきっと、今その明晰な頭脳をフル回転させて、現状打破のための作戦を練っているのだろう。条件はスザクを傷つけないことか。難解だ。

「ねー、スザクぅ?」
「なんですか、会長さん」

 しまった。リヴァルが気付いた時にはすでに遅く。ルルーシュを見守っていたら、ミレイの存在をすっかり忘れていた。彼女はこういうことに首を突っ込むのが大好きだ。その上ある点において非情におっさん臭い。
 悪友のために、せめて外部からの刺激は止めてやりたい。打開策を巡らすが、思い浮かぶわけもなく。せめて小さな刺激で済ませてやってください。そう祈るが、

「ルルちゃんみて、おっきする?」
「ほゎうぁっ!?」

 ミレイがそんな生易しいわけもなく。生々しく直接的過ぎる発言。それより今の、到底人の声帯から発音されたとは思えぬ不可思議な声は、ルルーシュのものだったのだろうか。彼を見れば、化け物を見るかのような目で彼女を凝視している。ポーカーフェイスの彼にしては珍しすぎる、素で驚いている顔だ。
 その彼女の目線の先にいるスザクは、言いにくそうに言葉をにごらせていた。なぜ言いよどむんだ。言いよどむようなナニかがあるのか枢木スザク!

「そっかぁ、それじゃあ確定ね! 枢木スザク! 君はつまり――」
「「会長!!」」

 シャーリー、リヴァルの声が重なった。言わせてはならない。空気の読めないスザクが自覚したら、何が起こるか分からない。カレンは引きつった顔でいたし、ニーナは未だ復活していない。精神衛生上悪すぎる。

「だってえ、おっきするんでしょ?」

 頬を膨らませて見せるミレイに、恋する少年リヴァルは一瞬ぐらりと揺れたが、しかしこればかりは。
 ああもう本当にどうしたらいいのだろうか。渦中のルルーシュに目をやると、ぱっと顔を上げて入り口の方へ体を向けた。なんだろう、そう思う前に扉が開き、ナナリーが入室する。ちょっと待って、今ナナリーが入る前に反応したよね? ルルーシュにはどうやら、妹センサーなるものが付いているらしい。

「ああ、ナナリー。どうしたんだ?」
「皆さんに差し入れを……お邪魔ではなかったでしょうか?」

 いいえ寧ろ大歓迎です。変に濁った空気が、柔らかなナナリーの存在を清涼剤として、幾分か軽くなった。ああ、よかった。問題の彼と悪ノリ達人の彼女を除いたメンバーが嘆息する。
 さすがのスザクも、ナナリーのいるところで生々しい話を続けようとはしないだろう。彼自身の不安は無自覚だからともかく、ミレイの質問に対する云々は――

「はい、勃起します」

 それはもういいんだ!
 終わったとみえた話をいっそ清々しいほどに掘り返すスザクと、動揺のしすぎで転んで机の角に頭をぶつけるルルーシュ。
 お兄様? と可愛らしく首を傾げるナナリーの口元が、一切笑みを描いていないことに気付いた人間は、どこにもいなかった。



(平和、だな)







無自覚スザクに押されまくって、気付いたらスザクの事が好きになってればいい。
スザクは無自覚だし、ルルは自分から告白とか無理だし自分はノーマルと信じたいから、変な状態が続きまくるといい。






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