DVD4巻のピクドラ(ルルナナ)をものっそいネタバレしています。
後、ギャグ(?)の分かる人以外は読まないでいてください。気分を害されたら申し訳ないです><
突如胸が苦しくなった。痛い。痛い。
うずくまる彼に、カレンが駆けつける。
しかし、そこには既に息絶えたゼロが倒れ伏しているだけだった。
願わくば
――お兄様、早く帰ってきてください。お兄様。お兄様――
アッシュフォード学園のクラブハウスで、ナナリーはぽつんと兄を待っていた。一緒にいたいのに、あの兄は妹心を分かってはくれない。そうそう我侭を言うわけにもいかないから我慢はしているが、今日でもう一週間も連絡がない。
テロに巻き込まれたのか。そんな心配もしたけれど、最近は黒の騎士団の活動は沈静化している。ゼロが死んだ。そんな噂もあったけれど、どうなのだろうか。
目に見えて元気のないナナリーに、スザクが告げた。賭けかなあ。それとも女の人のところにでもいるのかなあ。誰かがスザクを殴った音がした。
でも、女性――? そんな影はちらりとも見せていなかった兄。しかしある日唐突に将来を誓い合ったという女性が現れた。CC。彼女が、兄を戻してくれないのだろうか。
――CCさん、お兄様を帰してください。返して下さいとは申しません。ただ、帰してほしいのです。CCさん。CCさん――
CCが消えた。頭領の消えた黒の騎士団は忙しく、ことさら気に留める誰かがいたわけではなかった。
何の前触れもなく死んだゼロは、まだ少年だった。遺体に仮面をつけたままにするわけにもいかず、外したそれを見て誰もが驚愕した。
特にカレンは、級友であったらしく。守りきれなかった罪悪感と、衝撃に未だ苛まれている。
「あ、カレン。……どこへ?」
「うん、ちょっと。ゼロの……彼の妹、多分ずっと待ってるから」
部屋に篭っていたカレンが、ふらりと出てきた。服は黒の騎士団のものではなく、単なる私服。おそらく何処かで制服に着替えるのだろう。
黒の騎士団は、ゼロの死を隠匿させねばならない。しかし、ルルーシュの死をずっと行方不明として扱うのは、カレンには出来なかった。ナナリーは、ずっとずっと待っている。
外へ消えたカレンの後ろ姿に、誰かが呟いた。そうか、妹がいるのか。ゼロにも家族がいたのか。
――嘘と言ってください。お兄様が死んだだなんて。嘘でしょう? カレンさん。カレンさん――
ナナリーは自室で呆然としていた。兄が消えたのと同時期から病欠していた彼女が、登校と共にこっそりと告げた事実は酷いものだった。
ルルーシュは死んだ。どうして彼が死んだのか。カレンがそれを知っているのか。全ては教えてくれなかったけれど。
信じられない。ゆるゆると首を振るナナリーに、彼女は呟くように言った。私だって信じたくないの。悲痛な声音は、とてもナナリーを騙しているようなものではなかった。
「きっと、ルルーシュは、貴女のために生きていたのね」
その言葉が指し示す意味は分からなかった。ルルーシュとカレンの間に、どんなナナリーの知らない出来事があったのだろうか。
ただ、とナナリーは思った。私のためでなくてもいい。死なないでいて欲しかった。ずっと一緒にいて欲しかった。
沈み込むナナリーの下へ、スザクが訪れた。幼馴染といってもいい間柄である彼は、確かに空気が読めないところはあるものの、励ますのに最適な人材と言えた。
だが、どうしたのかという問いにも彼女は答えない。思いに沈む様子の彼女に、それでも根気良くスザクは言葉をかけ続けた。
ルルーシュが雲隠れして、すでに二週間。ナナリーの落ち込む理由は、明らかだった。
「大丈夫。大丈夫だよ、ナナリー。僕は軍人だ。ルルーシュを探してあげるよ」
「……もし、お兄様に何かがあったら?」
「大丈夫だって。ルルーシュが、ナナリーを置いていくはずがないだろ? 待ってて、すぐに見つけ出してあげる」
盲目の彼女に、スザクの微笑みは分からないけれど。その温かな空気がナナリーを癒し包み込んだ。
そうだ。遺体を確かめたわけでもないのだ。本当に死んでいるだなんて、どうして信じてしまったのだろう。
スザクが去った後、ナナリーは感謝の念を捧げた。
――ありがとうございます。きっと、お兄様を見つけてくださいね、スザクさん。スザクさん――
今日もまた、ナナリーは願いを込めて五寸釘を打つ。
(多くは望みません。優しい世界が欲しいのです。優しい世界。優しい世界)
正しいと信じていても、実は間違っていると望んだ結果は得られないという話(嘘付け!
オチが最初からバレバレな話。ピクドラ4マジ怖えええええええええええええええ。
全員殺そうかと思ったけど、それはあんまりにナナリーが可哀想なので無理でした。