DVD5巻のピクドラをものっそいネタバレしています。
ついでに捏造も甚だしいですがそれはいつものことですね^^







 命令を出されて二十分。見つけ出すまでに十分。途方にくれること、十分。
 そして今に至る。



夕焼けに染まる空の色



 ジェレミア・ゴットバルト。名門の出であり、今までこれといった失敗もなく、つい最近優秀な成績を評価されてここアリエス宮へ配属された。複雑な事情を持つ離宮である。マリアンヌは庶民の出であったが、それ故に庶民からの人気は高い。他の皇妃の嫉妬を一心に背負う彼女は外柔内剛で、貴族など彼女に並んだら霞のようであった。その上、マリアンヌは女の身でありながらKMFを見事に駆る。守られているだけではない、その姿が皇帝の目に留まったのだろう、二人のお子さえも授かった。
 ゴットバルト家という出自を誇り、また家名を汚さぬように日々邁進するジェレミアには、その姿が眩しく見えた。彼は皇帝を始めとしたブリタニア皇室を崇敬している。彼は国家主義であり、また国粋主義でもあった。庶民出の成り上がりが、とマリアンヌを馬鹿にする者は多い。しかし国是は何であったか。弱きを挫け、強きさえも挫く勢いで在れ。ブリタニア人である限り、そこに貴賎はない。皇族を守ることは、同時に彼らが担う国家をも守ることに繋がる。貴族以上の気品を持つ気丈なマリアンヌは、まさにジェレミアの理想であった。
 が、しかし。
 逸れた思考を戻すべく、彼は現実を見据えた。逃避してはいけない。主命に背くなどあってはならないことだ。

「ル、ルルーシュ様」
「嫌だ」

 だが、だが!
 ジェレミアがその身に叩き込んできたのは軍人としてのそれである。配属されるに当たって、もちろん完璧に礼儀作法は身につけている。単なる警備の軍人如きが皇族と会話できる機会などある筈もなかったが、それでも伯爵家の人間として当然のことだった。――そう、ある筈がなかったのだ。
 将来を目される彼とは言え、皇族の子守の仕方が分かるだろうか。否、分かるはずがない。

「ですが、ルルーシュ様。そろそろ冷えて参ります。どうか部屋にお戻りください」
「……別に、僕が戻らなくても構わないんじゃないか」
「そんなことはございません! マリアンヌ様は」
「嘘だ」

 臍を曲げていらっしゃるというか拗ねていらっしゃるというか、つまり有り体に言えばルルーシュはいじけていた。
 マリアンヌの長子ルルーシュには三歳下の妹、ナナリーがいる。甘えたい盛りなのは二人ともであったが、母がどちらを優先させるかといえば勿論妹姫の方で。理知的なルルーシュが表立って不満を言うことはなかったが、それでも子供だということには変わりない。散歩だと言って出かけたのは、そんな幼稚な自分に嫌気が差したからだったのかもしれない。
 日が落ちかけているにも関わらず、なかなか戻ってこない彼を心配したマリアンヌがジェレミアに声をかけたのは、単に偶然近くに控えていたからに他ならない。行動的な彼女は、本来ならば自分で探しに行きたかっただろう。しかし、ナナリーがぐずった。そろそろ食事の時間ということでメイドも忙しく、彼に白羽の矢が当たったのだ。アリエス宮内にいるとは思われるが、離宮であれブリタニア宮殿の中だ。何があるかは分からない。
 初めて与えられた、皇族直々の命令。恐れ多いやら何やらで緊張しつつ目撃情報を探れば、すぐに目的の彼は見つかった。警備の目はどこにでも光っているから、余程のことがない限り主君たちの居場所はすぐに把握できる。実際、先輩軍人の視線はずっとこちらに向いていた。助けろよ。あ、こら、目を逸らすな。

「母上はナナリーだけが大事なんだ。だからお前を呼んだんだろう?」

 ええ確かにマリアンヌ様は、ナナリー様を優先なさいました。なさいましたが!
 皇族を絶対視する彼が皇子にその真実を告げられない現状は、まさしく拷問のようであった。今からジェレミアは、ルルーシュを連れ戻さねばならないのだ。
 しかし何故今ここでルルーシュは拗ねるのか。いつもだったら素直に従う彼が、ここまで意地を張っている姿を見るのは初めてだった。それほどまでに鬱憤は溜まっていたとでも言うのか。それをどうしてよりにもよってジェレミアの前で発散するのか。皇族と直に話せるという幸運と、扱いにくい状況に追いやられた不運に挟まれ彼は苦悩に落ち込んだ。どうすればいいものか。

「マリアンヌ様はルルーシュ様をご心配なさって私を寄越したのです。風邪を召しては大変でしょう? そろそろ夕餉でございますし」
「…………」

 黙ったまま、座り込んだ膝に顔を埋めるルルーシュに、ジェレミアは小さく息を吐いた。なんというか、なんというか。
 不敬にならないよう気を配りながら、小さな子供の前に膝を付く。目を合わせるようにして笑えば、きょとんとした表情が返ってきた。

「私にも妹がおります」
「え?」
「母は妹にばかり付ききりで、大変つまらない思いをしたものです」

 お前も、と小さく呟いて、ルルーシュは俯いた。母に甘えたいと思う自分を恥じているのだろう。顔を少し赤らめた彼は、皇族であり皇子である以前に、一人の少年だった。皇室には及びも付かないが、名門に生まれたジェレミアも大人たちに囲まれて育ち、また周囲からもそうあるべく望まれた性格だったからその気持ちはよく分かる。

「それで、お前はどうしたんだ?」

 柳眉を寄せ伺い見てくるルルーシュに、彼はまた困惑した。深く考えずに発言はしてしまったが、そういえば結局どうしたのだったろう。そんな過去のことは覚えていなかった。駄々をこねることを許す家ではなかったから、耐え忍んだだろうとは思う。もしかしたらルルーシュのように、密かに使用人などを困らせたかもしれない。
 ただ、確かに今でも分かる、もしかしたら今だからこそ分かることが、一つだけ。

「マリアンヌ様は、間違いなく貴方様を愛していらっしゃいます。きっと、すぐに分かりますよ」
「……お前も、そうだった?」
「はい。妹が疎ましく思った時期さえもありましたが、母も妹も私の大切な家族です」

 一人であった時は、母の愛を一人占めできていた。しかし、二人になればその愛は分割され、物足りなくなってしまうも道理。しかし、分割されたのは時間だけなのだ。本当は愛は、二人分に増えただけであって、減ったわけではない。
 皇族であれ、ルルーシュはまだ十に満たない子供だ。まだ分からないかもしれないが、絶対に気づくときが来る。母親は、いつだって子供の成長を見守ってくれているのだから。

「そうか。……そっか」

 ジェレミアの忠言に、彼は瞬きを数回してから立ち上がった。払う服から芝生がはらはらと落ちる。
 とりあえずは納得してくれたらしい。同じ経験をしたという言葉が効いたのだろう。よかった、妹がいて。
 ほっと安堵した彼に、ルルーシュは鮮やかな笑みを浮かべた。

「迷惑かけてすまなかった。……あと、ありがとう」
「えっ」

 ありがとうありがとうありがとう。
 皇族に仕えられるというだけで幸福だったが、まさか感謝の言葉が貰えるだなんて……!
 しかしその後、余韻に浸りすぎたジェレミアは、連れ戻しに来たというのに結局皇子を一人で帰らせたことで夜明けまで怒られ続けたのだった。



(全力でお守り申し上げます!! 全力で!)







タイトル=オレンジ色
マリアンヌに夢見すぎ。でもアリエス宮=マリアンヌ様!って即繋がった辺り、ヴィレも憧れてただろうなあ。同じ騎士侯だし。
ジェレルルとか書きたい。皇族パロでジェレミア騎士。ゼロバレ。日本に護衛としてついてくるオレンジvsスザク。
やばい萌える。だれか書け(おま






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