「おかしい……」
校内にくまなく仕掛けた監視カメラを見ながら、一人の監視員Aが呟いた。
既に時は夜。今彼の見ているモニターの一つには、寝る準備をしているルルーシュの姿が映っている。
「なんだ? 異常でもあったか?」
ずい、とヴィレッタが身を乗り出す。ところで彼女は異性の着替えを眺めることに何か思うところはないのだろうか。ひょろりとした彼の肢体が無防備に晒されている。
「い、いえ、別に、なんでもありません。勘違いでした」
妙齢の女性が少年の裸体を熱心に眺めている、この状況に何故か監視員Aが照れる。彼以外に照れる人間がいないからだ。
しかし今は任務中。女としては微妙な気がしなくもないが、ヴィレッタの態度が本来ならば正しいのだろう。
「そうか? では引き続き、監視を」
「イエス・マイ・ロード」
誤魔化せたことにほっとする。横で同じく監視をする同僚が、馬鹿だなあお前、といった風に見てくる。
そう。おかしい、と思っているのはおそらく女性であるヴィレッタ以外の全員。
監視をし始めてから既に数ヶ月が経過している。
女性との付き合いがないのは、まあこれまでの彼の経歴を見れば納得は出来る。安易に恋人を作れるような余裕もなかっただろう。
だが、恋人がいようが居まいが、健全な男子であれば然るべきあの行為が一度たりとも見当たらない。
首をかしげたのは最初の一ヶ月。今では不気味なものさえ感じつつ、しかし彼らは任務を忠実にこなすべくルルーシュを見つめ続ける。
(性欲、ないのか……?)
ルルーシュはトイレ行かない自慰もしない
+
「ちょ、何をするCCっ……うあっ」
「ただの性欲処理だ。だまっていろ」
そう適当に告げて彼自身を甘噛みしてやれば、抵抗は呆気なく終わる。ベッドに身を横たえる彼は起き上がることもままならない様子だ。
――童貞坊やには刺激が強かったか。
しかしそう思ったからといって彼女は行為を止めるつもりはなく、焦らすように柔らかく筋に舌を這わせた。徐々に硬さを帯びるそれににんまりと笑う。
「なんだ、きちんと反応するじゃないか」
「せ、生理現象だ! おまえっ、もう、やめ」
「却下だ」
彼が悪いのだ。一緒の部屋で生活しておいて手を出そうともしないとは何事だ。CCの女としての矜持が揺らぐじゃないか。
“ってのは言い訳で、本当はルルーシュを独占したいのよね? だいすきだから”
マリ……っ。
突如頭に響いた声に思わずルルーシュのそれを握る力を強くした。刺激に背を撓らせる彼は、CCの口走りそうになった言葉には意識を傾けられなかったらしい。セーフだ。
邪魔をするなとマリアンヌに念じながら、CCは彼を追い立てることに集中しようとする。
別にそんな乙女心のようなものなんて存在しない。ただCCは、ただ……。
“とか言っちゃって、貴方も十分感じてる、みたいだけど? ふふふ”
その指摘に彼女は顔を赤くした。ルルーシュの痴態にまた彼女自身も興奮していたのだ。じんわりと濡れているのが感覚で分かる。
だが他人に言われて楽しいものではない。CCは気まぐれなのだ。少なくとも周囲にはそう思われるように振舞っており、ただ一人に執心しているなど自分でも認めたくはない。
むっとしたままに根元からぐい、と一気になめ上げてやれば彼は簡単に達しようとするが、しかし。
「う、あっ?」
「私は今機嫌が悪い」
「は?」
「一人で楽しむな、ルルーシュ?」
た、楽しんでなんか、そもそもこれはお前が勝手に、とわめく彼自身の根元をしっかりと握ってやる。
身にまとった拘束衣を脱いで裸体を晒してやれば、ルルーシュは顔を赤くして震えた。
「お、おま、おま」
「おめでとうルルーシュ。脱童貞だ」
“おめでとう!”
お前はだまれマリアンヌ!
続きも書いてたんですがあまりのガチエロに自重
CCルル←マリアンヌって絶対楽しい
+
世界には一人しかいないのだ。そう嘗て強大な国を支配した者が言った。今も、昔も、そして未来も。
そして、世界は一つとなった。合衆国との名で呼ばれる世界。あまりに強大すぎてその実情は一つの国ではありえなく、それはブリタニアの植民地支配が行われる前の時代に戻ったと鑑みていいだろう。ブリタニアの崩壊による植民地の解放と荒廃した地の再生。広大さ故に分割の危機にさらされている中華連邦。ブリタニアと黒の騎士団の戦いでは蚊帳の外であったために、力を温存できていたEUは年々その力を増してきている。
しかし心は一つだ。争いは絶えなく問題も多いが、それでも。
繰り返したくない惨劇があった。目を逸らしたくなる絶望があった。それらを乗り越えた人々は、世界を変えた。
「あはは、ルルーシュ、見て。玉城が喚いてる」
「……全く、あいつは変わらないな」
彼の夢だったらしい官僚になることをどういうわけか成し遂げ、玉城は政権の中枢に近いようでいて実は爪弾きにされているような地位で何事か発言している。数年前であったならその政策の拙さを一蹴しただろうルルーシュはその世界とは程遠い田舎で、のんびりとTVを眺めている。
シュナイゼル。コーネリア。あの散々彼を苦しめた者たちも世界を動かす一員として、ほぼ毎日のように見ることができた。それはブリタニア皇族としての地位から得たものではなく、才覚を買われてのもの。合衆国は人種、民族、身分を問わず様々な人間が参加する国となっていた。
「貴方はいいの?」
「何がだ? CC」
「だって、立役者でしょう」
TVの向こう側に行かなくていいのか。そうCCは問う。
世界を一つにした功績をすべて投げ捨てて、ルルーシュはCCと共にただ平穏な日々を満喫していた。おそらく彼がいればもっと効率的に解決しただろう事例は多く、実際にルルーシュはよくぼやいている。あのカリスマを以てすれば今はまだ空席の大統領にだってなれるだろう。
「いいのさ。だってゼロは死んだんだ」
「え? ここに生きてるよ?」
「ああ、でも死んだ。私はもう必要ない。あの世界には関わってはいけないんだよ」
ギアスは世界から永遠に失われた。様々な犠牲を伴って、世界の摂理もやはり、一つになった。ギアスをいまいち理解していないらしいCCはただの人間に戻ったし、ルルーシュも人の意志をねじ曲げることなど出来ない。
そもそも世界の摂理から反したものだったのだ。これで元通り。そう認識するのが正しいだろう。人を不幸にする力は何もギアスだけではないが、それでもやはり人の手には負えないものだ。ニーナの核が爆弾にもなり、生活に役立たせることもできるというのとは勝手が違う。
「それにもう、欲しいものも手に入れた。満足だよ」
「……欲しいもの?」
可愛らしく首をかしげる彼女に、ルルーシュは柔らかくほほ笑む。
失ったものはあまりにも多く、今でもその罪科は彼の胸を抉る。もっと他に方法があったのかもしれないと後悔することも多く、悪夢に魘される夜もあった。
「なあ、CC」
「なんですか?」
「……この世界は、優しいと思うか?」
弱くて優しくて、でもとても強かった彼の妹。ナナリーが望んだ世界は、ここにあるだろうか。
人はやはり不平等で、強者の弱者からの搾取は止まらない。
けれど。
「うん。ルルーシュが、いるから」
世界には一人しかいない。
たった一人の大切な人さえいれば、今も昔も未来も、きっと世界は優しい。
このCGの世界は現実世界にギアスという力があったら、というIF。エリザベス一世に男がいてエディンバラの屈辱が云々。つまりパラレルワールドな並行世界という設定。それらの事件はギアスがあった故に起こったとここでは仮定。
そういう話で起こりえるEDとしては、そういう要素すべて消し去って今と同じ世界に戻すという手法。
王の力を手に入れると孤独になる。ギアスに関わった人間は消えていく。CCの願いだって死ぬことだったわけですし。そして王の力を手にしていた皇帝の持ち物はブリタニアという国なのであって、失っても何もおかしくはない。
アメリカって人種のサラダボウルなわけで、ブリタニアは様々な国を植民地にしてることからも普通に起こりうるんじゃないかと。
ここで大胆に大統領に玉城が就任する自由の国アメリカEDを予想。
(日記から加筆修正しつつ抜粋)
20080726