すれ違いの萌芽



 クロヴィスが本国へ帰還するらしい。有体に言えば総督を首になった、ということだ。政よりも絵を好む本人は周囲の思惑など素知らぬ顔で喜んでいるらしいが。
 エリア11はどの植民地よりも抵抗勢力が大きい。処刑された枢木ゲンブが徹底抗戦を唱えたことを始めとし、藤堂鏡志朗による厳島の奇跡。件の亡き首相の息子もまた驚異的な運動神経でブリタニア軍を翻弄させているらしい。体力馬鹿でも馬鹿はやっぱり馬鹿なのが救いだとクロヴィスが疲れきった様子で批評した。一体どんな人間なのか。しかしやはり枢木家の嫡男と言おうか、ただの馬鹿ではなく。クロヴィスを退陣にまで追い込む手腕は認めなければならないなとルルーシュは写真でしか見たことのない人間をそう評価した。

「代わりにコーネリア殿下が総督に、ユーフェミア殿下が副総督に就任なさるようです」
「ユフィが? コーネリアは妥当だと思うが……」
「さあ、その辺りの事情は私にはよく」

 まあシスコンのコーネリアさえ共にいれば大丈夫だろう。ユーフェミアだって慣れるまでは大人しくしているはずだ。既に彼女がどう部屋を抜け出せば姉に見つからないかとの計画を立てているとも知らずルルーシュは頷いた。
 それより折角の利権が。東国の島国など構わないといえば構わなかったが、あの豊富な資源に関われなくなるだろうと思うと少々残念だった。それにアッシュフォードのKMF研究でサクラダイトがどうのこうのと聞いていたのに。未だルルーシュの後ろ盾などという割に合わないことをしてくれている彼らに報いるチャンスでもあった。

「正直私はほっとしましたけれどね。これ以上は殿下が過労死なさいます」
「カローシ?」

 聞きなれない言葉に首をかしげると、ジェレミアは苦虫を噛み潰したかのような顔をした。

「仕事のし過ぎで死ぬこと、です。エリア11の言葉らしいですが」

 なるほど、ナンバーズの言語だったか。ジェレミアはマリアンヌを救えなかった罪悪感と怒りから、テロリストを為すナンバーズを殊更嫌っている。そして本国から出たことのない彼がその異国の言語を知っていた理由。おそらくは管轄外の部署に関与しようとするルルーシュを非難し揶揄する、エリア11担当の者がいたのだろう。皇族には言えないからその騎士にだなんて、情けない人間もいたものだ。

「大丈夫さ。自分の限界くらい分かっている」

 そう一人納得したルルーシュが、少し落ち込んだらしい彼の肩を叩いてやると大げさなまでにはねた。

「なんだ?」
「あ、いえ……少々驚いただけです。申し訳ありません」

 行方をなくした右手が宙に浮く。一体なんだというのか、最近頻繁にこういうことが続いているような気がした。何が、と問われると具体的には表現しづらい。しかし確実に感じる壁は、拒絶を意味していて。
 そう考えると何もかもに疑惑を感じてしまう。度重なる騎士の増員の進言。断ると分かっていて尚持ち込むラブレター。
 例えジェレミア本人が良しとしていても、彼の立場上の問題もあった。騎士を輩出した家系はその誉に歓喜するのが常。皇族というブリタニアで最も権力に近い者に信頼された証だったし、家名の箔にもなる。だがルルーシュは例外だ。いくらルルーシュの才覚が豊かであったとしても、厄介もの扱いされているのには変わりはない。それはマリアンヌが妃という地位を手にし二子をも設けたにも関わらず、庶民出身とのことでその存在を厭われ暗殺されたことにも表わされている。皇帝がいくら実力主義を謳っているとはいえ、結局は血筋と権力なのだ。ジェレミアの周囲が騎士をやめるように働きかけていてもなんの不思議もなかった。

「ジェレミア」
「は、はい?」
「……いや、なんでもない」

 問いただそうとして、やめた。
 ジェレミアの皇族への忠誠は本物であったし、だからこそそんなことを聞いてもルルーシュに否定的な発言などしないだろう。
 それに、もしも、騎士をやめたいと言われたら。その恐怖から彼は消極的にジェレミアを引き留めるのだ。




(他に騎士を任せられる人などいないのに)










スザクってルルーシュと出会わなければ普通にテロリストしてたと思う

20080728








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