独占欲 1
※土方を捕えたのは、攘夷派の逆恨み組…仲間が真選組に捕われて拷問の上で死んだかなんか。場所は奴らのアジト.
…位のテキトーな設定でひとつ… (空色ハル様談)
「…だが、俺達も鬼じゃねぇ…鬼の副長さんとは違うのさ。さっきから、ただ痛いだけっていうのも可哀相だ。
ほら、これを使えよ。」
男がちらつかせたのは、どうせ媚薬や催淫剤と言ったような、ろくでもない類だろう。
その下卑た顔面に、血の混じった唾を吐きかけてやると、すかさず平手打ちを食らった。口内の別の場所が切れた。
痛ッてェな…糞が、
と、心の中でだけ毒づきながら、微塵も気にかけないような顔で、口の端を上げてわらって見せる。
「やりたきゃ好きにしろよ。そんな薬は必要無ェ。てめェらを相手に愉しむなんて、まっぴら御免だな」
どうせ体の自由を奪われている、いずれ薬を打たれるのはわかってる。
ただ、奴らは俺に自分で服用させるというやり方で、ちっぽけな征服感に浸りたいのだろう。そんな自己満足につき合ってやる必要は無い。
なかなか俺を懐柔出来ないために、業を煮やしたのだろう、近くにあったドラム缶を忌ま忌ましげに蹴飛ばしながら、リーダー格の男が言った。
「まぁ、てめぇにその気がないんなら、俺達も他のオモチャで遊ぶかな」
その男が目で合図すると、少年がひとり引きずり出されてきた。
よく見慣れた制服、栗色の髪、
「そ…」
ようやく顔色を変えた俺を、男は十分に満足そうに観察してから、確信犯の笑みを以て問い掛けた。
「ネズミが一匹迷い込んできたんで、取っ捕まえたんだが。…なんだ、知り合いか?」
沖田はつきとばされると、よろめいて、糸のキレた人形のようにその場に崩れこんだ。
意識があるのかないのかが、ここからは伺えない。
俺の視線を読んだ下っ端が、靴の爪先で沖田の顎を持ち上げた。
瞬きをしない虚ろな瞳が、無表情にこちらを見る。
背筋が凍りつく。
「まったく、威勢がいいったらありゃしねえ。銃弾までたたき落とす始末だからよ、久しぶりに床ぶち抜いちまったぜ」
恐らく、このからくり屋敷の仕掛け水牢にでも落としたのだろう。
そういわれれば、隊服は一層黒く重くまだ未完成の体に張り付いて、髪から水を滴らせた顔色が、造り物のように白かった。
だが生気の失われたその様子は、体力の消耗だけではないように見えた。
「…コイツに何しやがった…」
殺意を抑えて低い声で唸るが、全くそれを無視して、別の一人がおもむろに沖田の首を乱暴に掴む。
意識はあるらしく、何か抗議の言葉を紡ごうとして声にならず、微かに唇を震わせながら綺麗に整った顔が歪む。
「てめぇ…!」
「もう一度だけ言うぜ。コイツで遊ぶか、てめぇで遊ぶか、その二択なんだよ」
言いながらそいつは、俺の右腕の枷を外し、小さな注射器を握らせた。
…二択も何も。
俺は自由になった右腕で、自分左の腕にやや乱暴に針を突き刺した。
昔、救護のために受けた訓練で褒められた手つきを、こんな所で披露したくなかったので、ささやかな反抗。
下手くそに刺さって血が滲んだが、経口の薬よりも即効力があるのだろう、間もなく肌が酷くざわついてきて、
衣擦れにすら呼吸を乱しそうになった。
頭の芯が熱くなって来たので、意識を手放すに、あいつの顔をもう一度見ようと、視線だけで沖田を探した。
白い首に、先程の指の跡がくっきり赤く彩っていて、綺麗だなと思った。
その時点で、もう少しおかしかったのかもしれない。
座り込んだ俺の前に誰かが立ち塞がったせいで、総悟の顔が見えなくなった。
これから自分の身に起こる事なんてどうだって良かったが、その光景をあのガラス玉のような蘇芳の瞳に映すのだけが、厭だった。
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Happy*Tailの空色ハル様から頂いた、土方監禁SSでした。
しかも寸止め。(笑)頂いた時、「つづきは!!!!!!!!!」と叫びましたねぇ。
何か凄く悶々としてしまったので、許可頂いて続きを書いてしまいました!(てへ)
ハルさんは土沖の方なので、ちょこっと沖土沖で。
結局何だかんだとラブラブな沖土を描いてみたかったのであります!
そして!右手が自由になって左腕に注射をしている事を、書き終わって気が付く私!
左手を自由にして右腕に注射を打たせてしまった!!!!
す、すいませんハルさん!右左逆になってしまいましたっ!!!Σ(; ̄□ ̄A アセアセ
で、では続きをどうぞ!
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