偽りの中で溺れる者達




     「無事のご帰還、恐悦至極…」

     「心にもないことを言わんでも良い。マスタング大佐。」



     そういうと、大総統、キング−ブラッドレイはロイのデスクへと近づいていく。

     グリードとの戦いも終わり、エドを始め、皆セントラルへと戻ってきていた。

     大総統府に戻ると、ブラッドレイは、その足でロイの部屋を訪れた。



     「私が大総統閣下の無事を喜んでないとでも?」

     「私が死ねば、お前の地位も一つ上がるが?」

     「…それもいいですね…」

     「フッ、本心が出たか…」



     ブラッドレイが傍に来ても、ロイは彼を見ようとはせず、淡々と語っていた。

     書類に目をやり、まるで無関心を装う様に…



     「今回の敵はかなり強敵だったよ…久々に前線に出た。」

     「エド君の活躍も華々しかったがね…」



     エド…という言葉にぴくっと反応を示す…

     それでもロイは背後にいるブラッドレイの方を見ようとはしなかった。

     そんなロイの態度に、いささか気に障ったのか…

     ブラッドレイは、強引にロイを自分の方に向かせ、その唇を奪う…



     「んっ…」



     胸座を掴まれ、身動き取れない状態で、舌を絡ませるディープキスに、ロイの思考が麻痺していく。



     「貴様にこうすると、無事に戻ったと言う実感が湧く。」

     「私もですよ、大総統閣下。これで本当にあなたが生きていると言う実感が湧きました。」

     「誠に残念な事に…ね…」



     ロイはブラッドレイを真直ぐ見据えて、ふっと笑った。

     まるで娼婦のような妖艶な笑み…



     ブラッドレイはロイを突き放すと、そのままソファに腰掛けた。

     

     「来い、マスタングよ。私にもっと生きている証を示させよ。」

     ロイは黙って、ソファに近づく…

     そのままブラッドレイの前に跪き、彼のいきり立つモノを取り出した。

     おもむろにそれを口に含む…



     「ん…ふっ…」

     「ン…そうだ…この感覚だ…マスタング…」



     与えられる快楽に浸りながら、ブラッドレイはロイの髪をかき上げる…

     黙々と奉仕するロイをブラッドレイは満足気に見つめている。



     「今回も生死をかけた戦いではあった…」

     「だが、おかしなことに、高揚感が湧かないのだよ。」

     「生きるか死ぬかの戦いなのに、全くもってスリルが味わえなかった。」



     そういうと、ロイの頭を押さえつけ、さらに奥へと咥えさせた。

     「んぐっ!」

     奥へと入れられ、息苦しさに咽返る。

     

     「目を開けよ!私を見るのだ。」

     ロイの頭を掴み、前後に動かす。

     苦しさに耐えかね、恨むように睨み付ける。



     「くくく、そうだ!その目だよ、マスタング。」

     「今にも私の命を獲ってしまわんがごとく、その目。」



     ロイの口にあるものがさらに太さを増し、ブラッドレイは小刻みに震える。

     「う、んっ…」

     声と同時に熱いものを放出し、ロイはそれを残らず飲み干した。



     荒い息をしているロイの腕を掴み、ソファに押し倒した。

     軍服のズボンと下着を剥ぎ取り、あらわになったロイ自身をその手で刺激する。

     「あぁっ!」

     愛情も感じられない荒々しい愛撫に、ロイは思わず声を上げる。



     「静かにしたまえ。外の廊下に聞こえるぞ?」

     くすくす笑いながら、ブラッドレイはそのまま愛撫を続けた。

     ホークアイ中尉は席を外して貰っている。暫くは戻らないだろう。

     とはいえ、ドアに鍵はかけていない。いつ誰かが入ってきてもおかしくはない。



     『見られるかもしれない』と言うスリルが、なお一層お互いの興奮を高めていた。



     「貴様はここを慣らす必要もないな…もう自分の液で濡れているぞ?」

     「や、あぁっ!んんっ!」



     いきなり3本の指を挿れられ、ロイはブラッドレイの肩をぎゅっと掴んだ。

     それを誘っていると採ったブラッドレイは更なる刺激を与える。

     その刺激に耐え切れす、ロイの目から涙が溢れ出す。

     悲鳴が喘ぎ声に変わった時、ブラッドレイはロイの襟のボタンを外し、白い首筋に所有印を幾つか付けた。

     

     「お前が大勢の上官に体を委ねているのは知っている。だがね…」

     「この首筋に印を付けてよいのは私だけだ。それだけは忘れるな。」

     

     苦しい息の中、ロイはその手をブラッドレイの首筋へとまわした。

     そのまま両手で首を絞め、痕跡を付ける。

     「んっ!」

     一瞬苦痛の表情を浮かべる大総統を見ると、ロイはそっと手を離す。



     「ふっ…あなたの首に跡を付けるのも私だけです。よく覚えておいて下さい。」



     その言葉を聴くと、ブラッドレイは益々満足げに笑った。

     「くくっ…そうだ!このスリル!この高揚感!私はこれが味わいたかった!」

     「貴様との情事でしか味わえないこの感覚…いつしか私を殺してみるがよい!マスタングよ!」

     「その言葉…忘れませんよ…」



     彼らはそっと唇を重ねた。





     偽りの中でしか交じりあえぬお互いの魂を確かめ合うように…





     ブラッドレイはロイの足を抱えそのまま貫き、ロイはその与えられる快楽に没頭した。

     「あぁっ、い、や…んっくっ!」

     「ハァ…嫌なはず、ないだろう…?腰が自然と動いておるぞ?」

     「あぁぁ…もっと…」

     「ようやく素直になったか…マスタング。」

     ロイは両足をブラッドレイに絡ませる。

     ブラッドレイは厭らしく笑うと、腰を掴み激しく動いた。突き上げられる度に、ロイの思考は次第に麻痺していく。

     ロイにとってSEXはただの出世への手段に過ぎない。

     数多くの上官と、出世の為だけにその体を開いてきた。

     誰一人として、その行為に溺れた事はない。



     だが、この男だけは違っていた。



     熱く激しく自分を求める時もあれば、冷たく突き放す時もある。

     その気まぐれにいつも振り回され、ロイは初めてこのパトロンの扱いに戸惑っていた。



     今もまた…激しく、欲望をぶつけられている…



     愛しているわけでは決してない。だが、思い通りにならないと気になってしまう。

     どうすれば、意のままに操れるか…



     情事を重ねる度に、その快楽に我を失いそうになるのを必至で押さえていた。

     気を抜けば、自分がこの人の快楽に溺れてしまう…

     ブラッドレイとのSEXはロイにとっても命がけだった。











     …俺がこんな事をしていると知ったら、あいつはどう思うだろうか…

     









     「んっ、あぁ!ハァ…」

     「そろそろ限界か…?まぁ、よい。私もあまり時間がないのでな…」



     そういうと、ブラッドレイはロイ自身を掴み、それを擦りあげる。

     そして、自分自身も更に激しく動き、ロイに前後からの刺激を与えた。

     「うっあぁ、やぁぁ!」

     「ん、ふっ…くっ、いいぞ…いい締め付けだ。」



     やがてロイは悲鳴をあげながら絶頂を迎え、、次いでブラッドレイがロイの中で果てた。









     ロイが息も絶え絶えに服を着るのと対照的に、整然と乱れた軍服を調えるブラッドレイ…

     「最中に何を考えていた?マスタング。」

     「…何も…」

     「うそをつけ。私ではない、誰かのことを考えていたな…」

          「………」



     「まぁ、いい。私には関係のないことだ。」





     そう言うとブラッドレイはロイの方も見ずに部屋を後にした。







     後に残されたロイは、荒く息をつきながら、ソファに横になっていた。



     



     「ちわーすッ!大佐!ついでだから挨拶にでも…」





     …エド…か…タイミング悪いな、全く…

     そういいながらも、彼が来るのを待っていた自分に苦笑しながらロイはエドを迎え入れた。







うっ・・やってしまいました・・・
初めての裏小説です。

ハズカシ〜〜〜 

今回はブラッドレイと、ロイの背後関係を書きたかったので、エロは控えめ・・
と言うより、書けませんでした!(泣)

この後、表のハガレンSS「愛すべき人の為に」に続きます!
そちらも是非一緒に読んでやって下さいませ!


これ以上に駄文ですが…見逃してくだせぇ…


           

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