ロイは不思議な気分に苛まれていた… 今、自分を愛撫している人物が、愛しくて堪らない… いつもは屈辱に身を焦がし、いつかのし上ってやると唇を噛み締めながら愛撫に耐えているはずなのに… 触れる指先がこの上なく優しくて… なぞる舌先がこの上なく快感で… 気がつけば夢中でブラッドレイに抱きついていた。 「あぁあっ、か…っか…」 「頑固者め…名前で呼べと言っておろうが…」 一向に名前で呼ばないロイに少し苛立つ様に、ブラッドレイは胸の突起に歯を立て軽く噛み付いた。 「やっああんん!!」 ビクッと体を震わせ、ブラッドレイの背中に爪を立てる。 「つっ!」 痛みで顔をしかめるとたちまちロイが心配そうな顔をした。 その表情にブラッドレイは一瞬驚いたが、当の本人が一番驚いたのかもしれない。 今までの情事で一度たりとも相手の事を気にかけた事があっただろうか… そう考えた後、ロイは小さく笑い、つられてブラッドレイも笑いながらロイへの愛撫を再開した。 胸から腹筋、そして下腹部の方へと下を這わす。 ロイの中心にはすでにしっかりと持ち上がっているロイ自身が、 先走りを流しながらブラッドレイの愛撫を待ち脈打っていた。 ブラッドレイはロイのそれにそっと口付けると、ロイは大きく身をそり返す。 口に含めば、甘い喘ぎ声を上げ、小刻みに痙攣する。 いつもと違う反応を示すロイに、ブラッドレイは眼を細めた。 上下に舌をはわし、喉の奥底までロイ自身を咥え込むと、その愛撫に耐え切れなくなったのか、 ロイはブラッドレイの頭を掴み更に快感を引き出そうと自身に押し付けた。 「はっああっ!!も…う…」 ロイがそう叫ぶ前に、体が激しく痙攣しロイはブラッドレイの口内に白濁の液をを放出する。 ブラッドレイは残さず飲み干し、荒く息をつくロイを上から見下ろした。 潤んだ瞳で自分を見つめている… 普段では決して見る事はない、愛情に満ちた漆黒の瞳… 今夜だけ…そう、今だけ… その瞳に憎しみと悲しみが映し出されぬ事を… 湿らせた指先をロイの秘所にあてがうと、ロイはビクッと体を硬直させた。 いつもなら、荒々しく押し開かれ、その欲望を容赦なく押し込まれる。 だが、ブラッドレイはロイの体に優しくキスをしながら、静かに、丁寧に解きほぐしていく。 まるで恋人同士が迎えた初めての夜の様に… 媚薬とも思えるブラッドレイの指使いに、ロイの思考は麻痺し、快楽だけを追い求めるようになっていった。 「はぁっ、か…っか…も…う…」 「もう、我慢できなくなったか…?こういうところはいつもと変わらんな…」 意地悪く笑うと、ギュッと眼を閉じているロイの眼に、そっと唇を落とす。 内股に手をはわし、静かに足を開く。 ブラッドレイは己を取り出すと、ほだされたロイの秘所に先端をあてがった。 「あっ…ハァァ…」 「…本当に今夜はどうかしている…ここまで来てまだお前を抱いていいのか恐れているなんて…」 抱いていいのか…ロイ… このまま本当に…抱いていいのか… 僅かに眉を細め、戸惑いの表情を見せるこの最高権力者に、ロイは足を絡め、首に腕を回し自分の胸に抱きしめた。 「…抱いて…下さい…このまま、何も考えず…」 今は何の肩書きもいらない… ただ、お互いに愛しい者を抱きしめるだけ… 熱い吐息を分け合いながら深い口付けを交わす。 ブラッドレイは片手をロイの内股に添え、そのまま意を決して前進した。 「あっあああああ!!」 「っ…ん…ロイ…」 その痛みと迫り来る快楽に、ロイはたまらず爪を立てる。 それすらも愛しいのか、ブラッドレイの表情は終始微笑が絶えなかった。 優しく…しかし激しく最奥を突き上げる。 「はっああっ、あっ、ああ!」 甲高い声を上げ、脳に響く喘ぎ声を上げていく。 「少し声を抑えよ、ロイ。下には老夫婦が寝ているのだよ?」 はっと眼を見開き、片手で口を押さえる。 クスッと笑いながら、再び抽出を繰り返す。 押さえた手は全くの無意味で、ロイの甘い喘ぎ声は部屋中に響き渡っていった。 「はぁっああ、ああ…閣下…」 「もう…限界か…?私もだ…共に果てよう…」 ぐっとロイの足を開かせ、再び頭を持ち上げはちきれんばかりに膨張しているロイ自身を擦りあげる。 「やぁっああああ!!」 この声はいつもと変わらない…誘うような…甘い声… ガクガクと体が痙攣し、ブラッドレイの首にしがみ付き、頭を振って快楽の世界に身を沈めていく。 最奥と突き上げるのと、ロイ自身を擦りあげるのとをほぼ同じリズムで繰り返す。 そして何度目か突き上げた時、ロイの体が大きくそり返し、手はシーツを握り締め、両足はビクビクと痙攣し始めた。 「んっあああああ………」 一際高い声を上げると同時に、ブラッドレイの手の中をロイは白く汚していった。 力なくシーツに横たわるロイを見定めて、ブラッドレイは更に腰を前後させる。 「あっ、やっああっ、か…っか…もう…」 「すまぬな。私がイキそびれた。もう少し付き合え。」 ロイの首筋にキスをしながら、更に奥を貫いていった。 首筋はお前の弱い所だったな… イったばかりで敏感な体になっているロイは、首筋のキスだけで身が震えていく。 そこに後ろからの刺激で更に意識が翻弄される。 出したばかりで萎えている筈のロイ自身は、再びその勢いを取り戻し始めていた。 今まで…何度もこの人と体を重ねてきたが、こんなに感じた事はなかった… 憎しみも…野望も…何もかも忘れて、ただ目の前の人を愛し、抱かれているだけなのに… 今、ここにいる人は自分が追い落とそうとしている人ではなく、孤独なただの人間… そう思うだけでこんなにも愛しく感じられるものなのだろうか… だが、朝になれば現実に引き戻される。 自分を貫いている人は、最高権力者、大総統キング・ブラッドレイに戻っていく。 そして自分も… その地位を狙い、命を狙う野心家、ロイ・マスタングへと… そしてまた、お互いの駆け引きの元、体を重ねる関係に戻っていく… そこに今夜のような愛情はない… 軍以外で、あなたと出会えたなら… 少しは変わっていたかもしれない… ロイの眼から自然と涙が零れ落ちた。 ブラッドレイがその涙を唇でそっと拭う。 「…閣下…」 「あくまでも名前では呼ばぬのだな…お前は…」 呆れたように笑うブラッドレイに、ロイは優しくキスをした。 名前で呼んでしまったら…もう、戻れなくなってしまうから… 本気で愛してしまいそうだから… だから呼ばない…決して名前ではあなたを呼ばない。 でなければあなたを憎み、上に這い上がる事が出来なくなってしまうから… ブラッドレイの動きが早くなり、限界が近い事を示していた。 ロイはぐっとブラッドレイを抱きしめ、自分の奥底へと導いていく。 はぁっと息を吐き、ぐっとその奥を突き上げる。 ロイ自身がブラッドレイの引き締まった腹筋と擦れあい、されが更なる快感をかもし出す。 「んっんん!ハァアッ…」 「んぁああああ!」 同時に声を上げ、ブラッドレイはロイの中に、ロイはブラッドレイの腹にその想いを放出した。 ブラッドレイはそのままロイに覆いかぶさり、その余韻に浸っている。 ロイはまだブラッドレイを咥え込んだまま、そっと荒く息をつく男を抱きしめた。 「ロイ…」 「いつも…こんな風に私を扱ってくれるといいんですがね…」 その言葉にふっと笑うブラッドレイは、ロイの額にキスを落とす。 「軍服を着てしまえば、お前は私の狗だ…狗に愛情がいるかね…?」 冗談のように言い放つブラッドレイに、二人の変える事の出来ない関係が浮き彫りにされる。 愛してはいけない… 支配者と支配される者の一線を越えてはいけない… いつの日か、自分に牙を向くこの狗に、これ以上情を移すのは危険だ… だから屈辱を与え、自分に対する憎しみを植え付けさせる… 自分は人を愛する事は出来ない運命だから… その運命に逆らう事は出来ない… だから今夜だけ… 何もかも忘れて愛し合おう… 今ここにいるのは、お互いに愛し合うただの人間… 互いの運命も忘れて心から愛し合おう… To be continues.
皆様受け入れて下さいました…??
お互い愛しているのに、それを表に出すことは許されない…
こんなブラロイもいいかなぁ〜〜って…
でもちょっと物足りないけどね…
やっぱり鬼畜なブラレイ様じゃないと…