愛しさの瞬間

〜その夜〜


 俺は、執務室で眠ってしまったクラヴィス様を自分の館へお連れした。
余程お疲れだったのだろう、深夜を過ぎてもクラヴィス様は、一向に目覚める気配がない。 三日もこの方に触れていないのに目の前にして、お預け状態。 と言ってこのままクラヴィス様を襲ってしまえば、昼間リュミエールに言われた「ケダモノ」になってしまう。 それだけは、避けたかった。

 今夜は、このまま寝てしまうか…諦めて隣にもぐりこんだその時、クラヴィス様がぱっちりと目を開けられた。まだ、はっきりと醒めていないのかぼんやりした表情で、 俺を不思議そうに見つめる。
「オスカー、ここは?」
「俺の館です。あなたが目覚めなかったもので」
「すまぬ」
「ひさしぶりに、あなたの寝顔をじっくりと堪能できましたから」 
 俺は、恥ずかし気に目を伏せるクラヴィス様に、にっこりと笑いかけた。
「今度は、あなた自身を堪能させてくださいますよね」
「待て!私は、まだ入浴も」 
 クラヴィス様が慌てたように起き上がろうとするのを、押し止めて覆い被さる。
「気にしませんから」
「しかし…」
「あなたに触れられなかったこの三日間、俺には地獄のようなものでした」
「オスカー・・」
「あなたが目覚めるまで、ずっと我慢した自分の忍耐を褒めてやりたい」

 俺は、クラヴィス様の顎に手を掛け、自分の方に向かせると唇を合わせた。 軽く触れるだけから深く歯列を割って、痺れるほどに舌を吸い上げ深く貪る。 クラヴィス様の体から徐々に力が抜けていく。頃合を見計らい、唇を離すと クラヴィス様がすでに感じていることを承知の上で問い掛けてみる。
「まだ、待てと?」
「意地の悪いことを言う」
「では、遠慮なく」 
 クラヴィス様の潤んだ縋りつくようなまなざしに、誘われるように、濡れた唇に口づけた。

 首筋に唇をはわせただけで、クラヴィス様の身体は反りかえる。 すべらかで、張りがあってつややかで、女の肌ほどしつこくなく、それでいてやわらかい不思議な手触り、 三日ぶりに触れるクラヴィス様の肌。
 自分のつける生々しい朱印がその肌に増えるたび、クラヴィス様のおののきにふるえる雄の証を 握る指にも強弱を与えた。
「あっ…はっ」
 悶え、うめき、四肢をつっぱねて、涙を流しながら、やがて、甘やかな声が悶え達したことを知らせる。

 休む間を与えず、手を大腿にかけ広げて、そっと膝を押し返すと、そこを舌で舐め上げ、ためらわず口をつけた。 舐めると、敏感に震え、たった今、達したばかりなのに、もう脈打ち始める。
 いまにも達しそうになった時、その表情が見たくて顔をあげた。
「早くっ…」
 ふるえる息の下からつぶやきがもれ、やりきれないしぐさで、細い腰が揺れる。再び顔を埋め口づけるように、 強くすうとあえなく吐精した。俺は、一滴たりともこぼさずに、すべて喉の奥で受けとめた。 甘い…たまらなく酔ってしまいそうだ。
 汗でしっとりぬれた全身に手をすべらせて、クラヴィス様の 黒く豊かな髪を後ろにかきあげ、額に軽く唇を落とした。
「今度は、俺をいかせてくださいね」 

 
 クラヴィス様の白磁のような脚に、膝を割り込ませながら、熱茎からしたたる雫を指にからめ、 固く閉じられた蕾にそっとぬりこむと、今まで以上にクラヴィス様の全身がわなないた。
「やっ…あっ」
 濡れた指をゆるゆると引き抜き、また、沈ませる。十分に奥がほぐれたのを確かめてから、指を引き抜いた。
「オス…カー……」
 クラヴィス様が次に訪れるであろう痛みに、怯えたように弱々しく抵抗してくる。その手に、指を絡めて寝台に押しつけ、肩のまるみにそって唇をすべらせる。
「大丈夫ですから俺に任せて」
 浅く息を吐いたところを狙いすまし、強引な動きで一気に体内を貫き、深く腰を進め一番深い場所まで沈める。
「痛っ!」
 クラヴィス様が鋭い悲鳴をあげ、全身が引きつったような痙攣を起こす。
何度も体を合わせているのに、慣れることのできない痛みに、苦痛の涙を流す。
 とめどなくあふれる涙をはらってやりながら、かたまってしまっている身体を、少しでもやわらげようと腕に抱きしめた。
「力を抜いてください。このままでは、あなたを傷つけてしまう」
「抜いて…くれ……痛い」
「あなたの頼みでもそれだけは、聞けませんよ」
「オ…スカー」
「すぐに良くなりますから我慢してください」
 
 俺は、ゆっくりと動き始めた。
少しでも痛みを柔らげようと、クラヴィス様の痛みで萎えたものを、動きに合わせ扱きたてる。
「ん…ん……あっ」
 せつない喘ぎ声に刺激を受け、さらに、動きを速めた。 挿し入れては引き、また挿し入れる・・焦らすように、時折鋭く突き刺す。
熱い体内に包まれ、引きずり込まれ溶けるような快感を、思う存分に味わった 
「クラヴィス様、愛しています」
「わ…たしも……あっ」
 強く突き上げると、クラヴィス様が嬌声を放つ。
「…ぁーああっ」
 何度目かの開放を訴えたクラヴィス様の中心を、強く脈打っていたそこを、一度こすりあげただけの刺激で 爆発させると同時に、一層強く突き上げ欲望を放った。
 放った瞬間、クラヴィス様の小さく震えて強く締めつけた場所が、ふたたび俺を追いたてる

「クラヴィス様、もう一度いいですか?」
 クラヴィス様が小さく頷く。もっとも嫌だと言われても止まらなかったが。
「同じ体位というのは、不本意なんですが…あまりに気持ち良くて抜きたくないので、このままでいですか?」
「そっ、そのようなことを聞くな!」
 クラヴィス様が顔をそむけるのが可愛くてたまらない。本当に初々しい方だ。
「拗ねないでください、謝りますから」
 俺は、クラヴィス様に頬に軽く口づけ、十分に猛った雄をグリグリと突き動かす。
「あ……ん」
 すぐにクラヴィス様の甘い吐息が洩れ、俺に抱きつき口づけをねだる。それに応えながら徐々に激しく突き上げる。俺の動きが早くなるにつれ、耐え切れないように悲鳴をあげる。俺に助けを求めるように縋りつき、俺の名を呼び続ける。
「もう…いい。オス…カー……オ」
 クラヴィス様が快感と苦痛に、身悶えしながら流す涙を唇で拭い去る。
「クラヴィス様…一緒に」
 俺は、荒々しく貫きながら、クラヴィス様の最奥に飛沫を迸らせたと同時に、クラヴィス様のものが俺の手を濡らした。 


 甘い余韻に浸りながら、名残惜しくて、クラヴィス様の肌を撫でその髪に口づける。
「クラヴィス様、言い忘れていましたが、俺も休暇を取りました。三日間、ずっと一緒ですよ。お約束通りに何処かへ旅行しましょう」 
「それは、楽しみだ」
 クラヴィス様の嬉しそうな微笑を見ると、無理矢理に取った甲斐があったというものだ。 休み明けのジュリアス様の厭味と仕事の量を、考えるとうんざりするが、いまは、この幸せな時間を大切にしよう。

END



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