Secret

最初は頭に血が昇って脳内の血管がどくんどくん音を立ててるんじゃないかというほど緊張した。
昴さんが…ぼくの目の前で昴さんがスーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを解き、シャツのボタンを外している。
これは絶対に夢に違いないと思った。
「…いいよ。おいで、新次郎」
シャツのボタンを胸元の一つだけ残し、裾をズボンから出すあられもない格好をした昴さんがぼくに左手を差し伸べる。
ぼくは引き寄せられるように昴さんの傍へ寄り、その手を取った。
小さくて温かい手。
「……僕に触れたいんだろう?肌の見えている部分だったら何処に触ってもいいよ。新次郎の、好きなように」
妖艶な笑みを浮かべながら昴さんは言う。
「ただし、それ以外の部分に触ったら許さない。…どうなるかは、わかってるよね?」
鉄扇の握られた右手にぎゅっと力が篭る。
…つまり、それで『躾』ると言いたいのだろう。
「昴さん…本当に、いいんですか」
この期に及んでそんな台詞を言う自分は情けないと思う。
でも、こんな夢のような話が現実にあるとは信じられなかった。
昴さんは未だに性別を教えてくれない。
なのに、何故突然こんな事をする気になったのかわからない。
キスは何度もした。
昴さんがぼくの部屋に来た帰りにも、ぼくが昴さんの部屋に行った帰りにも、最後は必ずキスをして別れる。
名残惜しそうなぼくを見て、昴さんはいつも『仕方ないな…』と微笑んで。
だが、それ以上は必要がなければ指一本触れさせてくれなかった。
それが今日はぼくの家に来るなりずかずかとベッドのある部屋に行き、靴まで脱いでベッドにちょこんと座ってしまった。
正座を崩したように座るその仕草はとても可愛らしかったけど、そんな事を言ったら怒られるに決まっている。
びっくりしたまま入り口で固まっていたぼくを見て昴さんは笑った。
「…何をそんなにおどおどしているんだい?ここは君の部屋だろう。入ってこないのか?新次郎」
そうは言われても、じゃあお言葉に甘えて…と近づけるほどぼくは図々しくない。
ぼくは自分のベッドの上に昴さんが座っているという事実をどう解釈すればいいのか理解に苦しんでいた。
…誘われているのか、単に昴さんの気まぐれなのか。
悩んで動けずにいたぼくを見て、昴さんはふぅとため息をつく。
「君が来ないなら僕の好きにさせてもらうよ。見たければ見てもいいし、嫌なら立ち去ればいい」
そう言うなり、今目の前で起こった事が起きたわけだ。

「昴さん…本当に、いいんですか」
そう聞きたくもなる。
「昴は言った……この状況でそんな事を聞くなど、君は馬鹿か、と」
少しムッとした表情で昴さんが呟く。
「嫌ならいいよ。君がこういうことを望んでいるだろうと思ったんだけど、僕の思い違いだったか」
「嫌じゃありません!…そんなことないですけど、何だか夢見たいで……わひゃあ!?」
昴さんはぼくと握り合っていた手を掴み、自分の頬に触れさせる。
すべすべとした陶器のような肌触り。
「…君にはこれが夢に感じるのかい?」
「い、いいえ…」
「じゃあ、どうすればいいかわかるだろう。僕に言わせる気かい?」
「昴さん…」
おそるおそる、昴さんの頬に触れている自分の手に少しだけ力を込めて昴さんの顔を上向かせる。
唇が誘うように開かれて、その姿はとてもセクシーだった。
目を閉じてその唇に触れると、熱い吐息を感じて脳の芯が痺れる。
緊張も、疑問も、昴さんの吐息の前に吹き飛んでしまった。
「昴さん……」
胸元のボタンから人の字のように左右に開かれたシャツの内側に手を入れると、昴さんの素肌に触れる。
華奢で平坦だけど、指先に触れた突起でそれが昴さんの胸だとわかって身体の奥がじわりと燻った。
手の平で全体をさすり、指の腹でかすかに突起に刺激を与えると昴さんの口から、甘い吐息が漏れる。
「…はあ…ぁ……」
それは普段とは違う、今まで聞いたこともないような悩ましげな声で。
思わずもっと聞きたくなって無意識にぼくの手は昴さんの胸を撫で回したり、先端をつまんだり揺らしたりしていた。
「あぁ……新次郎……」
その度に昴さんの白い喉から声が漏れて、耳に響く。
昴さんの手が、ぎゅっとシーツを掴んでいるのも愛しかった。
ぼくの刺激に突起はあっという間に立ち上がり、上を向く。
「昴さん…」
もっと触れたくて、床に膝をつくと昴さんのシャツを手でかき分けるようにして顔を忍ばせる。
脱がせてしまいたかったが、ボタンを外そうとしたら昴さんに止められた。
「んっ…新次郎……」
カーテンのようにぼくの後頭部をシャツがふわりと包み込み、目の前に広がるのはシャツよりも白いような昴さんの素肌。
そこに一つだけ色づいたような紅い部分に唇を這わせ、吸い付くと昴さんがぴくりと身体を震わせる。
「……あっ……」
その細い身体を抱きしめるように腰に手を回し、片手で口に含んでいない方の突起をさすると昴さんがわずかに仰け反った。
「こら…。背中はルール違反だぞ……まぁ、いいけど」
「気持ち、いいですか…?昴さん」
「新次郎……」
昴さんのシャツにくるまれたぼくの頭をシャツの上から昴さんが撫でる。
「いいよ…もっと……もっと……んぁっ!」
昴さんのお願いどおり、少し強めに吸うと昴さんから今までより高い声が漏れた。
「あっ…あっ……だめ…」
その『だめ』が嫌だって事じゃないくらいはぼくにもわかる。
ぼくが昴さんの胸がぼくの唾液でべちゃべちゃになるくらいに吸い上げ、舐め上げる度に昴さんは身体をくねくね揺らす。
まるで踊っているような動きで。
細い腰が、するりとぼくの腕をすり抜けては、またぼくの腕の中に戻る。
昴さんが意識してやっているわけじゃないのか、その動きは不規則で曖昧で、だけどその分興奮した。
まるでぼくを誘ってるみたいだ。
下半身が痛いほどに昂るのを感じて、昴さんはダメって言ったけどこの勢いならいいかな、とか思ってしまう。
だんだん抑えきれなくなって腰と同じように細くて白い足を靴下の境目からすぅーっと上へ上へと撫で、昴さんのズボンの所まで来たとき…
「……新次郎。それ以上触れたら、どうなるかわかってるんだろうな」
今までの甘い声とは一転した昴さんの冷たい声がした。
「昴さん…だって」
シャツから頭を出し、懇願するかのような目で昴さんを見ても昴さんは冷ややかにぼくを見るばかり。
「君は分をわきまえる、という言葉を知らないようだね。じゃあ、今日はここまでだな」
するりと昴さんがぼくの横に身体をずらし、立ち上がる。
「新次郎、言い訳をする前に反省するがいい。…次はもうちょっとくらい、僕をその気にさせられるように、ね?」
昴さんは何事もなかったかのようにシャツのボタンをはめ、ネクタイを締めるとジャケットを羽織った。
一瞬前までの姿が嘘のようにいつもの完璧な姿をした昴さん。
ぼくは言葉を発することも出来ず、膝立ちのまま昴さんの動作を眺めているだけだった。
「じゃあおやすみ、新次郎。良い夢を…」
ぼくの顎に手をかけて、昴さんがいつものようにキスを落とす。
そのまま振り返りもせずに帰っていく昴さんは、やっぱり昴さんだとぼくは心のどこかで思った。

二回目は昴さんの言葉通りに、その気にさせられるように昴さんの胸だけでなく首筋とかにもキスをし、舌を這わせていたら。
「…!?す、昴さん…」
「ふぅん…ちゃんと僕に欲情してるんだ」
昴さんの手が伸びてきて、僕の股間に触れた。
「そ、それは…当たり前ですよ。こんな事してるんですし…」
品定めするかのような視線と手の動きにちょっと恥ずかしくなる。
もしかして、誰かと比べられてるんだろうか。
そんな事を思っても口に出せないぼくを見て、昴さんはくすくすと笑った。
「そうだね、じゃあもっと僕を気持ちよくさせてくれたら少しくらいはご褒美をあげるよ。ふふふ……」
ごくりと唾を飲む。
ご、ご褒美って……。
「あんまり凄い期待をされても困るけどね」
ぼくの期待を一瞬にして打ち砕くかのように冷ややかに言う昴さん。
「じゃあ、頑張って?新次郎」
だが、どんなに頑張っても昴さんは『ご褒美』をくれようともせず「もういいよ」とまたさっさと服を着てしまった。
うう…ぼくの努力が足りないのだろうか。

三回目、何気なく背中を指でさすってみたら。
「……あっ!……ふ…」
昴さんの身体がびくんと震えた。
ん?もしかして昴さん、背中が感じるんだろうか。
そう思い、指が触れるか触れないかくらいで上下させると、昴さんが眉間に皺を寄せてぶるぶると震える。
今までと全然違う。
何かを耐えるような昴さん。
そんな昴さんも凄く綺麗で、昴さんの感じる箇所を見つけたのも嬉しくて。
シャツに包まれたままの昴さんの背中をつぅーっと指でなぞると。
「んっ……はぁ……んぅっ……」
シーツを掴んでいた昴さんの手が、ぼくの肩を掴んで強く握りしめる。
ぼくを引き寄せるように力が込められた指がぷるぷると震えて。
なぞるだけでなく、横腹に近いところを軽く爪を立てるようにくすぐってみたり、つまむ真似をしてみたり。
直接は見えないけど、以前見たときに五輪の痣があった左肩甲骨の下辺りをさすられるのが一番弱いらしい。
「…くぅ……ぅん…ん」
他の何処よりも、甘い声があがる。
前に見たときは、昴さんの白いうなじに目が釘付けになって痣については気にはかかったけど触る事もしなかった。
ちょっと勿体無かったかなとか思うけど、あの時に触れていたらたっぷり『躾』られていたかもしれない。
「ぁ…ぁっ……」
などと考えている間に弱々しく嗚咽を漏らす昴さんが、ぼくの肩に頭を乗せてくる。
「昴さん…気持ちいいですか?」
「……」
昴さんは答える代わりに片手をぼくの下半身に伸ばし、躊躇いもせずぼく自身を取り出した。
「す、昴さん…」
「昴は言った……新次郎、これがご褒美だよ、と」
狭いところから解放されて、天高くそそり立ったぼくの分身を昴さんは優しく撫で、ついで緩やかに扱く。
「す、昴さん……!!」
驚いて身を屈めそうになるぼくを見て、昴さんは黒い瞳を細めて笑う。
「ねぇ、新次郎。どうして欲しい?このままイきたい?それとも…」
昴さんの言葉を最後まで聞くことは出来なかった。
…ぼくが、無我夢中で昴さんを押し倒してしまったから。
「新次郎…」
「昴さん、ぼく…もう我慢出来ません……限界です」
「……君は本当に我慢が足りないな。まぁいいか。ご褒美は手だけのつもりだったんだけど…少し、その気になったしね」
「え……?」
「この手を離してベッドに横になれ、新次郎。僕の言うがままに。従わないようなら、やめるよ?」
「わ、わかりました……」
昴さんの言うとおりに昴さんから離れると、ベッドに横になる。
「…僕の言うとおりにしてくれると誓うかい?」
昴さんが微笑みながらぼくを見下ろす。
「は、はい……」
「いい子だ」
何だか昴さんの方が男らしいな、などと思っていると。
「…っ。昴さん…」
昴さんの舌が、ぼくの首筋を這い、手がネクタイを解き、シャツのボタンを外していく。
…だけでなく、もう片方の手はさきほどのようにぼくを緩やかに扱いていた。
「……僕は本当はこういう方が好きなんだよ」
戸惑うぼくの心を読んだかのように、昴さんが視線だけを僕に向ける。
「ふふ、何だかいいね。僕が新次郎を支配しているみたいだ…」
何処かを縛られたりとかそういうわけじゃないのに。
ぼくは身体中が石になってしまったかのように動けずに、昴さんのなすがままだった。
いつもぼくがしている事と反対の事を、昴さんの手が、舌が、唇がぼくにしている。
……昴さんへの愛撫と違うのは、昴さんの手がぼく自身を握っていることだけど。
「ねぇ、新次郎……君は僕を男だと思う?女だと思う?」
昴さんはぼくの身体に触れながら、そんなことを問う。
「そ、それは…」
「ちょっとは期待してるんだろう?その答えが分かるって」
昴さんの指が、我慢しきれないほど膨張したぼくの先端から出た先走りを亀頭になすりつけるようにして触れて。
つんつん、と突く。
「……教えてあげないよ。教えたら、つまらないじゃないか」
「昴さん…」
まさかこのまま終わりにされるのだろうか、いっそ本当に昴さんを押し倒して…
そんなことを考えていたときだった。

「…僕が聞いたこと以外の言葉を言ったら、遠慮なくやめるよ。いいね、大河新次郎……」
昴さんがぼくの上に馬乗りになったと思ったら、ぼくの陰茎をつかんで、穿いたままのズボンの中へと導く。
「!!」
「んっ……く、うぅ……はぁっ……」
ぬるり、とした感触がしてずぶずぶと自分が何かに沈みこんでいくような感覚。
…何かも何も昴さんの中以外にありえないのだが。
「昴さ……」
「聞いたこと以外の言葉を言うなと言った筈だ」
昴さんの人差し指が、ぼくの唇に触れて黙らせる。
「……ふぅ」
その間にも昴さんは腰を落として、ぼくを飲み込んでいく。
昴さんが動くたびにぬるぬるした内部が絡みつくような心地よさが襲ってきて、ぼくはそれに耐えるのに必死でそれ以上聞くどころではなくなってしまった。
気を抜いたら、すぐに出てしまいそうなほど、昴さんの中はきつくて気持ちいい。
…昴さんに『お預け』を食らう度に、帰った後昴さんを想像して自分の手でしたことはあるけど、比べ物にならないほど。
やがて、ぺたんとぼくの上に座った昴さんは息を吐くとぼくを見る。
「流石に慣らさないとちょっとキツイね。体勢が無理なせいもあるけど」
…端から見たら凄い格好だ。ぼくも昴さんもズボンを脱いでいないのだから。
「…僕の中はどう?気持ちいいかい?」
「はい…凄く…気持ちいいです……」
「ふふ、ありがとう。じゃあ、動いたらだめだよ、新次郎」
昴さんはそう言って、自分の腰を上下させる。
…ぼくは自分の上で昴さんが腰をふって、喘ぐ姿をぼんやりと眺めていた。
昴さんが動くたびに内壁がぼくにまとわりつき、扱き、締め付ける。
あまりの気持ちよさに意識がくらりとしそうなほど。
「はっ……あっ……しんじ、ろぉ…」
ぼくのお腹のあたりに両手をつき、昴さんが身体を揺さぶる。…片手には鉄扇を握ったまま。
時折、身体を前後左右に動かすのはそうやって自分の感じる場所にぼくが当たるように探しているのだろうか。
不思議な気分。
ぼくが昴さんの中に入っているのに、何だか昴さんがぼくを犯しているみたいだった。
…昴さんはぼくが少しでも動こうとするとぼくを睨みつけて「やめてもいいのか」と脅す。
そう言われると大人しくするしかない。
我ながら情けないけど。
それでもぼくの上でしなやかに身をくねらせる昴さんは凄く綺麗で。
閉じられた瞼もそれに翳を落とす睫毛も、甘い声も揺れる黒髪も細い肢体も全てが夢のようだった。
昴さんが好きで、ずっと一つになりたいと思っていて。
それが叶っただけで幸せだった。
…なのに物足りなく感じるのは男の本能なんだろうか。
昴さんを思うがままにしてみたい。もっと、鳴かせてみたい。
征服欲、みたいなものが自分にあるとは思ってなかったけど、心の何処かでそういう感情が疼く。
「あぁ…新次郎…新次郎……」
名前を呼ばれるたびにその気持ちが強くなって。
「ん、ぁっ……はぁ…」
だが、それ以前に昴さんの動きがだんだん早く激しくなってぼくはもう限界だった。
「昴さ…ん……ぼく、もう…だから、抜いてください…」
ぼくからこんなことを言うのもおかしいけど。
このまま中で出すわけにはいかない。
だが、昴さんは僕の言葉にくすりと笑った。
「ふふっ…君は面白い事を言うね。抜かなかったら、どうなるんだい?」
言葉と共にぎゅっと入り口が締まったのはわざとぼくを刺激するためか。
「昴さん、だって……」
「僕が君の子を孕んでしまう…かい?」
ぼくを見下ろしながら昴さんは艶やかな笑みを浮かべる。
昴さんの口からそんな言葉が出るとは思っていなかったので面食らいつつも、必死に落ち着こうとするぼくをからかうように。
昴さんのしなやかな指がぼくの上半身をすーっと撫でる。
「ふふ、新次郎。僕の性別もわからないのにそんな事を考えるなんて…孕ませられるものなら、孕ませてごらん?」
その言葉に理性の糸がぷつりと切れた。
「…挑発したのは昴さんですからね」
昴さんの腰を掴んで、その華奢な身体を揺さぶる。
「あっ…!しんじろ、だめっ!!」
昴さんの言葉も耳に入らないほど。
部屋中に性器の擦れ合う音が響く。
「はぁっ!ああっ!新次郎っ!!あぁっ……!」
昴さんの手に握られた鉄扇がぽろりと落ちた。
「ああ、もっと…!もっと激しく…僕を……っ」
ぼくが遠慮なく突き上げる度に昴さんの身体が跳ねて、黒髪が揺れる。
あんまり乱暴にしたら昴さんが壊れてしまうんじゃないかと心配だったが、そんな心配も昴さんの言葉にかき消された。
「昴さん…昴さんっ……」
昴さんの手がぼくの手首を掴む。
抗議の為かと思ったけど、そうじゃなく自分の身体を支える為らしい。
ぼくの動きに合わせて昴さんも身体を揺さぶる。
最初はちょっとタイミングが合わなかったけど、だんだんお互いのリズムを掴めたのか呼吸が合ってくる。
そうすると今まで以上の快感が襲ってきた。
「はあぁっ…!や、はっ……」
ぼくの限界も近いけど昴さんも近いらしい。
昴さんの中は一層ぎゅうぎゅうぼくを締め付けて、離すまいと言わんばかりだ。
「あ、あっ……しん、じ、ろぉぉぉぉ!!!」
叫ぶようにぼくを呼ぶ声がして白い喉を仰け反らせた昴さんが目一杯の力を込めてぼくの手首を握りしめる。
身体は小刻みに震えているが動きがぴたりと止まったところを見ると、昴さんが達したらしい。
「うっ……昴さん、出します…!」
と、同時にぼくを包んでいた内壁がこれでもかというほどきつく締まって、その圧迫感に耐え切れずぼくも昴さんの中へ二度、三度と精を吐き出した。

「…はぁっ……はぁっ……はぁっ……新次郎」
ぼくが達した後、昴さんは荒い息を吐きながらぼくを潤んだ瞳で見下ろす。
「約束を破ったね…君には、躾が必要だ……」
「昴さん…」
もっと、って言ったのは昴さんじゃないですかと思いつつも怖くてそんな事は言えない。
「ふふ、僕がもし君の子を孕んだら生まれるまで君とは会わないとかいいかもね。ある日いきなり子供を抱いて現れて『君の子だよ』とか言ってみたりさ」
昴さんは楽しそうに笑いながら身体を持ち上げて自分の中のぼくを引き抜く。
「す、昴さん…怖い事言わないで下さいよ」
「『目元が君にそっくりだろう?』とか言うのもいいかもしれないな。ねぇ、新次郎。楽しそうだと思わないかい?」
くすくす笑う昴さんとは対照的にぼくは青ざめる。
…もしかして大変なことをしてしまったのかもしれない。
「も、もしそうなってもぼくが一生責任をとって昴さんと子供の面倒を見ますから!」
「……君は本当に思うがままだな。まぁ、そこが君のいいところだけどね」
起き上がって昴さんの顔を見つめながら言っても。
昴さんはシャツのボタンを留めながら笑ったまま。
「僕が女だといつ言った?」
「へ?だって昴さん…」
「…世の中には君の知らない事もたくさんあるんだよ新次郎…」
不敵に笑う昴さんの指が、ぼくの頬をなぞって唇で止まる。
「僕の性別が知りたければこれからも僕を退屈させないように『侍の意地』、見せてくれよ?大河新次郎」
「す、昴さん…」
どう見たって、というかどう考えたって女性なのに。
昴さんにそう言われると本当に女性なのかあやしくなってくる。
何処までも謎だらけの昴さん。
「は、はいっ。大河新次郎、粉骨砕身の覚悟で頑張ります!」
「いい返事だ。…君が頑張ってくれたらまた相手をしてあげるよ。……逆は躾けるけどね」
ぼそりと怖い事を言われた気がする。
でもいいや。
「躾けられないように、頑張ります。昴さん、大好き…」
「僕もだよ、新次郎。僕が、本当の僕でいられるのは君の前だけだからね…」
昴さんを後ろからぎゅうっと抱きしめる。
結局、昴さんが本当に女性なのかよくわからないけど。
そんなの関係なしに昴さんが大好きだから。
…でも、今度は昴さんの裸が見たいなぁなどと邪な事を考えつつ
ぼくを見て微笑む昴さんにキスをした。

END


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