意志の強さを表す君の瞳が愛しい。
ガラス細工の様な繊細な心を守りたい。
だからずっと君の隣にいよう。
君の望む通りー友として…
楸瑛は稀に、自分の邸宅に絳攸を招いて
二人で酒を酌み交わしていた。
最近では忙しくなり、すれ違いが多かった為に
今夜は久しぶりの酒宴となった。
「絳攸?眠ってしまったのかい?」
楸瑛は月明かりに照らされた友に呼びかける。
疲れでいつもより酔いが早かったのか、返答は無い。
ただ、緩やかな寝息が聞こえるだけ。
「君は…まったく。どれだけ私を試せば気が済むんだい?」
絳攸の前髪にそっと触れる指先はどこまでも優しく切ない。
「絳攸…愛しい人。
君が女性ならば…私はどんな手を使ってでも
君を我がものにできたのに…。」
楸瑛は目覚めない絳攸に語る。
起きている時には決して言えない事を。
言わなければあふれてしまう。
君にたいする想いは何故こうも湧き水のように心からあふれだすのか。
ふと、楸瑛は月を見上げる。
色事には慣れていた楸瑛だが、恋をしたのは絳攸ただ一人。
だが絳攸は自分に対して友である事以上を望んでいない。
だから…欲望はすべて他に流してしまおう。
獣のように君を貪らないように。
絳攸の前では頼れる友でいたい。
無様な自分を見せないように。
…しかし主上も粋な事をしてくれる。
私と絳攸に同じ花を送るとは。
これで腐れ縁だけではなく、花でも繋がりを深める事ができた。
何より養父殿のあからさまな嫌がらせも減ったしね。
「さて、眠り姫を寝所に運ぶとしよう。」
軽々と絳攸を抱き上げ、ゆるりと足を運ぶ姿を月が見送る。
END
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酒を酌み交わし寝てしまう絳攸。
楸瑛は紅家の影たちに毎回 絳攸に対する想いを聞かせているのか(汗)
そりゃ黎深様も怒って嫌がらせするだろうね…。
本人も余裕ないかもね…(涙)