王の禁軍・羽林軍の訓練場に円を描くように人だかりができていた。

その中心には二人の男が剣を交わしている。

言わずもがな左・右羽林軍の両大将軍だ。

激しい剣技のぶつかり合いに雄々しいと言えば聞こえはいいが、数多の野太い声が

興奮したように飛び交っている。


「なんだぁ〜?そんな攻撃きくか、よっ!」

「ふっ。」


雷炎の攻撃を甘いとばかりに受け流し、流れるような動作で反撃をする世。

そんな二人を囲む者たちはいっそう盛り上がる。

この勝負が何故こうも盛り上がりをみせているかと言えば

それは賭をしているからに他ならない。

白大将軍が負ければヒゲを剃る。

黒大将軍が負ければ頭を丸める。

双方武人として、ある意味ギリギリの戦いをしているのだ。

二人の試合は一刻半にも及んでいた。

誰も終止符が打てない中、噂を聞きつけ見物に来た宋太鋪?が

呆れて止めた事で終わりを告げた。

勝負は引き分け。


「まったく、どいつもこいつも…。」

あの二人とそっくりだと宗は内心ぼやく。

今は片方が失われてしまったが…。



引き分けの勝負をした二人の大将軍は内心ほっとしていた。

白大将軍にしてみればヒゲは剃りたくない。

だが、同じようにあの赤い髪を切らせたくなかった。

獅子の鬣を何故切ろうと思えようか?

黒大将軍はといえば。

自分と剣を交える時、あの瞳が流れる赤い髪を眩しそうに見るのを知っていた。

だから切れない。

そして白が素顔をさらすのは許せなかった。

だから双方ギリギリの戦いになってしまったのだ。

勝ちも負けも譲れない。

そう、これは彼らの恋の駆け引き。

気がついた者は呆れて笑うかもしれない。

だが二人らしいそれを本人たちは気に入っているのだった。


END

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ついに書いてしまいました(笑)
今回タイトルが自分の中で笑いのツボでした。
双花同様に好きなカップリングです。
髪の色などはアニメを参考にしました。