たくさんの中のただ一つ
ショーゴは友達。
大好きな友達。
一緒にいるだけで楽しい。
ショーゴが悲しいと悲しいし、ショーゴが嬉しいと嬉しい。
だから僕はずっとショーゴの傍にいるんだ。
ショーゴは知らないけど、『フィル』は風の精霊がみんな名乗る名前。
だけどショーゴが僕を指して、フィルって呼んでくれる。
だからショーゴには僕だけがフィルなんだ。
たくさんいる風の精霊の中で、僕だけがショーゴのフィルなんだ。
嬉しい。
だからずっと、傍にいるんだ。
でも、すごく眠いの。
ショーゴの声が聞こえる。
悲しそうな声が、僕を呼んでる。
なのに体が動かない。
ゴメンね、ショーゴ。
今は傍にいるのが精一杯。
どうすれば伝わるの?
ショーゴ。
………また、眠くなってきた。
おやすみ、ショーゴ。
ごめんね……。
END
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短いですが、フィルの気持ちをお届けです。