翌日は買い物リストを見ながら二人で店を回った。
とは言っても大きくない村だからか、店の品揃えは良くないみたいだった。
レギウスは必要なものから買っている。
荷物持ちのつもりでいるのに俺は今現在手ぶら。
「レギウス、それ持つよ。」
「大丈夫だ。それより、これを着てみろ。」
レギウスはフード付きマントみたいなものを指差している。
俺はとりあえず言われたとおり着てみた。
レギウスは生地に触ったり、フードをかぶせたりした後
さっさとお金を払ってしまった。
「俺のだろ?自分で払うよ。」
俺にだって鉱山で働いた給金があるのだ。
けれどレギウスは首を横に振ると、歩き出してしまった。
仕方が無いからレギウスの手荷物を奪って隣を歩いた。
子供っぽい行動だったせいか、レギウスの手がぽんぽんと俺の頭に軽くふれていく。
どこまでも子供扱いだよ。
俺たちは宿に戻った。
昼食をとった後、俺はベットで読み書きの練習。
レギウスはまた出かけて行った。
どこに行ったか気にならなくはないけど、聞くのもね…。
そういうわけで黙々と読み書きに集中することにした。
いつのまにか寝ていたらしい。
夕日が射し込んでる。
慌てて起きたらレギウスが床で荷造りしていた。
ああ、俺の分もやってあるし。
レギウスが近づいて来た。
あれ?何もってんの?
俺は立ち上がると、レギウスが俺の前にかがみこんだ。
ズボンの上から右の太ももに皮製のベルトを着けてくれている。
「護身用だ。手を切らないようにな。」
ちょっと頑丈なペーパーナイフみたいな短剣が足のベルトのホルダーに
入っている。
「ありがとう。…また、くれるの?」
貢がれ慣れてない俺としては、いいかげん心苦しいんだよね。
嬉しいからよけいにさ。
「ああ。気にしなくていい。」
出稼ぎで鉱山に来てたんじゃないのか?
釈然としないまま俺とレギウスは夕食に向かった。
ジョンとエイナの結婚式当日。
その日は暖かい日差しや、柔らかな風までもが二人を祝福するような
絶好の結婚式日和になった。
村の広場で二人を中心に飲めや歌えやの大盛り上がり。
エイナは少しぽっちゃりしているけど、ジョンと同じ優しい目をしていた。
ジョンが調子に乗ってバカな事をやるたんびに笑ってたしなめている。
いい夫婦だと思う。
なんだか自分の両親を思い出すな。
うちは母親がバカやって父親がたしなめてたけどな。
万年ラブラブのバカップルだったからジョン達もそうなるだろう。
俺はテンションをあげて湿った思いをおいやった。
夕暮れ、色とりどりの花を敷き詰めた道を二人が家まで歩き出す。
凄くきれいで感動した。
ジョンはエイナの実家の食堂に婿入りするそうだ。
サザエさんでいうとこのマスオさんってやつ。
二人が家に入ると、残った者たちで片付けをした。
もちろん俺や、レギウスも手伝った。
しかし、あれだけの酒を飲んでも酔いつぶれないとは…。
レギウスは本当にすごいな。
レギウスは女性だけならいざ知らず、酔いつぶそうとした奴の酒まで
全て飲み干していたんだ。
樽一個分は飲んでるんじゃないか?
片付けが終わって、俺たちは宿に帰ることにした。
俺の予想は はずれた。
レギウスは宿の部屋に着くなり突然、ベットに倒れこんだのだ。
本当はめっちゃ酔ってたのかよ…。
でも、これはどうよ?
俺まで抱きこまれてるんですけど。
どうにも抜け出せない俺は諦めて目を閉じた。
体勢がちょっと苦しいけど、レギウスの腕の中で寝るのは慣れちゃってるからな。
こんなの見られたら、ますますジョンやおっちゃんに誤解されるな。
まぁ、いいや。
明日はいよいよ出発だけど、レギウス次第ってとこだな、きっと。
なんか明日のレギウスの態度が楽しみだ。
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