森を抜けると、門が見えてきた。

まだ距離はあるけど、目標が見えてると気がらくじゃん?

薬草のおかげで頑張れそうだし。

しかしだ。


「フィル、痛い。」


風の精霊・フィルがついて来てしまった。

黒い髪が珍しいとかで、ひっぱったりしてる。


「この髪、切っちゃ駄目だよ。」

「なんで?俺はそろそろ切りたい。」


こっちに来てから切ってないから襟足なんて肩より10センチは長い。

俺の顔がアイドルの修二と彰をたして2で割った感じだと言われたから

元の髪型はあんな感じだった。

それが今はボサボサだ。


「絶対駄目!」

なんなんだよ?


「俺も伸ばした方がいいと思う。」

「…わかった。
レギウスが言うなら伸ばす。」


レギウスが俺の髪を手ぐしで整えてくれた。

そういえば、この世界の住人って肩より短い髪の奴を見たこと無いな。

聞いてみると長い髪の方が精霊の加護が受けやすいらしい。

だからフィルも伸ばせって言ったのか。

そうこうしていると門まで着いた。

石で出来てて結構大きい。

門番みたいな奴が二人いて検問しているようだ。


「ショウゴ、門を抜けたら絶対にはぐれないように。」

「わかった。」


なんか俺が思ってたより大きな街みたいだ。

俺たちは検問待ちの列に並んだ。





中は本当にすごい街だった。

人があふれてる。

鉱山が近いせいか鍛冶屋と武器・防具屋、それに宝石屋が多い気がする。

レギウスは俺をかばうように人ごみを歩いてくれてたから正直助かった。

俺はこの世界だと小さいんだ。

目的の宿に着いて部屋に入ると、なんと部屋に風呂があった。

高そうな宿だとは思ったけど、すごいな。

俺は早速風呂で、レギウスは宿に預けた馬の様子を見に行った。

鉱山と違ってちゃんとした風呂だ!!

石鹸なんて久しぶりに見たよ。

風呂から出た俺はスッキリ爽快でついベットで寝てしまった。

気がついたら朝!まあ、歩き疲れたからな…。

空腹で目が覚めると、レギウスがまだ寝ていた。

朝といってもかなりの早朝なんだろうな。

俺は窓の傍の小さいテーブルに移動した。

飲み物とパンとメモがある。

メモには、ショウゴの夕食 と書いてあった。

遠慮なく食べることにした。

食べ終わって窓の外を眺めてると、レギウスが起きてきた。

買出しがあるから明日の朝出発だって。

昨日は店を見たり出来なかったから、今日は着いて行こうとしたら

用事があって夕方まで宿にいるようにって言われちゃったよ。

仕方ないから文字の練習。

なんか隠し事されてる感じがするのは気のせいか?

大人の事情ってやつは仕方ないよな…。

結局イライラを筋トレにぶつけることにした。




夕方、やっとレギウスが宿に戻ってきた。


「待たせてすまない。支度は出来てるか?」

「もちろん!」


さっきのイライラはレギウスの姿を見たらきれいに消えさった。

ああ俺、レギウスにかまってほしかったのかも…。ガキだな俺。

宿を出て露店や気になる店を色々見てまわった。

特に欲しい物なんて無かったはずなんだけど、ある露店にあった鱗のベルトが

どうしても気になっていた。

白銀に輝くベルトを露店の前でずっと立ち止まってみていたら

露店のおじさんが話し掛けてきた。


「ぼうず、そのベルトは本物の竜の鱗で出来たものだぞ。」

「へぇ。すごいな…」


竜か、ここでは実在するんだ。

でもそういう事じゃなくて、なんか気になる…。


「これ買うよ。いくら?」

「そうだな、8000G。…いや、5000Gでいい。
ぼうずは異世界人だしな。」


異世界人に優しい国で感謝だ!!

俺は礼を言って品物を受け取った。


「あ、まて。そのベルトは左右にホルダーをつけることができる。
同じ様な剣があるらしいぞ。」

「わかった。探してみるよ。」


おじさん商売上手だ。

この街では無いみたいだから焦らず探すか。


「いい物を買ったな。」

「うん。」


レギウスの言葉に俺は力いっぱい頷いた。

それから夕食を済ませて宿に帰った。

レギウスが荷物を整理してるのをベットから見てたら寝てしまい朝。

このパターン多いな…。

翌朝、朝食は買っといた果物とパンを食べた。

ここから馬に乗っての旅だ。

宿を出ると、すぐに馬が繋いであった。

いや、待て。それ、馬なのか?

レギウスの馬には牙が2本出ていたのだ。


「軍馬の雌だから二人でも乗れる。
名前はシーラだ。」

「よ、よろしく。シーラ。」


恐々シーラにあいさつすると、シーラはゆっくり鼻を擦り付けてきた。

人懐っこいおとなしい馬でよかった。

荷物を積んで、馬上のレギウスが俺を引っ張って乗せてくれた。

よいよ出発!!

次の街はエラノダというらしい。

ちなみにフィルの奴は俺のフードの中で寝てやがった。



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いつソワノ・デラに着くのかな…;