ナーロット×エニシのねっちょねちょ
・パラレルワールド(免罪符)。筆者の妄想大爆発。原作の雰囲気をぶち壊しにかかってるので、二次創作と割り切れる方のみの閲覧をお願い致します。マジでごめん。
・いろいろマニアック注意。
・クモノイ君捕食二日前
・エニシ君泣かせ隊
・ナーロットさんに食われ隊
*
甘い蜜(エニシ編)
まずいものを見てしまった。
エニシは薄暗い小さい路地裏で立ち尽くしていた。その目線の先には、壁に寄りかかり座り込んでいる――気を失っているようにも見える――女性の姿があった。
エニシはその女性に見覚えがあった。薄緑色の髪、人より長く尖った耳。ナース服を着ているが、その上からでも分かる、男を魅了する身体。かつて廃洋館で激闘を繰り広げた――確かナーロットといったか、その人が、項垂れて、石畳の上に座り込んでいた。
この辺は人通りが極端に少ない。セカイの街の大通りは賑わっているが、少し小さい路地に入ると全くと言っていいほど人気が無くなる事が多い。ましてやこんな狭く、昼だというのに薄暗い路地裏なんて、人が好んで通り歩く場所ではなかった。そんな場所にエニシが入ったのは偶然であったし、まさか人が倒れているとは考えてもいなかった。
ナーロットは以前敵として戦ったといっても、現在は一般市民だったはず。それに、このまま置き去りにするのもどうかと思い、エニシは恐る恐る声をかけた。
「お、おい、大丈夫か?」
近づいて地面に手と膝をつき、顔を覗き込んでみた。薄暗いせいもあってか表情がよく見えない。肩に手をかけ揺さぶってみる。
「おい、聞こえるか? しっかりしろよ」
「……、」
「え?」
ナーロットの口元が微かに動いた気がした。その小さな声を聞き逃さまいとエニシは耳を傾ける。甘い声が、ぽそりと彼女の口から出た。
「……おなか、すいたぁ……」
え、と思う前に、エニシの身体が引き寄せられる。顔を両手で掴まれ、無理矢理キスをされた。
「――!?」
唇に柔らかい感触。押し付けるようなそれに、エニシの思考回路は追いつけなかった。混乱している間にもナーロットはエニシの胴体に片腕を回し、より密着しようとする。
「んんっ……む……!!」
ナーロットの肩を押して離れようとするも、この細い体のどこから力が出ているのか、全く離れられない。それどころか回された腕は力を更に込め、痛いほどエニシを抱きしめる。彼女の大きな胸が、身体に押し付けられる。
「んむぅ……っ! んん……」
エニシは息が出来ない苦しさに、ナーロットの腕をポンポンと軽く叩いた。すると、エニシの意図に反し、ナーロットの背中からざわりと多くの触手が生える。――そういえば、触手ってしまえるんだ――などと頭の片隅で感心したが、それ以上に嫌な予感がする。心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「んっ……ふぅ……!」
必死で抗議の声を上げるにも、唇が塞がれていて声が曇る。これでは助けを呼ぶにも呼べない。そうこうしている内に、ナーロットの触手はエニシの腕に巻付き、エニシの自由を奪う。
それに加え、あの時と同じように触手たちは服の中に入ってきた。シャツの袖から、ボタンとボタンの隙間から、襟から……あらゆる場所から侵入され、身体にぬるぬると這われ、エニシは気持ち悪さに身体を震わせる。
「んんん…… っ!」
口の中に何かが入ってきた。ナーロットの舌だ。それは熱く、とろけてしまいそうな程柔らかかった。舌を絡め、吸われ、口内を犯される感覚に意識が溶けそうになる。微かに漏れる声が、熱い息が、混ざり合う。
「ふ……はあっ……ちゅ…………ん…」
シャツの下で蠢く触手と口を塞ぐ舌に翻弄され、思わず声が漏れる。ナーロットのしなやかな指が、エニシの髪を撫でる。エニシの髪のやわらかさを楽しんでいるかのようだった。
「んっ……ふぅっ……」
エニシの体から力が抜けていく。触手に拘束された腕も、次第に抵抗する力を失っていった。酸欠気味で苦しい、頭がぼんやりする。でも、気持ちがいい。もっとして欲しい――
そう思った瞬間、口が解放された。舌から糸が引いて切れる。服の中の触手もピタリと動きを止める。エニシは肩で息をして、酸素を取り込もうとした。
「――あら?♪ 私は何をしていたんでしょう?♪ あ、貴方は確か……エニシさん?♪」
「あ……はは、どうも……」
今まで濃厚なキスをしていたとは思えないのんびりとした口調に苦笑してしまう。エニシは途端に恥ずかしくなり、ナーロットから目をそらした。顔が赤くなっているのが自分でも分かる。
「ああ、そうでした……お薬の配達に行って、その途中でお腹が空いてどうしようもなくなって……エニシさんが助けて下さったんですかぁ?♪」
「え? まあ、そうなる……のか?」
正確に言えば、無理矢理襲われたのだが。
ずっと膝立ちの状態だったので膝が痛い。このままだと制服が汚れそうなので、取り敢えず解放して欲しい。……抱きつかれているのは、悪い気分ではないけれども。
「あのー、放して欲しいんだけど」
「あら、すみません♪ 今放しますね……」
言葉を切り、ナーロットがじーっとエニシを見つめた。エニシはその沈黙に違和感を覚え、訝しげに見つめ返した。
「……せっかくですし、もっと頂いてもいいですかぁ?♪」
「はあ!?」
「ほらぁ、こないだは食べ損ねてしまいましたし……♪ 少しだけ、『出して』くれるだけで構いませんので……♪」
この後に及んで捕食しようというのか――ナーロットの諦めの悪さに驚愕する。
エニシの返答も待たず、ナーロットは立ち上がると同時に触手でエニシを無理矢理立たせ、足をも拘束した。シャツの中で触手が再び蠢き始め、ぬるぬると肌を這い回る。気持ち悪さとくすぐったさに身を捩らせた。
「ちょ、ちょっと、やめ……あっ!?」
くに、と敏感な箇所を触手に押され、思わず反応してしまう。そこをずりずりと擦られ、痺れるような感覚に息を震わせる。
「や、やめ、ろっ……!」
「身体はやめて欲しそうじゃないですけどねぇ?♪」
「く、ぅっ……!」
普通であったら知り得ない感覚に腰が引けてしまう。そもそも、屋外で、人通りが少ないとは言えいつ人が通るかも分からない路地で、こんな事になるなど思いもよらなかった。跳んで世界を渡るにも、触手に自由を奪われている今、どうする事も出来ない。
エニシの口元に一本の触手が伸び、ぬるりと口に入った。ゆっくりと前後する度、ぬめりを帯びた液が口内に塗り付けられる。
「んむぅ……ううっ……!」
首を振って拒否の意を示すが、口の触手はお構いなしに前後運動を繰り返す。生暖かく脈打ち、ゴツゴツと喉の奥まで突く。苦しくてむせ返りそうで、目尻に涙が浮かんだ。
ドクンと触手が一層強く脈打ち、瞬間、口の中がドロドロと甘い物で満たされる。口の端から溢れ出るほどの量にエニシは眉をひそめた。白濁が顎を伝いこぼれ落ちる。
離されない触手に、これを飲めということか、とエニシは察する。なんとか喉を動かし、甘ったるさと喉に引っかかる食感に苦労しながらも、こくこくと少量ずつ飲み込んだ。
エニシの口から触手が引き抜かれ、飲みきれなかった液体が口端から溢れた。
「げほっはあっはあっ……」
「うん、健気で可愛いですねぇ♪」
ナーロットはエニシを抱きしめ、右手で彼の髪の毛を撫でる。エニシは、体の奥に熱が湧き上がり、鼓動が高まるのを感じた。服の中の触手が数本、下半身に向けて動きを進める。身体とズボンの隙間から侵入しようとしているらしい。エニシは思わず身を捩らせたが、それがかえって隙間を生じさせ、侵入経路を作り出してしまった。
「あっ……ダメだって……」
下着の上から自身のそれを触手に撫でられる。自身の物がわずかに固くなってきていることを認めたくなかった。反面、心のどこか少しだけ期待している自分がいた。いけない事の筈なのに、身体は反応してしまって。布越しに擦られ、息が乱れていく。
「ふ……ぅ……」
脇腹、太ももの内側を撫でられるとゾクゾクしてしまう。すっかり勃った乳首を押しつぶされる様に擦られると、その痺れが下腹部に集まっていく。
触手が太ももを伝い下着の中に入り込んできた。それは直接エニシのものに絡んできて、身体が待ち望んでいた感覚に思わず腰を揺らす。目元が潤み、とろんと垂れてきた。
「ん……やっ……」
下着の中で触手がこぞって中心に群がっているらしく、水音が微かに聞こえてくる。更に竿を上下に扱かれ、陰嚢を揉まれ、自分で慰める時よりも気持ちがいい。ナーロットを見ると、ニコニコ笑いながらこちらを見つめていて、エニシは羞恥に頬を更に染めた。痴態を見られる恥ずかしさに目を逸らすも、視線は痛いほど突き刺さってきて、エニシは恥ずかしさに耐えられずに目を閉じた。
「っ……はぁっ……あ……」
高まる射精感にガクガクと震える足。撫でられる髪すら気持ちがいい。そろそろ限界が近い。
「……だしちゃっても、いいんですよぅ♪」
耳元で囁かれて、背中にゾクゾクしたものが走った。
「――――――あっ……!」
短く喘ぎ、身体を硬直させる。快楽が吐き出される。ドクドクと流れ出る欲望が、動く触手に絡んで水音を響かせる。尿道に残った精子も絞り出され、エニシは熱い溜息を吐いた。
身体中の触手が動きを止めた。エニシは息を整え、潤んだ目でナーロットを睨みつける。
「……終わったんだろ? いい加減放してくれよ……」
射精したのに、まだ体の芯に熱が残っている気がする。それを悟られる前にこの場を離れたかった。
「……やっぱり」
「え?」
「やっぱり、最後まで頂いちゃいますねぇ♪」
「えっ、ちょっと!?」
話が違うじゃないか――と言う前にも触手たちの運動が一斉に再開される。ナーロットがエニシのベルトに手を伸ばし、それを手際よく外した。むりやり触手に入られていた窮屈さから解放された代わりに、先程より多い触手に下半身を撫で回される事になった。
「や、やだ、やめろってば」
そんな抗議もお構いなしに、ナーロットは腕をエニシの体に回す。触手はエニシの尻にも這い回り始めた。割れ目に沿って撫でたり、尻の肉を揉み込んだり、その動きにエニシは不安と危機感を覚えた。触手がぐちゃぐちゃと粘液の音を響かせながら絡むうちに、ズボンと下着が自然にずり下がっていく。
「待っ、ダメだって……!」
知ったこっちゃない、とでも言いたげに、ナーロットは微笑みながら首をかしげた。後ろの穴をぬるりと掠められて身体が意志とは関係なく跳ねてしまう。前では果てたばかりでまだ敏感なそれを扱かれ、腰が抜けそうになる。耳を甘噛みされ耳孔を舐め回され、脳に直接響く水音に背徳感を煽られた。
「やあ……あうっ……!!」
エニシは声を出すまいと悶える。菊門に指ほど細い触手が数ミリ入っては出るを繰り返し、気が気でなかった。
「入ら、ないから……無理だってばぁ……!」
「なるべく痛くないようにしてあげますから……♪」
ぬぷ、と触手が挿れられる。確かに痛みこそないものの、その違和感と圧迫感に息が詰まる。生暖かいそれはエニシの内側を探るようにして壁をこすり、身体の奥の熱を上げてくる。自らでも触ったことのない場所を弄られ、頭がぼーっとしてきた。
「んぅ……」
足に力が入らない。エニシはとうとうナーロットに身体を預け、内から広がる快感に耐えようとした。
ああ、人が快楽に耐え忍ぶ姿はどうしてこうも私の心を満たすのか。ナーロットの頬が自然と緩む。
自分の腕の中でふるふると震えるエニシ。この子の顔を羞恥に染めたい。彼の髪を撫でながら、内側の一番イイところを探る。こり、と固いものが触れ、重い感覚にエニシの腕に力が入った。
「……!」
顔を真っ赤にして恥辱に耐えるエニシを見て、ナーロットはますます彼を虐めたくなった。
「エニシさん、深呼吸して下さい……♪」
「ふあ……?」
「身体の力を抜いて……ゆっくり息を吸って……」
抗うという選択肢が出るほどの理性は無くなりかけていた。エニシは素直に従い、深く息を吸う。先ほど反応があった部分を、彼の呼吸に合わせて押す。
「はぁぁ……っ」
息を吸っても気持ちいい。息を吐いても気持ちいい。呼吸に合わせて中から切なく甘い快感がじわじわと昇ってきて、目に涙が浮かぶ。気持ちよさは深呼吸を繰り返すにつれ段々と強さを増してきて、津波のように襲い来る快楽に叫んでしまいそうだった。
「ぅうう……! ふ、あぁあ……っ!」
「深呼吸、続けてくださいねぇ……♪」
足がガクガクと震えてまともに立てる状態ではなく、全体重のほとんどをナーロットに預けた。これ以上続けたら変になってしまいそうなのに、身体は快楽を求めてしまっていて、それに抗う事が出来ない。ずっと射精しているのではないかと思うほど強い快感が、絶えずエニシの中から湧きだし、頭の中が快楽だけに塗りつぶされていく。
「ぁぁあああっ……!」
「声出しちゃっていいんですか?♪ 誰か来たら聞こえてしまいますねぇ……♪」
「……!」
そうだ、ここは外なんだ、誰かにこんな姿を見られるわけにはいかない。なけなしの理性で声を抑えようとするも、気持ちよさに呼吸と共に声が漏れてしまう。容赦なく続く快楽が、身体を満たしていく。
「ふ、うぅ……あぁぁっ」
――こんなこと、ダメなのに。
「や、ぁぁあああ……!!」
――気持ちいいのがとめられない。
「――――――――――――っっっ!!!!!!」
中から快楽が溢れる、切ない、気持ちがいい、変になる、おかしくなってしまう。全身が硬直し、背筋に甘いものが走り、真っ白な快楽に支配され、頂点へ導かれる。生涯感じ得なかった長く強い絶頂感に、エニシは歯を食いしばって耐えた。
長い絶頂の末、エニシの全身から力が抜けた。息は荒くか細く、ヒューヒューと掠れる。何か考えるにも、快楽の余韻が思考を霞ませてそれが出来ない。
「うん……美味しいですねぇ……もう少し食べても構いませんよねぇ……♪」
ナーロットの呟きも今のエニシには聞こえていなかった。脱力して小さく震えるエニシを、ナーロットは触手で持ち上げて宙吊りにする。足も触手で持ち上げ、いまだ触手をくわえ込みひくつかせている孔をこちらに向け、さらけ出させた。性器は少しだけ勃ち、先から透明な液をトロトロと零していた。
「はあ……ぅ……」
エニシは意識が朦朧としているのか、抵抗する素振りを見せない。穴から触手を抜くと、そこは物欲しそうにヒクヒクと収縮した。
「もう少し太いのでも大丈夫そうですかねぇ♪」
ナーロットが何やら独り言を言っているようだが、エニシはぼんやりとしていてそれの意味を理解することが出来なかった。
「――あっ!?」
突如中に侵入してきた質量と熱にエニシは思わず声をあげ、目を見開いた。先程よりも段違いの圧迫感。内壁を全体的にジリジリと擦り上げられ、灼けるような痺れに腰がくねる。
「や、あ……!」
宙吊りになっているせいで体勢は不安定。奥にずるずる動かれると同時に変な緊張の仕方をしてしまい、穴が締まる。結果自ら触手を締めつけ、触手が前立腺にくいこむ感覚に身悶えた。
「〜〜〜〜〜〜っっ!!」
水音をたてながら奥を突かれ、キモチイイところを揉まれるようにぐにぐにと押される。狂おしいほどの切なさに身体がビクビクと痙攣し、視界はチカチカと白く弾け、叫びそうになるのをなんとか堪えた。でも、快楽の波には勝てない。また限界へと昇りつめる。無理矢理、絶頂させられる――
「――――ひ、あ、ぁぁぁぁあああああああっっっっ!!!!」
エニシの身体が大きく跳ねる。快楽に耐えられずにとうとう声を出してしまった。快感がぐわんぐわんと身体の中を駆け巡り、強く永い快楽に気が狂いそうだ。絶頂を迎えている間にもナカの触手は運動を止めず、エニシをどんどん追い詰める。
「やっああっきてるっまたっきてっ――――――っっっ!!!」
絶頂に絶頂が重なり、また快感に襲われる。後ろの穴は収縮を繰り返し、触手をくわえ込み更なる快感を生んだ。快楽が引く気配は一向にやって来ない、それどころかますますせり上がってくる。
「も、やだ、やめ」
「まだイケますよねぇ?♪」
「ひ、あっ、あああっ!!」
終わらない快楽地獄にエニシは我も忘れて叫んだ。いっそのこと、壊れてしまった方が楽になるような気さえした。
「も、らめ、あああああああああああっっっ!!!!!!」
エニシの性器から大量の白濁が力なく流れ落ちた。腰が痙攣し、宙吊りになった身体が揺れる。
「ま、またっあ、やあっ、〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!」
何度イカされるのだろう。前立腺は相変わらず圧迫され、性器から精子が溢れて止まらない。
「は……あ……っっ! っ!! っ――!!!!」
声を出す余裕すら無いほど、絶頂が止まらない。連続して昇りつめる。快楽が嫌でも溢れてくるのを、自分が壊れていくのを認めたくなくて、首を振る。
「ぁ……っやっあっくるっまたっあああっ……!!!」
意識が遠くなっては、快感によって引きずり戻される。
「あっ、あああああああっ…………!!!」
視界が真っ白。もう、どうでもいい、気持ちがいい――
「――――――うああああああっっっ!!!!」
…………もう、むり……
――エニシの意識は手放され、そこで完全に途絶えた。
「…………あ、エニシさん……すみません、やりすぎでしたねぇ……」
完全に脱力しきり、項垂れるエニシ。ナーロットは粘液に汚された彼を宙吊りのままにして、どうしようかと苦笑いした。
ふと、人の気配を察知し、ナーロットは横に顔を向ける。見覚えのある顔がそこにいた。
「あ、えーと、これは……?」
かつて捕食に失敗した金髪くせ毛プラスアホ毛――クモノイが、顔を引きつらせてたじろいでいた。
「えーとだね、声が聞こえたもんだから、誰かいるのかなって思って、そしたら、君たちがこう、そうなっている訳だけど」
顔を真っ赤にしてしどろもどろと言い訳をするクモノイに、ナーロットはにこやかに尋ねた。
「よければ、ご一緒しますかぁ?♪」
「――遠慮します!!」
クモノイは即答し、振り返って逃走した。ナーロットはエニシを下ろして触手をしまい、彼が目を覚ますまで待つことにした。
――長いこと起きないようだったら病院に持ち帰ろう。そうだ、クモノイ、大本命の彼をまだ食べていなかった。……確か、彼の所属する世渡り社は何でもやってくれると聞いた。……そうだ――
ナーロットは舌なめずりし、思いついたイイコトに心を踊らせた。この二日後、クモノイが彼女に捕食されるのは、また別の話である。