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※Y本人の意向によりサイトから直接はつなげてません(くさすず)

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・くもばら
・勢いのみで書いた。誤字脱字確認してないというか読み返してないミスは多分ある。
・設定捏造しすぎィ!!





 自分には性欲がない、と笑い話にした事もある。直接的な刺激を与えられればきちんと快感を得るし射精だってする。しかし実際人間やそれがある異形たちが言う「性欲」というものが理解出来なかったし、この生涯悶々だとかムラムラだとかいう状態になったことがなかった。だから、バラセートは自分の異変に気が付かなかった。

 なんだか調子が悪い、とバラセートは会社の自室のベッドに腰掛けていた。本日の業務を早めに終え、日が明るいうちに帰ろうかとも思ったが、なんとなく、なんとなく帰る気にはなれなかった。
 気を紛らわせるように新聞を読んでみたり、ストレッチをしてみたりしたのだが、その違和感は消えることはなく、それどころか時間が経つごとに増している気がした。あの同僚をからかって暇を潰そうとしたのだが、外に出ていて会社内には不在のようだった。
 もうすぐ日没だというのに何をしてるのだろうと後悔した。この違和感さえなければ今日という一日をもっと有意義に使えた筈なのだ。

 こんなことは無かったのになあ、と上着を脱いでベッドに横たわる。ちなみにこのベッドのシーツは耐火性に優れているらしく、頭の炎が燃え移る心配はない(科学ってすごいとバラセートは感心した)。

 身体の中で何かがモヤモヤしている。
 何か変なことをされた記憶はない。毒を盛られるにも彼は食物を摂取しないし、注射されるなどといったこともなかった。ここ最近変な事はされなかったはずだ、とバラセートは自らの行動を辿った。
 だとしたら病気なのだろうか。バラセートは自分が人間より頑丈だと思っていた。精神面でも肉体面でも、である。病気にかかったことは無い、風邪だって引いたことがない。怪我だって並の人間よりは数倍早く治る。怪我からの感染症も考えたが、今までの経歴がその可能性を消し去った。

 暑い気がするのでネクタイを緩め、シャツのボタンを上から数個あけた。もうそろそろ秘書や社長も帰る時間だ。部屋はすっかり暗くなり、バラセートの頭の火がぼんやりと周囲を照らしている。ベッド脇のテーブルランプを点けるとオレンジ色の光が穏やかに彼を包み、バラセートはどこかホッとした様子で天井を眺めた。

 思考の奥がチリチリと灼ける気がする。深く考えるということが億劫になってきた。バラセートは寝返りをうってみたが、現状が何も変わらない事にイライラしてきた。

 気を紛らわせるべく携帯端末でネットサイトを巡回しようとするも、普段はスルーするアダルト広告を見る度に視界がぐらつく気分になる。他人の肌が恋しい。誰でもいいから触れたい。そこまで巡ったところで端末をサイドテーブルに投げ置いた。ぼすり、とうつ伏せに身体を沈める。

「なんだってんだよ……」

 弱々しい声は枕に埋もれた。
 なんだか下腹部が熱い。いけないと頭では思っているのに、身体は勝手に布団に腰を押し付けていて、ゆるい快感が昇ってくる。

「ん……」

 もぞもぞと腰を動かすのが気持ちいい。火照る身体を布団に擦り付けるのが気持ちいい。頭がぼーっとしてきて、腰を止めることが出来ない。バラセートのそれはすっかり膨張していて、ズボンを大きく膨らませていた。

「んう……あ……」

 喉から漏れる声も抑えられない。どうしてこんな事をしているのだろうと片側で混乱しながらも覚束ない手でベルトを外した。下着には既に小さなシミが出来ていて、その中で自身が痛いほどに張っていた。もはや自分の身体でないのでは、とバラセートは信じられない思いでいっぱいだった。
 そこまで混乱していたから、背後の物音――ドアが開く音を聞き取る余裕すらなかった。

「バラセート? なんだ、居るなら返事ぐらいすればいいのに」

 クモノイだった。最悪のタイミングでやって来てしまった。
 毎日のように聞いている同僚の声が今のバラセートには非常に毒だった。クモノイはこの異変に気がついておらず、つかつかと部屋に入り込んでくる。

「これ、書類、机に置いとくよ……着替えてたのか? ……バラセート?」

 ベッドに二、三歩近づいたところでクモノイはようやく違和感を覚えた。そもそもバラセートがベッドの上に横たわっているのはあまり見ない光景であり、睡眠を取らないと豪語していた彼が寝ていると言うことも有り得ない。
 ふらふらとバラセートが起き上がる。炎が揺らめいた。

「どうしたんだ……?」

 クモノイの声によって、バラセートの箍が外れた。

「わっ!?」

 突然腕を掴まれたと思った刹那、天地がひっくり返り、ベッドの上に押し倒されていた。先程までは見えていなかったが、視線を下げるとバラセートのズボンが開かれている。掴まれた両腕を解こうとしてもビクともしない。彼の怪力はよく知っている、こないだだって仕事で大きな火薬箱をぶん投げたと自慢していた。この状況はマズイのではとクモノイの顔がサッと青くなる。何がマズイかは分からないが、なにかしら良くない事が起こるのを本能が察知した。

「バラセート!? なに、やって……」

 熱い抱擁。バラセートは自分でも分からないままクモノイの頭と背中に腕を回し、抱きしめていた。

(ええええーっ?)

 クモノイにしてみたら訳がわからないことだらけだった。バラセート自身も分かっていないのだから仕方がない。
 バラセートは待ち望んでいたかのようにクモノイを腕の中に閉じ込め、そのまま構わず上からのしかかった。

「はあ、う、あ、くものい、くものい……」

 バラセートの、低く、甘えた声にドキリとする。重いだとか結構筋肉あるなだとかクモノイの頭はぐちゃぐちゃだったが、その余裕のない声で全て真っ白に吹き飛んだ。

「え、あ、バラセート、どうしたんだよ……?」
「ふ、うぅ……あ……」

 バラセートはクモノイの問いかけに応じることはなく、ただただ小さく呻く事しか出来なかった。身体の熱を吐き出す事しか考えられなかった。理性が何処かに行ったまま戻って来ない。
 腰をクモノイに擦り付けるように動かし始めた。それでクモノイはようやく彼の股間が膨らんでいる事に気づく。

「あ、はあっ、っく……」

 嘘だろ、とクモノイは目を見開く。あろうことかこの同僚は自分を物理的に使って快楽を得ようとしているらしい。もしかして普段のようにからかってるだけなのか? それにしては趣味が悪すぎるだろう。それに今のバラセートは明らかに切羽詰っていて、ふざけている訳では無さそうだった。

 クモノイがあれこれ考えているうちに、バラセートはいつの間にかパンツをずり下ろしていた。そしてクモノイの、はだけた服から覗く腹に擦りつけ始める。これはクモノイにも予想外だった。

「ちょっバラセート!?」

 抱き締められているせいで下の様子が伺えないが、硬くて熱い、ぬめりを帯びたものが自分の腹筋にズリズリと擦られている。クモノイの制止も聞かず、バラセートは腰を動かし続けた。

「うあ、すげ、きもちい、あっ、」

 人の肌が、皮膚がこんなにも気持ちいいものだなんて知らなかった。腹筋の緩やかな凹凸が程よい快感を与える。
 バラセートに耳元で喘がれ、クモノイは頭が真っ白になり動けなくなる。遠い夢の中に居る心地だった。こいつからこんな声が出るだなんて、普段の生活から想像できるわけが無かった。

「あ、でる、あっ、あっ、――っっ」

 出る? 何が? とクモノイの混乱をよそに、バラセートは存分に精を吐き出した。どくどくと大量の白濁がクモノイの腹の上に流れ出る。

「うあ、あ、まだでて、る、あ……」

 ビクビクとバラセートの身体全体が痙攣している。大量の精液がクモノイの腹から溢れそうだった。

「あ、ぁ……」
「うわ……」

 クモノイは何も言えなかった。こういう場合……自分の腹で扱かれた挙句果てられた、なんて時に言うべきセリフなんてきっと誰も考えつかないだろう、と苦笑する。

「う、ああ、はあっ」

 バラセートが再び腰の律動を始めたので、クモノイは慌てて引きはがした。

「ちょ、ちょっと! ヤるなら自分一人でヤればいいだろう!?」
「え、あ……?」

 バラセートはふらふらと、そうか、ひとりで、そうか……とうわ言のように呟きながら、シーツの上に座り込み、手袋を外した。そしてそのまま自分の手でまだ元気な半身を扱き始める。
 その行動にクモノイは驚いた。まさか本当に始めるだなんて思いもしない。とりあえず自分の腹をティッシュで拭きつつ、同僚の行為を見守ることにした。

「あ、ああ、きもちい、うあっ」

 バラセートはなりふり構っていられない様子で、一心不乱に快楽を貪らんとしていた。だらしなく足を広げ、ひたすら腕を上下に動かしている。水音がいやに大きく響いている気がした。顔のない彼、表情こそないもののとても気持ちよさそうだ。官能的で背徳的だ、とクモノイは魅入ってしまっていた。

「あ、あ、いく、また、いっ……」

 二度目の絶頂を迎えたらしい。勢い良く出た精液がバラセート自身のワイシャツやネクタイにも飛び散った。ドロドロと流れ出たものが腹の上に溜まっていく。

「あ、ああっ、とまらね、はあっ、あ……」

 果ててもなお手の運動を止めずに腰をくねらせている。クモノイはこの爛れた空気に呑まれそうだった。夢中でオナニーを続ける同僚の姿から目を離せない。数分後、三度目の射精を迎えた。出る精液の量が減ることはなく、容赦なく彼の体を白く汚していくというのに、バラセートは手を休めようとしなかった。

「や、やだ、のに、とまらな、あ、」

 泣き出しそうな声、彼に目が有ったらとっくに泣いていたかもしれない。溢れた精液がシーツにシミを広げていく。あまりにも辛そうで、クモノイは思わずバラセートの手を押さえていた。

「あ、くも、のい……?」
「バラセート、どうしたんだ……?」
「わかんね、のに、おさえ、きかね……」

 絶え絶えにそう言う彼の体は快楽の連続に小さく震えていた。性器は萎えるどころか硬さを増しているように見える。

「君、性欲は無かったんじゃ」
「わからね、でも、とまらなく、て」

 苦しそうに身を捩らせるバラセートが、なんだかいじらしく思えた。バラセートを静かにベッドに押し沈めて、自らの指輪を外した。そしていきり立つそれを優しく握ってやる。

「え、あ……?」
バラセートが戸惑いの色を見せる。

「……僕がしてやる」

 ただの気まぐれだと自分に言い訳をするクモノイ。あるいは普段の仕返し、イタズラ、好奇心……なんでもいいのかもしれないな、と自嘲する。
 指を少し動かすだけで、バラセートの足がびくりと跳ねた。

「あ、う……!」

 細い指に扱き上げられると背筋に寒気が走り、腰が浮いてしまう。水音が響く。ぐち、と裏筋を擦りあげられるとそこから電流が流れた。

「あ、や、はあっ……!」
「……いい顔するじゃないか」

 クモノイは皮肉を込めて呟く。ただ、クモノイの目には、バラセートの扇情的な顔が見えた気がしたのだ。
 手は休めずにまじまじと眺めていると、不意にバラセートがクモノイの目もとを手で覆った。

「あまり、みる、なっ……!」

 今更何を、とクモノイは鈍く笑い、空いている手でバラセートの手を除け、擦る手を早めた。シャツの中に片手を入れて、胸を弄ってやる。

「あ、あ、あ……っ……!」

 ぎゅ、シーツを握るバラセート。一層強く擦りあげると、あっけなく精を吐き出した。

「はあっ……あああっ……!」

 身体の筋肉を引きつらせ、止まらない射精に声を漏らす。吐き出される熱は未だにその量を減らさず、だくだくとバラセートの腹に流れ出た。

「……すごいな……」

 クモノイは思わず溜め息を漏らしていた。

「はっ……はあっ……くものい……」

 甘えた声で呼ばれて、クモノイの奥が疼いた。バラセートのそれはまだ萎える気配がない。だから、遠慮なく責めてやることにした。

「や、やめ、だめだ、ああっ」

 普段の威勢はどこへ行ったんだろう、と悶えるバラセートを見下ろし舌なめずりする。扱く手は止めないまま、シャツのボタンを全て外し、先程までいじっていた突起に吸い付いた。

「え、あ、はあっ、やめ、ああ……っ!」

 舌で転がしたり甘噛みしたり。その度に反応するものだから、面白くて余計に虐めたくなった。

「くものい、すげ、あ、ああ……!」

 敏感な三点を同時に責めてやると尚更高い声で鳴いた。すぐに腰が震え、手の中のそれが脈打ち始める。

「くもの、い、ああっ……きもち、いい……!」
「……バラセート」

 目の前の異形が、とても愛おしく思えた。

「……もっと、気持ち良くしてあげるよ」

 バラセートの腹に溜まった白濁を中指で掬いあげ、バラセートの後ろの孔にあてがう。
 挿れるよ、そう短く告げて、ゆっくりと指を挿し入れる。バラセートの孔は抵抗なく受け入れた。

「あ、はあ、あ……!」

 バラセートの弱いところを探りながら中を掻き回す。こり、と指がそれを捕らえるとバラセートの腰が跳ねた。

「え、あ、あ……?」

 初めての感覚にバラセートの思考がぼやける。甘い痺れが腰から身体全体に染み込んでいく。クモノイがゆっくりと指を押し上げながら中心を弄ってやると、いやいやと首を振って悶えた。

「うあ、やば、それ、だめだっ、ああっ……!」
「これが気持ちいいんだろう……?」
「や、すげ、うああっ、やばいから、ぁあっ……!」

 情けない声を抑えられないバラセート。きゅうきゅうと孔が中指を締め付けてきて、クモノイは鈍い光を瞳に宿らせた。

「くも、の、やめ、だっ……!」
「……やめて欲しくないくせに」
「ふ、あ、ああああっ……!」

 ガクガクと足が震え始めた。そろそろ限界か、とクモノイは責めを強めていく。バラセートは爪先をぎゅっと丸め、昇る快楽に身を委ねた。

「あ、ああっ……ああああっっっ…………!」

 孔が締まり、大量の熱が放出された。同時に中の弱いところをゆっくり、ゆっくり押してやると、バラセートの中心が更に白濁を吐き出す。

「や、それ、やめろぉ、あああ、やああああっっ…………!」

 びくん、びくんと身体を跳ねさせてから、体を硬直させて溶けるような快楽に耐える。ようやく脱力した頃には、バラセートの身体の上に溜まった大量の白濁が溢れ、シーツに大きなシミを作っていた。

「は、あ、あ……」

 絶頂の余韻に浸るバラセートを見下ろす。可愛いところあるじゃないか、とクモノイは密かに笑った。

「う……」
「バラセート、もう平気か?」
「……と……」
「え?」
「……もっとぉ……」

 クモノイの中で、何かが壊れた。

「……僕におねだりとは、いい度胸してるじゃないか……!」

 がばとバラセートにのしかかる。揺らめく炎に魅入られたのかもしれない。
 もう誰にも止められなかった。夜が静かに、ゆっくり更けていく。






 発情期かもしれないな、とクモノイが呟いた。

「……発情期?」
「人間にはないけど、異形には、君にはあるのかもしれない。周期がやたらに長い、とか、有り得なくはないだろ?」

 二人は洗濯機の前で並んで座り込んでいた。シーツを汚したまま放っておいたら色々とマズイということで、片付けてから帰ることにしたのだ。がらんがらんと音を立てる洗濯機をぼーっと眺めていた。バラセートに至ってはシャツをひどく汚してしまったので、洗って乾くまでは上半身裸で過ごさなければならない。

 バラセートはもうすっかり元通り落ち着いている。一通りいたした後、二人同時に賢者タイムに突入して相当気まずい空気になったときはどうしようかとも思ったが、なんとか立ち直ったのだった。

「まさか、こんなことになるとは……」
「うん、まあ、お疲れ様、あはは……」

 乾いた笑いを浮かべるクモノイ。はあ、と二人同時に肩を落とした。バラセートがぽつりと声を漏らす。

「……もう、あんなことは懲り懲りだ」
「気持ち良さそうだったじゃないか」
「うるせえ」

 クモノイが意地悪く笑うので、バラセートは同僚の脇腹を肘で小突いてやった。でもまあ、少しは悪くないかもしれない、とも密かに思った。

 もう日付が変わって数時間が経とうとしている。今日の仕事どうしよう、とぼやく男二人にも構わず、朝陽は昇ってくるのだった。



おわった。(ごめんなさい)














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