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バラセート×クモノイ(ホモ)

・パラレルワールド(免罪符)です。筆者の妄想爆発させただけ。原作の雰囲気をぶち壊しにかかってるので、二次創作と割り切れる方のみの閲覧をお願い致します。本当にごめん申し訳ない。
・一つめの続き
・クモノイくん喘ぎすぎワロタ






甘い蜜(ホモ編)


 クモノイは目を覚まし、自分がいつの間にかベッドにくるまっていることに気がついた。
 ナーロットに陵辱されていたことが彼の覚えている最後の記憶だった。ぼんやりとした思考で首を動かし周りを伺うと、そこは自分の住居の寝室であり、どうやって帰ってきたのかがさっぱり解らない。窓に雨粒が当たっては流れていく。

 体の奥からふつふつと熱が沸き上がる。あの行為からさほど時間は経っていないらしい。
 あの陵辱を思い出し、クモノイは鼻の奥がツンとするのを感じた。一時とはいえ、あの行為に感じ、悦んでいたことに自己嫌悪する。
 クモノイはなんとか身体を起き上がらせた。シャワーを浴びて僅かに残る体のベタつきと体内の熱を流してしまいたかった。

「やっと起きたか」

 聞き覚えのある声にそちらを見ると、バラセートがソファに座って寛いでいた。ジャケットは脱いで背もたれに掛け、ネクタイも緩んでいる。

「……なんで」

 疑問がクモノイの口からこぼれた。

「俺がここに連れてきたんだよ」

 バラセートは呆れたように言い放った。彼によると鍵はクモノイの衣服のポケットから勝手に拝借したらしい。鍵はバラセートの前にあるテーブルに置かれていた。
 少しは感謝しろよ、とバラセートは言ってきたが、クモノイは早く帰って欲しいと思っていた。身体の火照りをこの同僚に悟られるわけにはいかなかったからだ。
 そんなことを知るよしもないバラセートは、気になっていたことを聞いてみた。

「……あの触手女と何やってたんだ?」
「うるさいっ早く帰れ!」

 今一番聞かれたくない事を聞いてくる同僚にイラッとして、返す言葉が辛辣になってしまった。クモノイは泣き出したくなり顔を伏せた。
 バラセートはクモノイを一拍見て、おもむろに立ち上がりそちらに向かう。てっきりバラセートが帰るものだと思っていたので、クモノイは思わず顔をあげてしまった。

 バラセートは何も言わずにクモノイを見下ろした。クモノイは無言で見つめてくる同僚にどうする事も出来ない。何をしたら、何を言えばいいのか分からなかった。

 バラセートの両腕が静かに伸び、クモノイの頬を撫でる。手は肌を滑り肩に置かれ、そのままクモノイをゆっくりと押し倒す。
 一連の動作があまりにも優しく、クモノイは戸惑った。普段のガサツな言動からは想像もつかない扱われ方をされ、肩に置かれた大きな手に何かを期待してしまう自分がいた。

「……今日はもう休め。じゃあな」

 彼の低く穏やかな声がクモノイの胸にじわりと染み込む。
 思わず、体から離れる手を掴んでいた。

「……クモノイ?」
「……帰らないでくれ……」

 クモノイはごく小さく呟いた。自分が馬鹿を言っていることに気がつき、掴む手を離し、

「ごめん、何でもない」

と弱々しくこぼしてバラセートに背中を向けた。先ほどの呟きが彼に聞こえていないことを願った。帰れと言ったり帰るなと言ったり、なんて身勝手なのだろうと心の中で自らを嘲笑う。

 ベッドのスプリングが背後でギシリと音を立てて沈み、クモノイは驚きにそちらを見た。バラセートがベッドの上に乗ってきたのだ。
 クモノイが混乱している間にバラセートは覆い被さって、寝そべる彼をじっと見つめた。静かに揺らめく炎がクモノイの瞳に反射する。

「泣いてもいいんだぞ」

 その言葉にクモノイは更に混乱した。

「だっ誰が泣くなんて」

 言い終える前に体を抱え起き上がらせられ、バラセートに抱きしめられていた。訳が分からない、どうして僕はこの同僚に抱き締められているんだろう。自分を抱擁する腕は温かく、力強かった。

 そのまま髪を撫でられ、背中をポンポンと叩かれる。まるで赤子をあやすような動作に動揺を隠せず、クモノイはバラセートの身体を押して離れようとした。しかしなぜか腕に全く力が入らず、結果彼の肩に手を添えただけとなってしまう。

「……帰れよ……」

 涙声になってしまった。――きっと今こいつは僕を嘲笑してるのだろう――とクモノイは目を伏せる。しかしバラセートは思いのほか優しげに囁いてきた。

「……今外は雨だからさ、しばらく置いてくれても良いだろ? それに帰るなっつったのはお前だ」
「……勝手にしてくれ」

 反論する気力ももはや消え失せていた。自分の髪を撫でる大きな手をただ感じていたかった。彼のシャツ越しの体温は温かく、この温もりに甘えたいと思ってしまった。体の熱もこうしている内にいずれ冷めるだろう。


 ――連れ帰った当初はからかってやるだけのつもりだった。
 病室でクモノイのあられもない姿を見たとき、またこいつをバカにする材料が出来たと思っていた。しかしクモノイは想像以上に傷ついていたらしく、彼の表情を見てからかう気も失せた。
 今こうして抱きしめていても暴れる様子はなく、普段の生意気さはどこへ行ったんだろうなぁとぼんやり考えた。

 しばらくそうして密着していると、次第にクモノイに変化が現れた。

「……んぅ……」

 頭を、背中を撫でられるとそこから甘い痺れがじわりと染み込む。体の芯の熱は収まるどころか、時間が経つにつれじわじわと上ってくる。息は荒く、目は潤みを増していった。

 不意にバラセートの指がうなじを撫で、身体が跳ねてしまった。

「っ……」
「……? どうした?」

 そういう間にもバラセートは体を撫でていて、クモノイは何か微かな危機感を覚えた。甘い痺れに頬が紅潮してくる。

「なんでもない……ぁっ……」

 背中を下から上に大きく撫でられ、ぞくりとして小さい声が出てしまう。

「……感じてんのか?」
「そんな訳ないっ……やっ……!」

 突然、バラセートの手が服の中に侵入してきた。直接撫でられクモノイは小さく震える。

 これはいよいよおかしいとバラセートは気がついた。肌を軽く撫でるだけでこの反応というのは異常だ。これじゃまるで愛撫してるみたいじゃないか、一体なぜ――と原因を探り、一つの解に辿りついた。
 あの触手女、何かしやがったな――

 同僚は腕の中で震え、眉をひそめ辛そうに息をしている。背中を撫でる度にビクビクと反応して、正直言うとバラセートはそれを少し楽しんでいた。

「はっ……バラセート、待ってくれ……」

 クモノイは熱い息を吐きながら、送られる微弱な快感に耐えていた。バラセートの手袋越しの温もりが気持ちいい。彼の大きな手が背中や脇腹をゆっくりと滑る。バラセートがつつ、と指で腰を撫でると、クモノイの身体は小さく震えた。
 次第に下腹部に熱が集まる感覚がしてクモノイは焦り、バラセートの身体を再度押してみるも、やはり腕に力が入らない。

 バラセートはクモノイの手を取り再度ゆっくりと押し倒す。クモノイの目は明らかに熱を帯び、不安げにこちらを見ていた。
 クモノイの服を捲り腹をなぞると、それだけでビクッと跳ねた。

「随分敏感だな?」

 笑いを噛み殺しながら言うと、クモノイは潤んだままの目でこちらを睨みつけてきた。その目つきすら今は面白くてしょうがない。

 バラセートは白手袋を外してベッドの上に放り投げた。その手でクモノイの腰周りをそっと掴みさすると、クモノイは目を逸らし小さく声を漏らした。
 そのまま胸を手のひらで撫でると、クモノイは熱い溜め息を吐いた。

「はぁっ……ぅ……」

 手は下へと移動し、張っている部分を撫でた。

「ばっどこ触って……」

 体を起こそうとするクモノイの肩をを片手で押さえる。ズボン越しでもそこが質量を持ち始めているのが判った。

「感じてんじゃねえか」
「うるさい……!」

 顔を真っ赤にして快感に耐える同僚の姿に胸の奥がざわつく。いつもの余裕そうな態度はどこへやら、今は自分の下で必死に快楽に耐えている。もっとこの顔を歪めたい、喘ぎ声を聞いてみたい――。

「あっ……!」

 ぐりぐりと強めに押すと、クモノイはビクンと反応した。
 呼吸が早いし、クモノイのそれはズボンの中で熱持っていて辛そうだ、少し楽にしてやろう……と自分の中で何かと適当な理由をつけて、ベルトを手際良く外し下着ごとずり下げた。そしてそのまま、隆起したそれを掴み扱き始める。同僚のその行動にクモノイは驚いた。

「あっ……しょ、正気か……ふっ……男同士で、こんな……あっ……!」
「今更だろ、そんなの」

 満更でもないくせに、とバラセートは心の中でつぶやく。手の中で更に硬さを増していくソレを扱き続けた。

「出した方がラクになるかもしれないぞ」
「で、でも……あぅ……!」
「……男にヤられるのが嫌なら目閉じとけ」

 クモノイはどうしてこんな事になったんだろうと目を閉じた。すると下腹部から聞こえる水音がいっそう大きく聞こえてしまい、羞恥にさらに顔を赤くした。
 もう細かいことはどうでもいい気がしてきた。今はこの快楽に浸っていたい。彼の手が熱く感じ、ずっとこうされるのも悪くないかもしれないとすら思えた。
 バラセートは空いた手でクモノイの身体をゆっくり撫で回す。じわりと痺れを送られ、また息が震えた。彼の手は次第に乳首も弄るようになり、直接的な快感に身体の熱は上がるばかりだった。

「あ……バラセート……」
「……イキそうか?」

 クモノイはこくこくと頷いた。それを見たバラセートは手の運動を早め、クモノイを昂らせて行く。クモノイは声を出したくなくて思わず手の甲で自らの口を押さえた。

「――――――っっ!!!」

 クモノイの身体が硬直し、中心がドクドクと脈打ち白濁した熱を吐き出す。液は自らの腹に飛び、バラセートの手も白く汚した。

「ふ……ぁ……」

 脱力し虚ろな目で宙を見るクモノイの目から涙が数滴こぼれた。

「声、我慢しなくてもよかったんだぞ?」

 顔があったならニヤついているに違いないその声色に、クモノイは何か文句を言ってやろうと思ったが、その考えは体の異変に打ち消された。

 身体の奥が灼けるように熱い。あの時も感じた熱がまた襲いかかってくる。熱くて熱くて仕方が無い。身体の中が火傷してしまう、あるいは溶かされてしまいそうだ。

 クモノイの息が更に乱れ苦しそうにしているのに気がつき、バラセートは動揺した。

「クモノイ……?」
「はあっ……熱い……奥が、あついっ……!」

 たどたどしく言葉を発し、熱もった目で助けを求めてくる同僚に、バラセートは自分の中に言い知れぬ感情が湧き上がるのを感じた。

 脇腹を指先で軽くなぞるとそれだけでビクビクと身体が跳ねた。バラセートの手が後ろの穴に触れ、クモノイはまた体を震わせた。

「……こっち、あの女に何かされたか?」

 クモノイは目を閉じ頷く。孔をくにくにと触れられるだけで気持ちがいい。

「何された?」
「何って……言えるわけないだろっ……あっ!」

 つぷり、と指先が少しだけ挿入る。背筋がゾクゾクして浅ましい感情が湧き上がる。そのまま指を奥まで入れられ、クモノイは微かな圧迫感に息を震わせた。

 柔らかく解れた肉壁と中から溢れ出る白濁液に、こちらも陵辱されたであろう事をバラセートは悟った。指を出し入れする度に絡む粘液は、自らの皮膚の感度をも上げているように感じる。今クモノイが苦しんでいるのはコレのせいかもしれない。

「これ、掻き出すぞ」
「ぇ……? やっ……!」

 指の関節を僅かに曲げ、クモノイのナカに残っている白濁を少しずつ掻き出す。指がキモチイイところに当たるたび、甘く重い快楽がじわりと染み出し、切なさが込み上げる。

「あっ……それ、だめっ……」
「少し我慢してろ……」

 内壁を指で引っかかれ、擦りあげられ、指先が前立腺をこする度にクモノイは甘い快楽に身悶えた。背筋にゾクゾクと痺れが走り、それだけで達してしまいそうだった。足がガクガクと勝手に震え、それをバラセートの片手に抱え押さえ込まれる。

「や、あ、ぁああ……っ!」

 微細な動きですら快感につながってしまう。もっと気持ちいい場所を押して欲しい。もっと触って欲しい。無意識にそう思っていて、腰が快楽に揺らめいた。

 十数分ほどそうした後、ずるりと指が引き抜かれた。力なく開かれた口からは涎が垂れ、快楽から流れた涙が目尻を伝って枕に染み込んだ。意識は気持ちよさに塗り潰され、複雑な思考を巡らせるのが億劫になっていた。後ろの穴は更なる快楽を望み、切ない感覚に収縮を繰り返している。

「は……ばら、せーと……?」

 か細い声で名前を呼ばれ、バラセートの胸の奥に小さく熱い何かが芽生えた。入れていた指が熱い。
――胸の奥と指先の熱はきっとあの触手女の粘液のせいだ――

「……奥の方が掻き出せてないな」

――苦しんでいる同僚を見捨てるのは気が引けるし、最後まで自分が面倒を見ないとならないだろう――

 バラセートは自らのベルトを外し、ネクタイもとっぱらってベッドの上に放り捨てた。

――これは仕方が無いことだ。自分がこんな欲を持つ筈がない、今やろうとしていることはただの好奇心。それに、こんな物欲しそうな表情をするコイツが悪い。全部クモノイの為だ。これは不可抗力だ――

 これを実行してしまったら以前の関係には戻れない気がした。もしかしたら普段話すことさえも出来なくなるかもしれない。しかし目の前の餌を放っておけるほどの理性は、どこか途中で捨ててしまっていた。

 バラセートはクモノイの腰を持ち上げ股の間に割って入った。クモノイの瞳に困惑と不安、そして僅かな期待が入り混じる。

「挿れるぞ」
「えっ…… ――っっっ!!!!!!」

 間髪入れずにクモノイの身体に衝撃が走った。熱した鉄の棒でも挿れられたかと錯覚する。一気に最奥まで挿れられ、目の前がチカチカと白く弾けた。

「やっ、あぁぁ……っ!!」
「っ……はいった、なっ……」

 クモノイは身をよじってみるも、足を抱え込まれていて思うように動けない。内側から来る熱と圧迫感が気持ちよく、身体が切なさに震えた。バラセートのシャツの袖を掴み送られる快感に耐えようとした。

「ナカ、すっげー熱いぞ……」
「あ、あ、あっ」

 ゆっくり腰を動かすだけでクモノイの身体が快感にビクビク跳ねる。普段では絶対に見られない同僚の痴態にバラセートの芯が熱くなった。自身に絡みつく肉壁の柔らかさに溶けそうだとも思った。

「だめ、動いちゃっ、やっ……!」
「動かねーと掻き出せないだろうが」
「ひ、ぁあ……っ!」

 じわじわと腰を動かされるのがまるで焦らされているようで、今のクモノイにはかえって辛かった。イキそうでイケない快楽に涙がポロポロこぼれる。押し上げられるように腰を動かされると前立腺が圧迫され、自身の先から透明な液がとろりと溢れた。

「ふ、あぁ、ばらせーと、ぁああっ」
「……そんな顔すんなよっ……」

 クモノイが快楽に顔を歪め、聞いたこともない甘い声を漏らしている。
 コイツのこんな表情をあの触手女は先に見たのだろうか。あの女の下でこの端整な顔を紅く染め、茶色の瞳から涙を流し、嬌声を響かせていたのだろうか。そう考えると少しだけ嫉妬してしまう。

「あっ!」

 バラセートに強く突かれ、その衝撃で少し大きい声が出てしまう。身体の中で熱が溶けだして甘い痺れに変わり、体中に反射して染み込んでいく。
 バラセートが腰を早く動かし始めイヤらしい水音が部屋に響いた。突かれる度に声が漏れ出てしまう。それを我慢できる余裕は今のクモノイにはなかった。

「やっあっあんっあっぁあっ! もっらめっやああっ!」

 ガクガクと揺さぶられ、切ない痺れが絶えず身体の中を駆け巡る。視界がチカチカ弾けて頭の中が真っ白なものに埋め尽くされた。限界なんてとっくに超えているのに絶頂に達する事が出来なくて、クモノイは身悶えていた。

「……えっろ」

 どうしてコイツはこうも加虐心を煽る表情をするのか。自分の中に湧き上がる熱は全部コイツのせいだ。バラセートは揺さぶりを強くした。

「あっらめっきちゃうっっやあっきてるからぁっやっあっ」

 クモノイの声が聞こえているのかいないのか、バラセートは容赦なくクモノイを追い詰め昂らせていく。抉るような腰使いにクモノイはただただ喘ぐことしかできなかった。

「〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっ!!!!!!」

甘さがせり上がる。溢れる。熱がドロドロに溶けだして快楽に変わっていく。気持ちいいのが止まらない。止めたくない。頭が真っ白、火花が散った。

「ぁぁあああああああああああっっっっ!!!!!!!」

 甘い甘い絶頂。体中の筋肉が硬直し痙攣する。長くて強い絶頂感に支配される。頭の中にパチパチと快楽が弾けた。

「は、あ……あぁ……っ」
「おいおい、何一人でイってんだよ」

 バラセートは痙攣が続くクモノイの体を撫でた。先程よりも熱が上がっているようだ。繋がったままのナカもまだ熱く、緩やかに自身を締め付ける。放心状態のクモノイの腰をまた掴んだ。

「ほら、起きろ」
「ぅあっっ!?」

 律動が再開され、また刺激が送られる。揺さぶられ無理やり昂らせられる。

「やあっあっらめっばらせーとぉっ!」

 前立腺を抉られ内壁を擦りあげられ、クモノイは切なさに胸が締め付けられる気分になった。

 バラセートがクモノイの腕を押さえ指を絡める。はめられたままの指輪の冷たさとクモノイの指の温かさを同時に感じる。

ぎゅっと掴むとクモノイは弱々しく掴み返してきて、バラセートは自分が異形であることを呪った。

「……キスしてやりたいんだけどなあ」

 自分は異形だから人間のような愛情表現が出来ない。自分にはこうして指を絡めたり、抱擁したりする程度が精一杯だ。

「ばらせーと、ばらせーとぉっ……!」

 夢中で自分の名を呼ぶ同僚の口を、自分の口で塞ぐこともできないのか。そう考えると悔しくなり、八つ当たりのように腰をクモノイにぶつけた。

「あっあっああっやあっばらせーとっあっこわれるっこわれっちゃうからぁっ!」
「壊してやるよっ……!」
「やあ、あっああああっっ!!!」

 激しく突き上げられ、クモノイはまた頂点へと昇りつめていった。

「あああああああああああっっ!!!」

 身体を跳ねさせて絶頂に達するクモノイ。先からドクドクと白濁が溢れ腹を汚していく。押さえ付けられた手が、絡めた指が熱い。

「すげー、触ってないのに出たな」

 その反応が面白くて、ぐりぐりと前立腺を狙って腰を押し上げるとクモノイが悶えた。髪を振り乱し、快楽を拒絶するように首を横に振る。

「やっあっ、それはっやっああっひああっ」
「……イキっぱなしになってるんじゃねえか?」
「そっんなっちがぁっあっっやらっああああっっ!!!」

 クモノイの腰がガクガク震え、精子がゴポリと溢れていく。バラセートが腰を引くとそれだけでクモノイは息を震わせた。

切ないのが気持ちいい。触れられる全てが気持ちよかった。

「も、むり、ばらせーと、もっうごいたら、いっちゃ、らめっ、ぁあああっ!!」
「ほら、もっとイケるだろ」

 また強く突き上げる。クモノイの足がビクンと跳ねた。

「ふ、あ、あああっ!!!」

 ゆっくり引き抜き、押し込む。クモノイの孔は離さまいとバラセートをきつく咥え込んだ。

「や、う、ぅぅうっ……っっっ!!!」
「はは、まさか動くだけでイってんのか?」
「は、はっ、ああっ……ばらせーと、ばらせーとぉっ……」

 また、甘い声で呼ばれる。その度にバラセートの背中にゾクゾクしたものが走った。

「……お前ばっかイってんじゃねえよ」

 クモノイの体を抱え起き上がらせた。クモノイがバラセートの上に座る形になり、クモノイの中により深く挿入る。
 互いに背中に腕を回し身体が密着させる。温かい。手が、胸が温かかった。
 バラセートが突き上げると、クモノイの髪が揺れた。

「あっうあっばらせーとっああっあんっばらせーとぉっああっっ!」
「っ……」

 バラセートも限界が近かった。このままずっとこうして抱きしめあっていたいがそういう訳にもいかない。

「あっああああっっっっ!!!!!」

 クモノイがまた達した。回された腕に力が入る。それでも揺さぶりは止めず、クモノイを昇らせていく。

「あっやっばらせーとっいってるっっまだいってるからぁっふああああっっ!!!」

 クモノイのナカが締まりバラセートに快感を与える。快感に腰が早まり、お互い昂っていく。

「っ、クモノイっ……!」
「あ、あっ、ばらせーとぉっ……!」

 目の前に火花が散った。

「ひ、う、ああああああああああっっっっ!!!!!!」
「っ…………!!」

 長く深い奥からの絶頂。クモノイのものが脈打ち、欲望が余さず吐き出される。身体が硬直し、痙攣する。快感が止められない。
 バラセートも達し、クモノイの中に全て吐き出した。

 お互いにしがみついたまま暫く動けなかった。クモノイはバラセートの体温を、吐き出された熱を受け止めながら、自分の意識が遠くなっていくのを感じた。

 バラセートは脱力したクモノイを抱きとめ、髪を撫でた。



 クモノイが目を覚ますと、良く知る同僚が目の前に居た。かけられた布団が温かい。しかし全身が筋肉痛で、腕を動かすのも億劫に思える。

「ん、起きたか」

 バラセートの右手が自分の髪を梳いている。寝ぼけ眼で状況を理解しようとして、昨日の出来事を思い出し、思わず飛び跳ねるように体を起こした。

「あ、えと、えー……と」

 クモノイの顔がみるみる赤くなる。昨日のことが遠い夢のようにも思えたが、今こうしてバラセートがベッドの上に座っていることが、あのことが現実であったということを物語っていた。

「どうした?」
「は、離れろ! っていうか降りろ!」
「なんだよ、一夜を共にした仲だろ?」
「うっさい!」
「冷てーな」

 クモノイはバラセートに背中を向け、掛け布団にくるまった。
 ――よりによってバラセートと、あんなことをしてしまったなんて!
 言いようのない羞恥に顔の熱が上がっていく。

 後ろから文句を垂れる同僚ののんきな声に、密かに肩透かしを喰らう。なぜコイツは何事もなかったかのように話せるんだ。
 すると突如バラセートは布団をいとも簡単に引き剥がし、クモノイの肩を掴みをこちらに向けさせ上に乗った。

 昨日見たのと同じ構図だ。揺らめく炎にドキリとして、クモノイは目を逸らしてしまう。

「……バーカ、何期待してるんだ」
「あうっ」

 手のひらで軽く額を叩かれた。バラセートはクモノイから降り、額を押さえ悔しそうにする同僚を見下ろした。

「……昨日のは全部夢だ。そういうことにしろ」

 バラセートの言葉にクモノイはポカンとする。しかしそれが彼なりに考えた関係維持の方法なのだと悟り、何も言わずに頷いた。

「ま、ゆっくり休むことだな。なんだったら会社も休むか?」
「……そうするよ……」

 全身の筋肉痛が酷く、力仕事はおろかデスクワークすらまともに行えそうにない。クモノイは出社する気力すら失っていた。
 窓に目を向けると、外は白み始めている。
 この同僚はいつまでここに居座るつもりなのだろう。それを本人に直接訊ねると、出社までは居るつもりだと答えられた。
 ああそう、とだけ返してクモノイは目を閉じた。このまま二度寝でもしようかと思ったが、バラセートがバシバシと体を叩いてきた。

「なんだよウルサイな!?」
「構えよー暇なんだよー」
「知るか! 僕は寝るんだっほっといてくれ!」

 同僚を無視して再度目を閉じる。隣でベッドのスプリングが沈み、クモノイはまたドキリとして目を開けた。バラセートの腕が伸びてくる。

「なんだったら……」

 バラセートに肩を押さえられ、耳元で静かに囁かれる。

「――夢の続きでも見てみるか?」
「うっさいバカっこのエロランプ!」

 朝焼けに鈍い音が響いた。















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