怪盗にものすごい相棒がつきました。
元犬神君の助手で、まるでニンジャです。
ていうか破壊神です。デンジャラスです。

お名前はくんというらしいです。

某国のマフィアの総括らしいです。
こわいですね。

でもそんな破壊神が、いまあたしの隣で
呑気に紅茶をすすってはります。

……って…


「なんで居はるんですか!!?」

「え?お見舞いに来るって言っただろ?」

「いやそうやのうて、昨日犬神君ボコして…」

「うんだからお見舞いに。」


うん。やっぱり犬神君の周りのお方々は、
一般常識的がとても欠落した方々だけの様です。




助手と執事と探偵と2
あなたは某国のマフィアのBOSSです。






「昨日の蹴りは見事だった。鈍っていないな。」

「まあね。マフィアやってると毎日が殺し合だし」

「その割には武装をしていないようだが。」

「あんな重たいものいらない。かえって邪魔。」

「…ならばそうだろうな。」


とてもとても物騒な話をしているのだが、当事者達は
どことなく和やかな雰囲気で話し合っているので、
マリーはつっこみたい気持ちを押さえ込みつつ、黙っていた。


「所でなぜ日本へ帰って来た?」


某国をまとめあげてしまうほどのマフィアのBOSSならば
そう簡単に体があくわけが無い。むしろ先ほどの会話から
推測するに、命を狙われている可能性は非常に高そうだ。
だが、は笑いながらこう言った。


「だってヒマなんだもん。」


ヒマちゃいますやん!命狙われてはりますやん!
あたしらみたいに借金取りから逃げてるのと訳が
ちゃいますやん!そんなデッド・オア・アライブで
アグレッシブな人生がヒマやなんてありえへん!

「ミス・マリー。全部聞こえてる。」

「はっ!」

「貧困な庶民なもので不躾ですまんな。」

「いや、おもしろいからいいよ。」

「犬神君さりげに差別!!」


心の中だけで突っ込んでいたつもりなのだが、
押さえ切れない衝動がまさに押さえ切れず、
統べて口から漏れでていたらしい。


「まあ…ミス・マリーの為にも少し説明しよう。」

「はあ…おおきに…。」


(ええ人やねんけどなぁ…やっぱバイオレンスなんよね…。)


と、今度こそ突っ込みは心の中に押しとどめ、
言葉に耳を傾ける。傾けた結果、さらに激しく突っ込みたい
気持ちが膨れ上がったが、もはや言葉にすらならなかった。

が説明したのは、簡潔に言えばこうだ。

・そんじょそこらの殺し屋に殺されるほど間抜けでは無い事。
・現在も部下がそこら中に潜伏しておりまるで無防備ではない事。
・そういう刺激があった方が人生面白いよというアドバイス(?)

マリーが頭から煙りを吹き出しながら倒れたのをクラレンスが抱え、
寝室へと連れていった。まあ無理も無い。


「ゲルの周りには珍しい”一般人”だな。」

「多少貧困の所為で性格は歪んでいるがな。」

「よし明日はミス・マリーのお見舞いに来よう。」


ちなみにゲルといえば、彼いわく”見事な蹴り”を食らった
わりに元気にいつもの椅子に座ってと共に優雅な午後の
ひとときをすごしている。

2人が紅茶を啜り終わったと同時に、事務所の扉が荒々しく開けられた。

「神妙にしろやゴルァア!」
「先輩!いきなり銃を構えるのやめてくださいー!」

またもバイオレンスな登場の仕方だが、これも慣れたもので
銃を突き付けられた犬神もも微動だにしかなった。


「よォ〜う。日本に来てるって噂聞いたもんでなぁ。」

「なんだあんたまだ刑事やれてたのか発砲ジャンキー。」

「そう誉めるなよ照れちまうぜ。」

「先輩ほめられてませんよ!けなされてます!」


先輩やら発砲ジャンキーやら呼ばれているのはジョニー。
泣きながら先輩の暴走というか爆走を止めているのがレイジー。

一応、刑事らしい。


「お前みたいな大物を捕れたら俺も大いばりできるってもんだ。」

「今だって大いばりじゃないスか!これ以上どうしたいんです!?」

「るせぇ!俺は今とお話してンだよ!」


と、御指名されたはと言うと、いつのまにか帰って来ていた
クラレンスにおかわりの紅茶を注文してまったく眼中にいれていなかった。


「テメエ人と話す時は目を見て話せって教わらなかったか!」

「アンタこそ銃口を人に向けてはいけませんってならなわかったか?」

「俺は良いんだよ!デカだからな!」


日本の治安はいつのまにそんなにも荒んでしまったのだろうか。
まあさておき、発砲ジャンキーことジョニーは、某国マフィアの
BOSSであるを逮捕しに来たようだ。


「で、礼状は?」

「そんなもんは後でいいんだよ!」


よくありませんー!というレイジーの涙の叫びも空しく、
ジョニーは銃を突き付けたままズンズンと近付いてくる。


「あ、それ以上進まない方がいいよ。」

「あぁ?命乞いか、テメエもおちたな!」

「いやまあ…いいなら別にいいけど…。」


がそう言い終わるのとほぼ同時に、
どこからともなく赤い光がジョニーの脳天を狙う。
銃に精通しているジョニーなら…っていうか、
多分この御時世。だれでも分ると思う。


「チッ!狙撃手か!」

「まあ…一応俺も偉い人だから。」


レーザー照準の、赤い光だ。

ジョニーが諦めず銃を構えたままでいると、
次々とその照準が心臓、脳、御丁寧に、股間まで。

やっとジョニーが銃をしまうと、照準も消えた。


「逮捕も諦めた方がいい。僕が邪魔をする。」


それまで黙っていた犬神がようやく口を開いた。
これこそ聞けばマリーは天国まで一直線に飛べそうな台詞だ。


「金でしか動かねえ犬神が珍しいな。」

「失礼な。客人を奇人から守って何が悪い?」

「守ってもらわなくても平気だけど。」


完璧になめられているが、そこでキレて発砲しようものなら
確実に先ほどの狙撃手がためらい無く急所を狙ってくるだろう。
しかも自分が撃った弾は、彼らにはかすりもしないのだ。


「しょうがねえ。逮捕してやらねえかわりに」

「”逮捕できない”の間違いだろう」

「なんか情報流せや、スケアクロウ。」


スケアクロウ、とは、かかしの事である。
これまた裏の世界での話になるが、スケアクロウは
の別名。マフィアの総括であるの、
まあいってみれば、ニックネームだ。


「見返りは?」


スケアクロウと呼ばれたの目つきが変わる。
その名を呼ぶという事は、”交渉開始”を告げる
合図でもあるからだ。


「テメェのシマ荒らしてるアホがいるだろ。」

「ああ、質の悪いヤクが出回ってるな。」

「あれの一味をこないだ俺が捕まえたぞ。」


遠くの方でレイジーが突然泣き出す。

まるで捜査して捕まえたみたいな言い方してるけど
ただたんに先輩がツラが気にくわねえって言い掛かり
つけてかってに逮捕して銃でおどして自白させた
だけじゃないスか…!

とかなんとか聞こえるが、誰もが聞こえぬふりをした。
だって、脅して自白させたなんて犯罪だモン☆!


「そいつの身柄を俺にくれるっていうのか?」

「ああ、好きにしな。」

「なっなにいってんスか先輩!自分達にそんな権限…!」

「うるせえー!俺が法律<ルール>だー!」

「もうイヤァアアー!!!!!」


レイジーが号泣するのを、クラレンスが背中を叩いて
慰めている。まあそう悲観されずにお菓子でもいかがですか
などという子供を慰めるような言葉に、レイジーはますます
泣き出した。

そんな彼らをさておき。


「ふうん。あんたにしちゃいいネタだな?」

「気に入ったかよスケアクロウ。」

「いいだろう。俺の情報はあとで部下から渡す。」

「あぁ?もったいつけねえで今ゲロしやがれ!」


ちなみにゲロしやがれとは=吐けということである。


「そいつの持ってる情報が確かならそれに見合ったもの。」

「ふむ。こいつに捕まるような間抜けが大それた情報を
 もっているとは僕も思えないな。懸命な判断だ。」

「ウワーもうお前ら普通に殺してぇー。」


もはや青筋を通り越して血管から血液が噴出している。

そのおかげで多少クールになっているのか、いつもの
勢いはなく呟くだけになったが、逆にそっちのほうが
恐かったです。と、涙ながらに訴えたのはレイジーだった。

バイオレンス凸凹コンビの刑事が帰って数時間後。


「さぁて。今日の所はおいとますっかな。」

「ああ、取り引きもあることだしな。」

「ああ、ま、期待はしちゃいないけどね。」


よいしょーとゆったり腰掛けていたソファーから立ち上がる。
犬神はそれを、腰についたチェーンを引いてもう一度座らせた。


「? なんだよ。」

「明日も、来るんだな?」

「ああ、ミス・マリーのお見舞いにな」

「明後日は…」


その言葉を聞いて、は人の悪い笑みを浮かべた。


「なんだ犬神、”人肌恋し”ってやつか?」

「久々の友人との交流を望んで何が悪い?」


は盛大に笑って、犬神が掴んだままのチェーンを
腰から外し、そのまま手渡した。


「それ俺のお気に入り。ゲルが持ってろ。」


お前が持ってる限り、取りに来るよ。

とまた笑って、は事務所から出ていった。





















その後。

ゲルが事務所内をごそごそといじくりまわして、
必死にチェーンを隠そうそている…のだが、
詳細を知らないマリーは、

「いいいい犬神君がついにイってもた…!」

と、マグニチュード8.9ぐらいの勢いで震えていた…

とか、なんとか。












+アトガキ+

ジャンクその2。犬神ドリー夢を読みたい。


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