N*T「トリス・・・っ」 勢いに任せて僕はトリスのシャツを完全に脱がせた。 元々ぶかぶかなそれを脱がすのは難しくない。 そして現れたのは真っ白な肌と決して大きくはないが、それでも形の良いふくらみ。 けれどそれと同じくらい、目立つのは。 肩口からわき腹にかけて真っ直ぐに引かれた赤い線。 よく見れば、腕にも足にも同じように傷がある。 大げさに言うなら、世界を救ったあの激しい戦いでの傷跡。 「見ないで・・」 弱弱しく呟いて、トリスは身体を丸めた。 元々小柄な身体は、更に小さくシーツの上に転がる。 「トリス・・・」 幾度か、その名を呼ぶとトリスは囁いた。 「ぜんぜん、消えなかったの…勲章みたいなものよってアメルには言ったけど・・・やっぱりネスには、見て欲しくなかったよ。こんな、汚い・・・」 「誰が・・・そんなことを言った?」 思わず吐き出した声は、自分でも驚くほど低くて、思わず口を閉じる。 「え・・・?」 「汚いなんて、そんなこと・・・っ」 思うわけがないだろう。 それは、声にならない。口よりも大きな気持ちが喉でつかえて言葉にならない。 どうにかそれを伝えたくて、僕は彼女の白い肌に幾度も口付けを落とす。 「あ、あっ、や…んっ」 「綺麗だよ・・・」 囁いて、口付けて。やがて力の抜けた彼女の両手をシーツに押さえつけた。 今度は隠されないように、その肌を見下ろす。 トリスは泣き出しそうな顔を横に向けて、震えていた。 「君は、融機人の僕の肌を見て『気持ち悪い』と思った?」 そう、問うと。 彼女は必死にかぶりをふった。その瞳は二年前と同じように迷いなど一筋もない。 「ネスはネスだもん・・・!」 「だったら君も分かるだろう・・・?」 ***** 「う、あっ、や…や…っ、ネス・・・!」 繋がる下肢を揺さぶるたびに、彼女の唇から迸る嬌声は僕だけのもの。 「トリス・・・っ」 囁く僕の声も、彼女だけのもの。 彼女とのつながりの果てに吐き出した白濁を、彼女は受け入れてくれた。 それが至上の幸せだと、僕は思う。 End 目次 |
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