カイル×アティ「先生……」 「あ……んっ……ん……」 半ば強引に彼の舌が唇を割って入り込んでくる。 初めての時は驚き噛み千切りそうになってしまったそれも、少しずつではあるが慣れてきた。 おずおずと、自分からも彼を求めるように動いていく。 別の生き物のようにくねくねと踊り身を絡ませ合う舌に、身体が熱を帯びてくるのがはっきりと分かる。 「ぷはぁっ…………カイルさん……」 息苦しくなってきたのか、唇を離しアティが彼の名を呼んだ。 「先生……今日こそは、いいだろ…………?」 服の上からでも分かる豊かな膨らみに手を這わせ、首筋へと口付けていく。 「んっ……で、でも……隣の部屋にソノラが寝てるし、やっぱり……」 朱に染まった頬を隠すように俯きながら、やはりいつもの様にどこか煮え切らない返事。 彼女の答えに、大きな落胆とほんの少しの苛立ちと、傷つけたくないという強い思いが交じり合った溜息が漏れた。 しょうがねえな、と呟きそれならせめてその柔らかな感触だけでも楽しもうと乳房を弄っていた両手を太股へと運ぶ。 緩急つけたカイルの指遣いに、アティの吐息が艶を含んできた。 「はぁ……ぁ……だめ…………あぁんっ……」 今までこういった事にまるで免疫の無かった身体は、呆気なく彼の手で高められていってしまう。 しかし、何時の間にか開いていた両脚の付け根へとカイルの手が伸びていった時、はっと驚いたようにアティはきつく脚を閉じ、彼の手を拒んだ。 「あっ!? か、カイルさん、そこは駄目です!」 今まで為すがままにされていたにも関わらず、そこに手が近づく事だけは初めてこういう事をするようになった日から頑なに拒み続けるアティに、カイルは再び大きな溜息を吐いた。 「……って訳でよ。未だにシてねえんだ俺達」 此処へスカーレルを引き連れてきて早一時間。 明らかに不満そうな顔をして、カイルは隣に座る彼へとぼやいた。 薄暗い室内には、酒と煙草と、“そういった”手合いの者だけが持つ匂いが充満している。 どんな街にでもある路地裏に隠されるように建つ酒場で、二人の男はカウンターに並びグラスを傾けていた。 カイルの言葉に、スカーレルは信じられないと目を丸くする。 「何それ。アナタ本当にカイル? まさかカイルの姿をした別人じゃないでしょうね?」 「うっせえな。オレだって本当は押し倒したいんだよ。だけど先生はよ、初めてオレが……船に乗せてえって思えた女なんだ。そこらにごまんといるような軽い女みたいに扱えるワケねえだろ」 そう言うと水を飲むかのように度数の強い酒を流し込んでいく。 アルコールが喉を焼く感覚だけが、僅かな間だけカイルの胸に溜まった鬱憤を晴らしてくれる。 どんな時も度胸と威勢の良さを誇りとし真っ直ぐにぶつかっていく男が、一人の女性にどう接したらいいのか分からず悩み手を拱いている姿は、スカーレルに新鮮な驚きを与えた。 「あらあら……アナタにも人並みの臆病心みたいな殊勝なモノがあったのね。こんなカイルが見れるなんて、やっぱりセンセって只者じゃないわ」 「……お前、今までオレを何だと思ってやがったんだ? オレだって迷ったり悩んだりする時だってある。お前の言い分だとまるでオレが能天気な馬鹿みたいに聞こえるじゃねえか」 半眼でスカーレルを睨む。 しかし酒に濁った目に普段のような烈火の勢いは無く、スカーレルにとっては酒場の低い天井に漂う紫煙よりも存在感の無いものだった。 「別にそんな事一言も言って無いじゃない。被害妄想よソレ」 「はん、どうだか……」 スカーレルに浴びせる文句でさえ覇気が無い。 ぐったりとカウンターに突っ伏す海賊カイル一家の頭目らしきモノに、呆れた溜息を吐きながらスカーレルが尋ねる。 「で、悩める船長サマが、どうしてワタシにそんな話を?」 「あー…………だから、その、な。お前だったらこういう時、どうすっかなーって思ってよ……」 「指差してアナタを笑うわ」 「殴るぞ」 くすりと忍び笑いを漏らし、スカーレルがグラスを一口舐める。 「やあねえカイルったら。そんな本気の目しなくたって」 「オレは恥を忍んでこうやってお前にぶちまけてんだぞ? 茶化すんじゃねえよ、ったく」 益々不機嫌そうな表情を浮かべる。 カイルの手が掴む辺りのカウンターの縁が、べきりという音を立てた事に酒場の店主が気付いてないのを確認し、スカーレルは胸を撫で下ろした。 「ふう……ま、あまり深刻にならない方が良いんじゃない? アナタの良さはその気概だと思うし。落ち込んだり悩んだりしてる姿は、やっぱりセンセも見たくないだろうしね」 「……やっぱりオレ、落ち込んでる様に見えるか」 「それはもう。まさか気付かれて無いとでも思ってたの?」 流石にこれ以上からかうのは危険過ぎると判断し、真面目に答えを返す。 下手をすれば酒の勢いに任せ本当にこの場で暴れかねないと危惧してしまう程、今のカイルは荒んでいた。 そして彼が本気で暴れればこんな小さな酒場のゴロツキなどいくら束になろうとも問題無く、酒場諸共叩き潰してしまえる事も、スカーレルは理解していた。 誰にも知られず場末の酒場を一つ救い、ふっと笑みを漏らす。 ワタシって偉いわよねー、と呟くスカーレルに、彼の手の中のグラスだけが、からん、と氷を鳴らして返事をした。 「そうか……悪いな、不味い酒に付き合わせちまってよ。お前に愚痴ったら少しは胸の支えも降りたぜ」 漸くそれらしい助言を得て、藁にも縋る思いだったカイルの心に少しだが光明が差す。 「貸し一つよ? 勿論ここの御代もアナタ持ちでね」 嫣然としたスカーレルの笑みはやはりいつ見ても捉え所の無い不思議な雰囲気を醸し出していた。 夜。 草木も眠り、恋仲の二人の会話がやがて睦言へと姿を変えていく時間。 今日こそはそういった流れになる前に部屋を辞去しようと固く決意していたアティだが、気付けば昨日の二の舞を踊っている自分がいた。 「かっ、カイルさんっ……あっ……今日、は……っふあっ」 いつもと違う。 そう言おうとした言葉は彼の指に塞き止められアティの中に留まった。 ――いつもより、激しい気が、する…… 焦点の合わない目で、それでも必死で彼の顔を追いながら考える。 だがアティの思考は首筋を辿るカイルの舌にたちまち掻き消されていった。 心の中で拳を握り締める。 よし、ここまでは順調だ。 普段よりも入念に、そして慎重に彼女を導いてきた。 多少の強引さもあったが、それにも彼女はすぐに順応したようで、今では昨日よりも上気した頬と荒い息遣いでカイルを見つめている。 スカーレルの言葉を思い出す。 『アナタの良さはその気概だと思うし……』 言われてみれば確かにそうだ。自分が他人に自慢出来る事なんて、腕っ節と思い切りの良さくらいしか無い。 ――今日ばかりはオレの言う事も聞いてもらうぜ、先生 心の中でそう告げ、カイルはまだ一度も許されていない彼女の下半身へと侵略を開始した。 「ふぅ……ぁ……ぁ……? っ、あ!?」 激しい愛撫に呆然としていたアティの頭は、何時の間にかカイルの手が絶対に気付かれてはならない場所へと近づいている事を知り、がんがんと警鐘を打ち鳴らして四肢へと指令を飛ばした。 しかし今日はそれまでの刺激が強すぎたせいもあり、そこを護るのが一瞬だけ遅れてしまう。 閉じられた脚の間をすり抜け、遂に秘所へとカイルの手が―――― 伸びなかった。 本当に寸前の所で、アティの手が股間をしっかりと防いでしまったのだ。 「かかっ、かっ、カイルさんっ!! ここだけは駄目ですって、いつも……!」 涙目でカイルを見つめるアティ。 目に涙を溜めて上目遣いにこちらを見上げてくるアティの表情はもうどうしようもなく魅惑的で、つい言う事を聞いてしまいたくなる魔力を秘めているのだが彼女はそんな自分の魅力に全く気付いていない。 ともあれ、いつもならここでカイルが自分の願いを聞き届け、不承不承ながらも解放してくれるという事だけは分かっていた。 なのに。 「いいや。今日は見せてもらうぞ先生、その先までじっくりとな」 目の前が真っ暗になるような宣言と共に、再びカイルの手が動き出した。 「えっ、えええっっ!? や、ちょっと、あのっ……やっ……!!」 狼狽するアティの手を、ゆっくりとそこから剥がしていくカイル。 アティは勿論そうはさせまいと腕に力を込めるが、力勝負でカイルに勝てる要素など端から何処にも無い。 「やめてっ! やめて下さいカイルさんっ!! 駄目なんですってば!」 あっという間にアティの両手はカイルの右手に捕まえられてしまった。 空いた左手がゆっくりと純白の布を捲ろうと迫る。 「悪い先生、嫌がるのを無理やりってのは心に痛えが、もう我慢が効かねえんだ……」 膝を立て抵抗しようとするアティの脚を、間にねじ込むように腰を入れて割り開いた。 「あ、ああ…………」 絶望が近づいてくる。 カイルさんの手が。 わたしの。 絶対に知られちゃいけない場所に――――!! 「だめえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 大人の背丈ほどもあろうかという石の拳が、カイルを直撃しドアを巻き込んで轟音を立てながら廊下の壁へと突き刺さった。 続き 目次 | 次へ |
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