アヤ×ラミどうも。アヤです。 明日はついに最終決戦。 私はベッドの中で最後の休息をとろうとしている所です。 私の腕の中にはつい先程までアジトの屋根の上で言葉と心を交し合っていた、フラットの最年少であるラミちゃんが小さなお人形さんのような身体を横たえて、寝息を立てています。 二人は優しく、温もりを分かち合うように寄り添っていました。 ――全裸で。 何故何故何故何故なぜなぜなz――――私は全力で状況の把握に努めます。 今なら思考を七つか八つに分割する事すら出来そうな勢いです。 すると、すぐに原因には辿り着けた感じっぽいです。 やはりLV50で勝利確定だからって晩餐時に前祝いとして慣れないアルコールをしこたま入れたのがまずかったのでしょう。 とりあえず神の領域に到達したような気はするのですが、記憶は所々飛んでいます。 よくよく思い返してみれば屋根の上でも、絶対に幼児向けではないような甘い言葉を囁いたり、濃厚なキスやら執拗な愛撫やらまでかましてしまったような記憶がおぼろげに残ってます。 「――ああ」 遥か遠き故郷(アヴァロン)の父上様、母上様。 綾はついに鬼畜外道に堕ちてしまいました。 確かに、私はラミちゃんを愛していました。 それも家族としてではなく一人の女として。 ですがそれは道ならぬ恋。レズでロリコンという、ある意味時代の最先端です。 刻が見えても不思議ではありません。 それ故に、決してこの想いは表に出さないように務めていたというのに――この上は死んで詫びるしかないと、どん底まで落ち込んだ心で腕の中のラミちゃんを見やります。 ――と。 「ん……ふぅ……」 悩ましげに吐息を漏らすラミちゃん。 「…………」 ゴクリ……。 色っぽい、です。 可愛いとか愛くるしいとかじゃなくて、「色っぽい」です。 私個人の恋愛感情を抜きにしても、今のラミちゃんには大人顔負けの、怖気を奮うような得体の知れない色気がありました。 目が、離せません。 腕の中で悩ましげに寝返りを打つ彼女に、私は完全に魅了されていました。 ――欲しい。 欲しい。 欲しい。 彼女が欲しい。 彼女と交わりたい。 彼女を―― ――喰 ベ テ シ マ イ タ イ どくん。と。 この世界に来た時から私の中に巣食うケダモノが蠢きます。 心に隙を見せれば、すぐさま入り込んでこようとする悪魔の王。 正直、こんな精神状態で抑えきれる自信はありませんでしたが、さりとて彼女をこれ以上傷つける訳にもいきません。 何とかかんとか、もう一人の居候の力も借りてケダモノを押さえ込みかけたその時、ラミちゃんが目を覚ましました。 「……おねえちゃん」 「あ……」 下劣な欲情を必死で抑えている今の私の表情は、正視に堪える物ではないでしょう。 ですが。 「イイ、よ……」 彼女は、微笑んでくれました。 無邪気でもなく、可愛くも無く、愛くるしくも無く、挑発的で、扇情的で、妖艶な、あらゆる意味で彼女には似合わないその微笑みは、私の自制に決定的な亀裂を産みました。 「キて……」 「ラミ、ちゃん……」 くっ、まだです! ヤらせはしない、ヤらせはしません! 分割思考など持ち出すまでも無く、私の脳内には居候が二匹も住んでます。 私は脳内で天使(サプレスのエルゴ)と悪魔(魔王)と共に緊急にアヤ会議を開始しました。 私のココロの中の天使と悪魔が好き勝手に囁きます。 やっぱ○才児はまずいだろうもうちょっと成長するのを待ってから思う存分云々(Byエルゴ) 構うこたぁねぇからヤっちまえつーか据え膳だろ据え膳青い果実の方が云々(By魔王) そして次第に凄惨な殴り合いに発展して最終的に、クロスカウンターによるダブルK.O.で決着がついたのですが、こいつら起き上がったと思ったらしばし見詰め合って硬い握手を交わした後、いきなり抱き合って男泣きにむせび泣いて最後に肩組んでこちらを見やって、やたらエエ顔でサムズアップしてから消えていきやがりました。 ええ、アレはヤっちゃえって事でいいんですよね?(ここまで0.3秒) 「おねえちゃぁん……」 「ラミ……」 艶かしい媚態で私を誘うラミちゃん。 とりあえずお前は本当に○才児かと小一時間問い詰めたい。 明確な意思でもってラミちゃんと唇を交わす。それだけで逝ってしまいそうな快感と背徳感を覚えたというのに、彼女はためらわずに舌を絡めてくる。 そのまま私は彼女に押し倒され、激しい愛撫を――って、ちょっと、待テ。 今更だが、彼女おかしくないですか? 牝の本能全開の彼女にちょっと引きつつも、的確な彼女の愛撫は、私を否応無しに昂ぶらせてゆく。 「おねえちゃん、どうしたの……?」 「……ふぇ?」 「さっきみたいに、はげしくしてぇ……」 …………………………………………。 はぅあ!!!!! アルコールが入ってラリっていたときのことですか。 正直そのときの記憶は曖昧で、今は完全にお酒も抜けているのですが……。 一体、私は無垢「だった」彼女にナニをやらかしてしまったのでしょうか? こうなったらいっそ、もう一度アルコールを入れるべきでしょうか? いや駄目だ。明日は早いし、無垢だった少女の人生観を630度変えるような攻めをもう一度繰り返したりしたら、あらゆる意味で終わってしまうような気がします。 とはいえ、少なくとも素面の上では、私にはそういう経験など全くありません。 しかしたった一度の経験でここまでの応用力を見せるとは…… そうか、彼女もニュー○イプだったのか。 まあそんな事はどうでもいいですが、ああどうしましょう。 役立たずのエルゴと魔王は未だ真っ白に燃え尽きてるし……。 「ら、ラミちゃん」 「おねえちゃん?」 煮え切らない私にラミちゃんは不平気味。 しかしふいに表情が笑みに変わります。 ああ駄目ですよ、幼女がそんな残酷なのに優しい微笑みを浮かべては。 「いいよ……。おねえちゃんがシてくれないなら、さっきラミがおねえちゃんにされたこと、ぜんぶヤってあげる」 「――ひっ」 ――ああ。 怖いような嬉しいような。 私がナニをシたのかは知ったこっちゃありませんが、きっと終わった時にはベクトルや属性が大幅に変化して、更に人として何か大切なものを喪失しているのでしょう。 ――ああ。でも、それもイイかもしれない。 名前入りの首輪を付けてラミちゃんの膝元に寄り添う自分の姿を幻視し、思わず顔がにやけて―― はぅあ! 何てことでしょう。レズでロリコン、しかもマゾ。いきなり三冠王を達成してしまいました。 ついでにエルゴの王と魔王を含めれば五冠です。 何故かエルゴと魔王が血の涙を流しているような気もしますが知ったこっちゃありません。 ああ、これでもう怖いものなどありはしません。 彼女に全てを委ねてしまいましょう。(ここまで0.1秒) そのままラミちゃんに陥落しようとしたその時――! 復活した天使と悪魔が一瞬何かを囁き―― 頭の奥で何かが弾けるようなイメージがありました。 蕩けた思考はクリアになって、頭はイってしまいそうなほど熱いのに、その奥にある芯は極めて冷静。 水銀を流し込んだかのように鈍重な、セピア色の世界。 「――――」 神の領域に触れた事により、全てのしがらみから解放されていく。 何を迷っていたのでしょうか。 愛に年も性別も倫理もクソも関係無いというのに。 私はラミちゃんがこんなにも好きだというのに。 ラミちゃんは私がこんなにも好きだというのに。 「あ……は」 犯される 犯される きっと間違いなく犯される 他の誰にでもなく 他の何にでもなく 「あ…はははっ。ハハハハハハハハハハッ」 アナタは私に 「逝くぞ幼女。蜜の貯蔵は十分か」 犯される 「――ああっ、おねえさまぁ!」 ――――朝。 全身が鉛になったかのような錯覚を感じながら私は目覚めました。 「……世界が……黄色い……」 昨夜、最終決戦前にそれ以上の死闘を繰り広げた私は、辛くも勝利を収めたのでした。 私の腕の中ではやはり全裸のラミちゃんが丸まっています。 その寝顔は今では憑き物が取れたかのようにあどけなく、しかしそれが却って、今の状況とそぐわなく、そのアンバランスさがなおも私に劣情を呼び起こします。 でも正直今は無理です。て言うか死にます。 彼女はしばらく目を覚ます事は無いでしょう。 私ですら今にも倒れそうなほど疲弊しているのですから、しばらく寝かせておいてあげましょう。 さて、そういえばこれから最終決戦です。 まあ、ラミちゃんと結ばれた今となってはバノッサさんもオルドレイクもどうでもいいし、正直かったるくてやってられないのですが、仕方ありません。 とっとと終わらせて帰ってくる事にしましょう。 「ふっ……朝日が目に染みますね」 コンディションは最悪に近いですが、まあ大丈夫でしょう。LV50ですし。 「それでは行ってきます、ラミ」 そっと身を起こして彼女の頭から腕を抜き、ほっぺにキスをします。 ああ、全くこれ以上瑣末ごとに煩わされている場合ではありません。 さあ、行きましょうアヤ。 幸せな新婚生活を満喫する為に! 決意を胸に秘め、静かに、私はドアを閉めました。 おわり 目次 |
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