一周目リシェルENDクリア記念 1 リシェル一人H忘れじの面影亭。そこは元は町外れの寂れた宿であった。 しかしこの宿の若き店主の料理の腕がかのミュランスの星に認められてからというもの 今では、料理の評判を聞きつけてやってくる客でごった返しである。 当然、店主の少年一人ではさばききれるものではない。だが幸運にも助っ人には恵まれていた。 ブロンクス姉弟やメイドのポムニットが交代で助っ人に来てくれるからである。 とはいえ、それでも目まぐるしい忙しさの日々には変わりはない。 これはそんな彼らの日常の1ページの物語。 「今日も手伝いに来てくれてありがとうな。リシェル」 「いいって。いいって。別にあたしが好きでやってることなんだしさ」 ランチタイムが終わって、ようやく一息をついてライはリシェルにお礼を言う。 ルシアンが本格的に自由騎士団入りを目指すために家を出てからというもの 店の手伝いはもっぱらリシェルとポムニットが交代で行なっていた。 「でもお前、自分のことは大丈夫なのか?なんかしょっちゅう来てもらってる気がするんだが」 「あたしを誰だと思ってんのよ。派閥の定例考査の成績だってバッチリだしそんな心配する方が無駄ってもんよ」 「まあ、それならいいんだけどな」 リシェルとて決して暇な身ではない。正式に金の派閥に入ってからというものは各所への挨拶回り。 派閥の講座の定期講習。こなさねばならぬ事項は山ほどあるのである。その合間をぬって手伝いに来ているのである。 しばらくはポムニットに任せきりの日々もあった。ようやく1段落ついてこうして頻繁に店に顔を出せるようになったのだ。 「あ、あのさ……ライ」 「ん、どうした?リシェル」 「明日ってさ……確か食堂の方、定休日で休みだよね」 「ああ、そういやそうだったな」 「それで……よかったらなんだけど………」 そこまで言いかけて、言葉はリシェルの喉奥でつっかえたように止まる。 もう少し。あとほんのもう少しで吐き出せてしまえるのに。 (ああもう、何やってんのよ!あたしっ!!) もどかしさが募る。一気に言ってしまえばいいのに。意気地なし。自分を責め立てる。 だが、一度止まった言葉は容易には吐き出せない。胸のもやだけが広がってくる。 (さっさと言いなさいよ。休日に誘うだけじゃない。こんなのたいした事じゃ……) 本当にたいしたことではない。こんなこと以前はもっと気軽に言い出すことが出来た。 もう何年も幼馴染をやってる。思いついたようにライを遊びに誘うことなんてしょっちゅう。 それなのにどうしてかここ最近は変だ。ライに対して以前ほどの気軽さで接せなくなっている。 その原因は自分でよくわかっている。そう、これはつまるところの。 「よかったら何なんだ?」 「わひゃぁぁっ!あわっ!」 そんな風に煩悶としているうちにリシェルのすぐ近くにはライの顔があった。 たまらずあわてふたむく。顔は紅潮する。なんだかマトモに視線をあわすことさえいたたまれなくなってくる。 「リシェル?」 「あ……あはは……いや、別になんでもないの。そうよ別に。ごめんね。変なこと言い出してさ」 「いや、別に構いやしねぇけど」 「そろそろパパがうるさいからあたし家の方に帰るね。それじゃあバイバイ」 「ああ、オーナーとポムニットさんによろしくな」 別れの挨拶をするとリシェルは飛び出すように自分の家のほうに駆け出す。ライは見る見るうちに小さくなっていくその影を見送る。 「なんか、最近あいつ。ちょっと様子がおかしくないか?」 その元凶が自分であることには気づかないままライは頭の上に?マークを浮かべた。 「ああっ、もうっ!!あたしの馬鹿、あたしの馬鹿!あたしの馬鹿ぁぁ!!」 自室に戻るとリシェルはわめき散らしながらベッドに飛び込んでポフポフとシーツを叩く。 「どうしてはっきり言えないのよっ!この意気地無し!こんちくしょぉぉっ!!」 破れかぶれに枕に当り散らして投げ飛ばす。壁にポムと小気味よく弾んで跳ね返ってくる。 「本当に……馬鹿だ……あたし……」 ひとしきり八つ当たりを終えると流石に頭も冷えてくる。苛立たしいのは自分の情けなさだった。 ほんの小さな一歩さえ踏み出す勇気がない自分の。機会はいくらでもあった筈だ。 そのことごとくを無為にしてきた。それもひとえに自分自身の臆病さからくるものであろう。 (やっぱり……怖いのかな?あいつとの関係が……なんか変わっちゃうのが……) あまりにも身近すぎたから。なんとなくすぐ傍にいるのが当たり前の関係だったから。 だからこそ恐れてしまうのだろう。今の自分とライとの距離感が崩れてしまうことが。 幼馴染の友人というあまりにも居心地のいいポジションが。 (ずっと今のままでいられたらそれはそれでいいんだろうな。でも……) それではきっと自分は心からは満足できないだろう。それが分かる。もう意識してしまったからだ。 ただの幼馴染では終わりたくない。特別な存在になりたい。そんな欲求がリシェルの胸をかきたてている。 コーラルと巡りあってからの怒涛の戦いの日々。それが終わって戻ってきた目まぐるしい忙しさの平凡な日常。 そんな時間をライと共にしているうちにリシェルの胸の中の想いは日増しに膨らんでいた。 (あいつはどう思ってるのかな。あたしのこと。まあ、悪くは思われてないだろうけど) 好きか嫌いかと聞けば好きと言ってくれるだろう。でもそれは多分、自分が求めている好きとは違う。 そういえばとある本で見聞きした覚えがある。異世界には好きという言葉にもランクがあって使い分けているのだとか。 LIKEではあってもLOVEまでは至らない。そんなところだろう。 今までの関係以上のものを求める自分。それをライが受け入れてくれるかどうかがリシェルには怖かった。 リシェル自身もこんなに煩悶とさせられているのだ。ライだって当惑するに違いない。 そして拒まれてしまったらもう元の仲の良い幼馴染にも戻れない。ライはそれでも変わらずに接してくれるだろう。 それでも違う。それは決して今までの二人ではなくなってしまう。そのことがたまらなく怖い。 (なんてのはただの言い訳……そんなもん当たって砕けろって……わかってるんだけどさ……) 更にもどかしいのは素直になれない自分の性格。反射的にどこかで突っ張ってしまう。 自分の本当の気持ちを誤魔化してしまう。ずっと前から抱き続けてきた想い。 それを認めることが出来るようになったのもつい最近である。 同じぐらいの時間をかける必要があるのだろうか。今ライとの関係を自分から一歩先に踏み出そうとするには。 (なんだかせつない。せつないよ……それ……) とはいえ何かきっかけがない限りは今のままの状態が続くのだろう。ただ、もどかしい気持ちを抱えながら時だけ過ぎていく。 以前に聞いたことがあった。鬼妖界などではこんなとき神様とかいうものに祈るらしい。 もっともこの世界に祈るべき神様なんていやしない。だから神頼みなんて何の意味もないのだが。 (もやもやして……なんか気持ち悪い……身体がもぞもぞする……) 心と体は実に密接である。悶々とした気持ちはリシェルの身体のほうにもしっかりと感染している。 恐ろしいまでの感染力。解魂病も目じゃないほどに。身体の一部分がほんのりと温かい。そしてそこに触れずに居られない。 気がつくとリシェルの指先は自身の秘所にあてがわれていた。 「……んっ………あっ………」 這わされた指先はそのまま秘裂をなぞる。瞬間、ビリリと身体を突き抜ける何かがあった。 「あっ……っは……あんっ……くぅ……ぅぅ……あっ…はふぅ……」 一度、その感覚を味わってしまうともう止めることはできなかった。リシェルは指先で自身の肉を嬲る。 いまだ異性を受け入れた経験のない初々しいリシェルの膣内。そこに指先は第二関節の辺りまで入り込む。 そしてそのままクニクニと膣肉を弄る。 「ふはぁっ……っは…っふ……っく……んっ……」 自分で慰めながら思わず喘ぎ声を上げてしまいそうになる。なんとか噛みころしながらそのまま続ける。 今のリシェルの身体でひたすらに疼きを上げ続ける部分。それはリシェルの女性そのものというべき箇所であった。 疼きは一向に止まらない。むしろこうして弄ることで増すばかりである。 (あたし…おかしくなっちゃった……やめられなくなってる……こんなこと……) ただひたすらに自慰を貪る自身の姿。それがどれほどあさましいものかリシェルにも分かってはいる。 だが、たとえ理性で制止を呼びかけたとしてもそれは無駄なこと。心が、身体が突きつけてくる衝動を抑える術なんて知らない。 「んっ……うっ……っは……っあ……ふぁっ……っはぅ…くはぁっ」 ついには喘ぎを抑えることも止めた。ただ刺激だけを味わいたかった。 弄る指先はジワリと濡れている。自身から滲み出た肉蜜で。粘性の液に濡れる膣肉を指先はひたすらに掻き毟る。 もぞもぞと劣情はリシェルのうちからこみ上げる。駄目だ。まだ足りない。満たされない。 「んくぅぅ……くひぃっ……ひあっ…はっ…あんっ」 更なる刺激を求め、リシェルは肉裂上部の突起物にいきつく。人体でもっとも性的な興奮に特化した部分。 俗に陰核ともよばれる小さな肉の豆を摘み込む。磨り潰す。指の腹でくりくりと。 「ああぁっ!くひいぃっ!!やっ……あんっ!」 陰核への刺激で与えられる快感は一般に男性器のそれを遥かにしのぐともされる。 指先による摩擦と圧迫。それだけでも女性に容易にオーガズムを与えるのだ。 禁断の果実の味を一度知ってしまったら人はもう引き返すことなどできない。 それはリシェルにとっても例外ではない。 「あっ……あふっ……ライ……ライっ!」 リシェルはたまらずにライの名前を叫びだしていた。もう何度目だろうか。 こうして彼のことを思いながら自分を慰めるのは。その度にシーツを汚して何度もポムニットにも怒られた。 それでも自制なんてきかなかった。愛おしい。内から湧き上がる感情を抑えることなんてできなくて。 そしてそれを素直に伝える術を知らぬゆえにこうして代償行為にひたはしるのだろう。 (あんたのせいだからね。あたしがこんな……おかしくなっちゃってるのはあんたの……) 胸中で突っ張る。自分がこんなことをしている間にライはどうしているのだろう。不意に思う。 おそらくデイナー客に備えて食材の仕込みでもしているのだろう。自分の煩悶とした胸の内など露とも知らず。 (本当に馬鹿っ!あのニブチンっ!………って、馬鹿はあたしか……) 勇気をもって踏み出せない。素直になりきることができない。そんな自分への苛立ちを紛らわすように自慰にふける。 ただ切なかった。ただやるせなかった。胸が苦しくつまる。こんなことをしながらに思う。 もしライが今、自分のそばにいてくれたなら。自分を抱きしめてくれたならばと。 「ライ……あふっ…ライっ…あぅ……っく……」 胸を焦がす切なさと、鋭く脳に届いてくる性的な刺激とでリシェルは達する寸でのところまで来ていた。 このままだとまたしても盛大に逝ってしまう。洗濯したばかりのシーツを汚したらポムニットにまた怒られるだろうなとも思った。 それでもリシェルは流れに身を任せることにした。このまま絶頂を迎えよう。ライへの想いを抱きながら。 「ああっ!ひやぁぁぁっ!くぁぁぁぁぁっ!!」 ひときわ大きな嬌声を上げる。リシェルの秘所からはここぞとばかり肉蜜がシャワーのように噴出す。 それはぼたぼたと白いシーツの上に落ちる。したり落ちた粘性の液体はシーツに染みをいくつもつくっている。 果てたリシェルはがくりと力をなくしたように上体を崩してその染みを呆然と見つめた。 「はぁ……はぁ……また……やっちゃった……」 自慰を終えて残るのはどこか空しさだった。自分の中身がすっぽりと抜け落ちてしまったかのような気分。 「………やっぱり切ないよ……ライ……」 そう呟いた後に、雫がまた一つシーツの上に落ちる。リシェルのその潤んだ瞳から零れ落ちた雫。 それはまた一つシーツの上に染みをつくり、その染みの数だけリシェルの心の切なさも増えていった。 「ハァ……せっかくお洗濯したばかりだというのにお嬢様ときたら……」 と、部屋の前で聞き耳を立てていたポムニットはため息を吐く。本音を言えばもうすこし自制を利かせて欲しい。 こんなことを旦那様に知られでもしたら決して一悶着程度ではすまないのだ。 「また人目に付かないようにお洗濯しないと。しくしく。時間外サービス労働ですよ」 愚痴を零すもののポムニットとてリシェルの気持ちは理解している。あの年頃はどうしようもない。 まして人一倍、素直になるのが苦手なリシェルだ。うちに溜め込んだ気持ちはこうでもしないと発散できないのだろう。 「やっぱり、何かきっかけがないと進展しそうもないのですよねえ。片や筋金入りの hard to say 片や筋金入りの鈍感朴念仁ですもの」 ものの本で聞きかじった言葉を使いながらポムニットは思案する。本人同士の問題とはいえやっぱ傍で見ていてももどかしい。 自然とお節介を焼きたくなってくるのが当たり前というものだろう。 「そうだ。こうしましょう」 何かを思いついたのかポンと手を打ってポムニットは顔を輝かす。 「ふふふふ。覚悟してくださいね。リシェルお嬢様。ライさん。ふふふ」 悪魔のような(つうか半分悪魔だけど)笑みを浮かべながらポムニットは思い付きを実行に移す決意を固めた。 次回 腹黒メイド、ポムニット編へ続く 目次 | 次へ |
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