(未来の)勇者と(未来の)義賊の事情~トレイユ風雲編~長いようで短かったギアンとの闘いは天空城での決戦で幕を引き、その翌日。 せっかくこれだけのメンツが集まったのだからと言う事で急遽宴会が催された。 そして夜半に差し掛かり宴もたけなわ、騒ぎ疲れ飲み疲れた兵どもが夢の跡。 良識ある人間は然る場所へと帰り、飲んだくれは屍を築く宴会場跡と化した忘れじの面影亭、その一角。 「うぅ…みんな強引に酒勧めてくるんだもんなあ…」 みんな、とは主にレンドラーを始めとする羽目を外した剣の軍団の騎士達。 おかげで酒は飲むまいとアルバは堅く決意した。 「そういえばフィズ、何処にも居なかったな…」 気にかかったのは故郷で帰りを待ってくれている筈の少女。 リプレやガゼル、基本的にいつも一緒のラミも居たので宴会に来ていない筈は無いと思うが… 「…まあ、今日は早く寝よう…」 気にはなるが今は疲れて思考の巡りも悪い。 ぼんやり考えながら自分が借りている部屋のドアを開ける。 すると吹いてきたのは涼やかな夜風。 月光が差し込む窓辺に佇んでいたのは先程まで思案していた翠の髪の少女。 嵐の予感が身を駆け抜けるのと同時に少年は理解した。 「ああ、今日は寝れないな」と。 「やっほー、アルバ」 快活に元気よく、開いたドアへと振り返って挨拶。 昔と何ら変わらない朗らかな仕種に郷愁を覚える。 「フィズ…何で此所が」 「ライに久しぶりにアンタと話したいから部屋教えてって言ったらすんなり教えてくれたわよ」 確かに教えない義理は無い。家族だと知っていればそれは尚更。 実際は家族で恋人という知らない人が聞いたら誤解されそうな関係だけれど、当人達しか知らないので問題は無い。 「道理で見掛けないと思ったら…って酒飲んでるのかフィズ!?」 近付くと頬がほんのり紅潮しているのが解る。 というか、窓辺に堂々と飲みかけの酒瓶が置いてある。 「別に初めてってワケじゃないし。 それにアンタだって断りきれないで飲んでたじゃない。」 口を尖らせ、びしっと指差して指摘する。 彼女の言う通り、名だたる騎士達に押されて少量だが飲んでしまったのである。 相変わらず痛い所を突く彼女に、口ではやはり勝てないと思い知るアルバであった。 「はあ…で、何の用だよ」 「もう言ったじゃない」 「え、えぇ?」 すっとぼけた反応にむっとした顔でずかずかと近寄って来るフィズ。 あれ、こんな顔前にも見たような――アルバの思考は抱き締められる事によって一時停止する。 「『久しぶりにゆっくり話したい』。…二度も言わせないでよ」 ぎゅっと腕に力が入る。 「…ずっと待っててあげたんだから抱き締めるとかしなさいよね、この甲斐性なし」 「あ…ご、ごめん」 慌てて抱き返すアルバ。 肌に彼女の髪が当たって何ともむず痒い。 照れ臭いのを誤魔化すべく上を見上げているとふと、違和感を感じる。 「(あれ…?)フィズ、お前」 「何よ?」 「背、縮んだ?」 「…アンタがでかくなったのよバカっ!」 抱き締める手で脇腹を爪を立てて掴む。 その技、かの異界の者が居れば驚嘆し解説したであろう。「ぬう!あれはもしや愛暗黒雨(あいあんくろう)!」「知ってるのか雷電!」と。 「痛い痛い痛い痛い!ごめん、ごめんって!」 アルバの痛切な謝罪が届いたのかギリギリと肉を掴むのを止め、一息吐いてフィズは呟き始める。 「あの時はあたしと同じくらいでもっと頼りなかった癖に…」 日々のたゆまぬ稽古によって鍛えられた胸板に、腕。自分を越す背丈。抱き締められていると、とても安心する。 アルバは確かに、一人前の男へ成長しつつあった。 だがそれに比べて自分はと言うと――何時まで経っても起伏に欠ける肢体。追い抜かれてしまった背。差を感じずにはいられない。 「暫く見ない間にこんなに逞しくなっちゃってさ…」 少し悔しそうに、だが感慨深げに言う。 「…でも一人前になるまで家には入れてあげないから」 手厳しい言葉に苦笑して、アルバは彼女の髪を梳く様に撫ぜる。 …夜風を受けて居たせいか、髪はひんやりと冷たくなっていた。そのせいか心地良い撫で具合であった。 髪を撫でる手がやがて頬を包む。酒で火照った肌の熱が伝わる。 熱は伝染するものなのかアルバの頬まで赤くなり――そしてどちらともなく口付けをした。 最初は唇が触れ合うだけ。 すぐに唇は離れて、2人はお互いを見つめ合ってはにかむ。 嬉しくて、愛しくて。フィズがアルバの首を抱き、唇を軽く舐めて再びキスをする。 「ん…っふ…ぅ」 唇を奪い合い、唾液が混ざり合い、舌が交り合う。絡み合う舌が、荒くなる息遣いが徐々に意識をぼやけさせる。 「ぷは…お、おいフィズっ?」 アルバが唇を離し、腕を解いた途端フィズが力無くベッドに倒れこんだ。 「っは…っはぁ…熱い、アルバぁ…服、脱がして…」 「ななななな、何言ってんだフィズっ!?」 「良いからっ…早く脱がして、熱いの…!」 顔を真っ赤にさせて息荒くそんな事を言われてはやらない男はいない。 開いた口からは唾液が一筋垂れている。これによりクリティカル率10%アップ。筆舌に尽くし難きは酒の力か。 据膳喰わぬは何とやら。ごくりと生唾を飲み込み、赤面しながらおそるおそる服を脱がしにかかるアルバ。 まずはチェックの模様が可愛らしい上着。難なくクリアー。スカート。苦戦しつつもクリアー。 そして最後の難関、タイツ。ゆっくり、するすると脱がす。 徐々に露になって行くツヤの良い健康的な肌。 かの牙王アイギスのテーマもかくやと言わんばかりに心臓が鼓動のビートを刻む。もはや乱打と言っても良い。 裸を見るのはこれが初めてでは無いのに、素足なんて小さい頃から何度も見ている筈なのに。 それなのに何故こんなにも気持ちが昂ぶるのか。まるで芸術品、繊細な細工を扱うかの様に優しく、丁寧に… 「さっ、さっさとしなさいよアンタはあっ!!」 「あびばぁっ!?」 顔を真っ赤にしたフィズに顔を蹴られた。 夢中になりすぎたとは言え自業自得とはこの事。 「ったくもう…!アンタも早く脱ぎなさいよね!」 言いながらさっさとタイツを脱ぎ捨ててブラジャーを外し、少しばかり湿った緑と白のストライプが入ったショーツを脱いで一糸纏わぬ姿になる。 多少残念に思いながらアルバも服を脱ぎ始めた。 (わ、わあー…ほ、ほんと男の子って感じ…) 逞しくなった彼の身体をまじまじと見ていると、ある事に気付く。 「…あれ、アンタ…そのチョーカーまだしてたの?」 「ああ、これか? フィズがおいらに似合うからって選んでくれた奴だし、ずっと大切にしてるよ」 「ああ、これか? フィズがおいらに似合うからって選んでくれた奴だし、ずっと大切にしてるよ」 照れ笑いをしながら言うアルバ。 実際は餞別に何を贈ろうかとある護界召喚師に相談した所「ハヤトとアルバには首輪が似合いますよねーウフフ、離れてても自分の所有物だと言う事をアピールするのですよ」とアブノーマルなアドバイスを受けて選んだ物なのだ。 しかしまあそれは乙女の花園、内緒の話なので言えよう筈も無い。 「(…そういえば…)アルバ、あんた仰向けに寝なさい」 「え、何だよ急に?」 「良いからっ!」 ベッドをバシバシ叩くフィズに気圧されて取り敢えずベッドに寝転んで仰向けになる。 「これで良いかフィもがっ!?」 言い切る瞬間、口が何かで塞がれた。 それは湿り、蜜が滴る秘部だと察知するのに掛かった時間実に十数秒。 次に男性器が舐められていると察する事更に数秒。 初めての体位(まだ一度しか性交していないが)に戸惑うアルバ。 これはとある護界召喚師がとある誓約者にやっているのを覗き見て習得した体位である。 責められる男が可哀想になって半ば記憶を封印していたが思い出したものは実行するより他なし。 「あたしが舐めてるみたいにあたしの…舐めて?」 鈴口をちろちろ舐めながら言うフィズ。 するとアルバは少しばかり唸った後、秘裂をなぞるように舐め始めた。 「んっ…そう、良いよアルバ」 秘所を舐められるという感覚にくすぐったさを覚えながら男根の裏筋をゆっくり舐め上げる。 「うあっ…」 びくっとアルバの身体が動く。 されどフィズの口は止まる事なくアルバの分身を責め続ける。 恥垢を舐めとり、全体にぱくっと根本まで咥えて上下にしごく。 気付けばアルバの口は止まり、完全に受け身になっていた。 「…口、休めない」 「あ痛ッ!?わわ、解ったから歯を立てるなっ!?」 慌てて秘所を舐めるのを再開するアルバ。といってもフィズに主導権を握られたままである。 ぎこちなく舐めていると、豆のような肉芽が目に止まった。 (なんだろう、これ…) それを淫核と知らず舌でつん、と触る。 「ひゃうっ!?」 すると今度はフィズの身体が大きくのけぞった。その様子を見て何かを察知したアルバ。 弱点を看破する事に掛けて彼の右に出る者はいない。こうなればもはや確実クリティカル、大ダメージ間違いナシなのだ。 「やっ!そこっ、だめぇっ、アルバぁっ!」 「口、休めちゃいけないんじゃなかったのか?」 「んぁぁっ!?、やっ、ぁ、こっ、擦る、なバカぁっ…!」 淫核を指の腹で擦られ、シーツを掴んで快感に身を震わせる。 舌が、秘部へと侵入する。拙いけれど、それは確実に快楽を生んで。 指が、淫核を責め続ける。弱い所を弄られて、腰を振り始めて。 手が裏腿から尻を撫でる。逞しくなった掌が、肉を荒々しく揉んで。 「だ…っめぇ、アルバ、あたしイくっ、イっちゃうよぉ…っ」答える声はない、ただ一心不乱にこの行為を――愛撫を続ける。それが応え。 腰ががくがく震える、シーツを掴む力が強くなる。 意識が、飛んで行く。 「やっ…あっ!んあっ!ふあああああああっ!!」 痙攣したように小刻みに震え、絶頂を迎える。 されど余韻を味わう事も、休む間もなく。 「はぁ…はぁ…え、あ、きゃあッ!?」 上から退かされ、転がるようにして仰向けになるフィズ。 正面にはフィズの両足を開帳させるアルバ。 秘部にあてがわれた男性器は「物足りない」と言わんばかりに膨張し、今まさに挿入されようとしていた。 「あ、アルバっ、駄目っ、あたしこれ以上されたらぁっ!」 「…ごめん、フィズ」 「ッ!!あ!んあぁああ!」 ずんっ、と一気に貫かれる。太く、熱いモノが膣内へ侵入して来るのが解る。 (こ、こんなとこまで逞しくなってんじゃないわよぉ…!!) 破竹の勢いで突かれながら実にご立派になったモノを恨めしく思う。口に出そうともしたが意に反して嬌声しか出ない。 眼前には懸命に腰を動かすアルバの顔。 (こんな間近で…恥ずかしい声聞かれてる…) それがとても恥ずかしく思われ、顔は先程より紅く、熱くなって意識は白濁する。 もう目の前の少年しか彼女には見えない。 月はただ見守るだけで、窓から吹き付ける夜風も熱を冷やす事は出来ない。 「あっ、ひっ、んぁあ、あっ、る、ばぁあっ、んむぅ…っ」 嬌声混じりで息も絶え絶えに愛しい者の名前を呼び、再び後頭部に腕を回してキスをする。 ――深く自分を求める彼女が愛しい。 だから精一杯応えようとアルバは唇を重ね、舌を絡め、胸を揉み、強く抱擁し、そして――精を彼女の膣内へと吐き出した。 「はぁっ、はぁ、はぁっ…」 「…はぁ…はぁ………アル、バぁ…」 「…何だよ、フィズ?」 「好き…」 「…おいらもだよ」 お互いに微笑む。 そしてまたキスをして、抱き合った。 (…寝れない) 目が冴えて眠る事が出来ない。理由はただ一ツ、自分の胸に頭をおしつけて寝ている少女のせい。 素肌に髪やら息が当たって寝るどころではないのだ。 一応服は着ている。フィズは上着だけで、アルバはズボンだけ。 さすがに全裸のまま抱き合って、しかも寝るのは恥ずかしかったようである。尤も、フィズは望む所だったようだが。 しかし着衣しててもこのザマなので全裸でも別に良かったのでは、と思うアルバ。 心音は更にリズムを上げている。 「…あのさ」 けたたましい心音に起こされたのか、はたまた狸寝入りだったのか、突如呟くフィズ。 …心なしか声が震えている。 「ラミがね…ミモザの家に養子に行く事になったの」 「…おいらもミモザねーちゃんから、聞いたよ」 ギブソンとミモザの住まいと自由騎士団の本拠は同じ聖王都にあるので当然といえば当然だが。 静かにフィズが続ける。 「それであの子が幸せになるなら、良いの。それで納得してる。…でもね」 一拍置いて、彼女は弱々しく聞く。 「ね。弱音吐いても…良い、かな?」 微かに震える声を、手を、身体を、誰が咎める事が出来ようか。 アルバの腕が、彼女の頭を優しく包む。 「幾らでも、良いよ」 「…ありがと」 「…」 「…」 「…」 胸に顔を埋めて、沈黙。 張り詰めた糸の様な、触れれば散る薄氷の様な緊張。 だが其れはすぐに彼女の手で破られる。 「…うっ…えっ……うあああああああん…ひぐっ、ひっく………」 「側に居てやれなくて、ごめんな…」 「あやっ、まんないで、よぉっ…バカぁ……!」 哀しさが、辛さが、愛しさが。 堪えていた感情が堰を切ったように噴き出して止まらない。止める事が出来ない。 大人びているとは言え未だ子供の彼女に、唯一の肉親である妹との離別は重過ぎた。 納得はしただろうが、そうすんなりと割り切れる物では無い。 そんな彼女を支えてやりたいが、けれど少年が側に居る事は叶わない。 どうしようも無く歯痒さを感じながら、ただ抱き締める事しか出来ない。 少女の嗚咽が残響する。 少年は無力を痛感しながら、ただそれを受け入れた。 夜が白む――再び別離の時が近付く。 次に2人が再会するのは何時の日か。それは世界の意思のみぞ知る。 おわり 前へ | 目次 |
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