どこかの不良少女が聞いたら涙目になるお話



「はらほれひれ~~ありゃりゃ?なんりゃこりゃ。あるは……あんらひったいいふ分ひんのじゅふ覚えたんらひ?」
「飲み好きだよ。アカネねーちゃん」
 アルバは溜息を吐く。ライ達と別れトレイユから聖王国へと帰る中途に立ち寄った宿場町。
 そこの酒場で羽目を外したアカネ。ようやくの強制労働からの解放にうかれて散々に飲みまくった。
 結果、後に残されたの呂律も回らないほど酔いつぶれた酔っ払いクノイチとその世話をさせられる
 不運な騎士見習いと言うわけである。
「なんらと~~あたひ、まらよっへなんかいなひほ~~くのいひなへんは~~あーっひゃっひゃっひゃ♪」
「もう、なに言ってるのかさえわかんないよ。ねーちゃん」
 泥酔者に何を言っても無駄だろう。そう諦めをつけてアルバは再度、溜息を吐く。足取りもおぼつかないアカネに肩を貸しながら当座の宿へと歩を進める。
「あひゃひゃひゃ。よーひっ!今夜は夜通ひぱーっといこふひゃないほ!ぱーっと!」
「だから……いい加減にしとこうよ……アカネねーちゃん……」
 泥酔の上に更に繰り出そうとするアカネを制しながらアルバは頭を抱える。ダメな大人の後始末。
 真面目な青少年ほどそれに狩り出されるものである。



「うげぇぇぇ……おえぇぇえぇ……げぶっ……うげぇぇぇ……」
「ハァ……大丈夫かい……アカネねーちゃん……」
 安宿の一室。そこで案の定、洗面器に顔を突っ込みながら嘔吐を繰り返すアカネの背中をアルバは擦る。
 宿酔という名の愚行の報い。自業自得のアカネを解放しながらアルバはまた溜め息づく。
「うぅ……すまないねえ……アルバ……あたしがこんなばっかりに……うげぇぇえええ……」
「ほんとにそうだよ……まったく……少しはしっかりしてくれよ……ねーちゃん……」
 ウンザリとした表情で、それでも解放は続けながらアルバは窘める。けれどアカネは洗面器の中に、胃の内容物を撒き散らす作業に夢中で到底それを聞くどころではなかった。
「それじゃあ。洗面器、洗って返してくるから。アカネねーちゃんはそこで横になってて」
「はふ……そうさせてもらうよ……あうぇぇぇ……」
 ひとしきりアカネが吐き終えると、アカネのゲロでいっぱいの洗面器を持ってアルバは部屋を出る。
 いまだ酔いにさいなまれてアカネはぐったりとなる。そんなアカネの姿を見てアルバは心底思った。
 ああいう大人にだけは決してなるまいと。



(まったくアカネねーちゃんときたら……)
 水洗いした洗面器を宿に返して、部屋まで戻る途中でアルバはひとりごちる。その頭を悩ますのは無論、アカネのこと。もう数年来の付き合いである。たくさん世話にもなったし、よく遊んでもらった。
 そのことに感謝はしているのだが、こうもダメな大人振りを見せ付けられると幻滅させられずにはいられない。
(黙っていればあれで結構、美人なんだけどなあ……)
 単純に容姿だけ見ればそれなりに上等の部類にアカネは入るだろう。シルターンのクノイチなだけあって、無駄の無い引き締まったスタイルと妖艶な色香をアカネは併せ持つ。『せくしぃ』の自称も伊達ではない。
 けれどそんな魅力も口を開けばすぐに台無しになる。それがアカネである。流石にげーげー吐き続ける姿を見せ付けられた後で彼女に対して幻想を抱く気にはアルバはなれない。所詮、世の女など誰しもこんなもの。
 そんな世知辛い現実を見せ付ける格好のサンプルがアルバのすぐ傍にあった。
(まあ、いいんだけどさ……アカネねーちゃんはアカネねーちゃんなんだし……)
 そんなダメな姿を見せ付けられてもアルバにとってアカネが大切な姉貴分であることにはかわりない。
 部屋に残してきたアカネが心配になって足早に歩を進める。一人でまた吐いていなければよいのだが。
 そう思う内にアルバは部屋の前まで来ていた。アルバはドアを開ける。
「アカネねーちゃん。入るよ」
 そう声をかけてアルバは部屋に入る。部屋に立ち込めるアルコールと嘔吐の臭い。噎せかえるような臭気に軽く呻きながら視線でアカネの姿をとらえる。
「アカネねーちゃん?」
 ベットの上でアカネはぐったりとしていた。心配になりアルバは駆け寄る。けれど案の定、そこに聞こえるはぐーぐーぐーぐー煩いイビキ。まったく。こっちはゲロの処理までさせられたというのに。
「本当に……この人は……」
 心配して損をした。そう思いながらもアルバは心のどこかで安心もしていた。アカネに大事がないようで。
 豪快にたてるイビキ。これなら大丈夫そうだと胸を撫で下ろす。
(本当によかったよ……ねーちゃんがまたゲロして部屋を汚してなくて……)
 流石にそれを弁償する余裕はアルバ達には無い。実に良かった。本当に大事無くて。
「ぐーーすぴーんごーーーがーーーぐーーー」
「…………………………」
 自分の心配は他所に景気良くイビキをかくアカネに対し、アルバはここを堪えるのが騎士の道であるとわななく拳を握り締めて、一発どつきまわしてやりたい気持ちを必死になって抑えた。




「すぴーーんごーーーギシギシ」
「風邪ひくよ。ねーちゃん……」
 イビキの上に歯軋りさえ鳴らすアカネにアルバは毛布をかけようとする。ベッドの上に大の字になって眠りこけるアカネ。その姿を誰がシルターンのシノビと思うだろうか。彼女のお師匠に見せてやりたい。
 そしてとことんとっちめて欲しい。
「ほら、ちゃんと毛布被って……アカネ……ねーちゃん……」
 被せようとしてアルバの手はふと止まる。視線が一瞬、釘付けになっていた。いつものアカネの忍び装束。
 ハラリと肌蹴られているその合わせ目に。
「……なあっ!」
 合わせ目の隙間からはふよんと豊かなアカネの谷間が覗く。アルバは狼狽する。
(お、落ち着け……落ち着くんだ……オイラっ……)
 激しく動揺する。純情なアルバには刺激が強すぎた。肌蹴られた装束。其処から覗く豊かな双丘。
 蒸気のような熱がすっと頭に上るのをアルバは感じた。
(落ち着けオイラっ!アカネねーちゃんだぞ……あのアカネねーちゃんだぞっ!)
 熱を帯びゆく脳をアルバは必死で冷まさせる。思い浮かべるのは先程までのアカネの醜態。
 洗面器に顔をつっこんでゲーゲー吐く姿。思い出すとするするアルバの頭から熱が引く。
 よし、これで大丈夫だ。硬直化した一部も萎えてきた。
「うっ……うぅん……」
「はぶっ!」
 其処へ飛び込んでくる奇襲。寝返りをうつアカネ。すると胸元はより肌蹴られる。ズルリと滑り落ちる装束に乳丘はその桜色の頂を覗かせる。
(だっ……ダメだぁぁああ!落ち着くんだっ!オイラっ!)
 そう心にアルバは呼びかけるが身体は初心なものだった。また一部の硬直化が始まっている。
 落ち着け。冷静に考えろ。あのアカネねーちゃんだぞ。さっきまでオイラの目の前でゲーゲー吐いて、そのゲロの後始末をオイラにさせてたアカネねーちゃんなんだぞ!正気か、オイラ。
「う……うぅん……んっ……」
 すると気配を察したのか、寝ぼけ眼でアカネは起き上がる。アルバはギョッとする。
「ね、ねーちゃん……ぶはっ!」
 恐る恐る視線をアカネに向けてアルバはまた噴出した。アカネがガバッと起き上がったことにより、引っかかっていただけの状態の装束はハラリと脱げ落ちる。露わになる生乳。アルバは直撃を受ける。
 すっと昇った血の気が鼻筋から噴出す。ノックダウンされかかるアルバ。そんなうろたえまくるアルバに寝ぼけていたアカネの意識もようやく覚める。
「……んっ……にゃむにゃむ……あれっ?アルバ……あんた……」

「ち、違うんだアカネねーちゃん!こ、これはっ!」
 目を覚ましたアカネ。アルバは慌てふためく。するとアカネはキョロキョロとあたりを見回す。
 宿の一室。そこにいるのは狼狽するアルバと上半身裸の自分。これはつまるところ。
「おやおや……あんた……」
 状況を察してニンマリとアカネは笑う。そして意地悪く言ってくる。
「いやあ、あんたも立派になったもんだねえ……まさかこのあたしに夜這いをしかけるまでになるとは……」
「断じて違うぅぅぅうううううううううう!!!!」
 しみじみと感慨深げに言ってくるアカネに力いっぱいアルバは否定する。
「ア、アカネねーちゃんがっ!アカネねーちゃんがそもそもっ!それでオイラっ!別になにもっ!」
「はいはい。分かってるって。あんたにそんな度胸なんてないことぐらいさ」
 必死に弁明するアルバを軽くいなすアカネ。ニシニシと含み笑いをしながら。反応がストレートで面白い。
 そう思うともうちょっとだけからかいたくなる。
「おやあ?アルバ。なに俯いてんだい?ん~~これはなにか心に疚しいことのある証拠だねぇ」
「そんなわけないだろっ!頼むからアカネねーちゃん!早く服着てっ!」
 目を伏せて懸命に叫ぶアルバ。ケラケラ笑いながらアカネはとりあえず脱げ落ちた装束を羽織る。
 いまだ鼻頭を押さえながら俯くアルバ。傍によってアカネはポンポンと軽くその頭を叩く。
「あはは。ごめんよ。アルバ。あんたがあまりにも初心で面白いもんだからついさ」
「ついじゃないよっ!まったく!アカネねーちゃんは……」
 いつも通りの軽快なアカネ。アルバはブスッと憤る。すると目を細めるアカネ。ふいに呟く。
「そうだね。悪かったよ。アルバ。あんたにはちゃんとお詫びしてあげないとね」
 ポソリと呟かれた素直な謝罪の言葉。アルバは顔を上げる。
「アカネねーちゃん?……っ!??」
 顔を上げてアカネの方をアルバが向うとした矢先、またしても奇襲だった。柔らかな何かの接触。
「んっ!……んむっ……」
 それはアカネとそしてアルバ自身の唇であった。接触して重なりあう二つの唇。軽く開きかかった隙間。
「んぐっ……んむむっ……んぅぅぅ!!!!」
 そこへ滑り込むのはアカネの舌肉。するりと忍び込んでアルバの舌を絡めとる。
(アカネ……ねーちゃん……?)
 アルバは目を見開いた。自分が今、アカネにされていること。キス。家族同士で親愛を示すものとは違う。
 舌と舌とで交わる本当の接吻。絡み合う舌肉。混じり合う唾液。そこに生まれる甘美な快楽。
 口の中には鼻をつく様なアルコール臭や嘔吐臭もあった。けれどそれを気にならなくさせるほどの快感もそこにあった。蕩ける。脳と心が。どうしようもなく甘い。それ故に溺れる。
「んぶっ……ぷはっ……あはぁ……あっ……アカネ……ねーちゃん……」
 唇を離してまどろみながらアルバは見つめた。おそらく自身が初めて経験した本当のキス。
 その相手をつとめた9歳年上の女性を。

「どうだい?アルバ。初めての接吻の感想は……」
 アカネもまたアルバを見つめながら尋ねてくる。そこにはいつものふざけた調子はなかった。
 愛しむような優しさをもってアカネは見つめてきていた。ドクン。アルバの心臓が蠢く。
「あっ……あ……うん……すごく……気持ち……良かった……」
 いまだ残る柔らかなアカネの唇の感触。ぬるりと舌先にはしった甘美な快楽の残滓を確かめながらアルバは頷いた。脳に残る甘い痺れ。アルバの頭はいまだに蕩けている。
(どうしたんだよ……オイラ……)
 本当だったら『いきなり何をするんだよっ!』とでも怒鳴り散らすところなのに。
 それをする気には到底なれない。代わりにドクドクドク。心臓がときめいている。
 押さえつけられない情動。それを自分の中に確かに感じる。
(オイラ……変だ……)
 あきらかに正気でない自分。アルバは戸惑う。そんなアルバにアカネは手を添えて言う。
「好きにしたって構わないんだよ。アルバ」
「っ!?」
 アカネのその言葉にアルバは心臓を鷲づかみにされる。バクン。バクン。
 心音はよりやかましくなり響く。
「別に無理強いはしないよ。アルバ。あんたの思う通りにすればいいのさ。あんたの思う通りに……」
「アカネねーちゃん……」
 優しく微笑みかけて言ってくるアカネ。そんなアカネとの日々をアルバは思い返す。
 いつもはお調子者でおっちょこちょい。けれどその分、友達思い。色々と助けられた事もある。
 散々に苦労させられたこともある。そんな彼女と一緒の時を過ごす事で育まれた想い。
 ドクドクドク。胸の中で鳴り響く。
「アカネねーちゃん……オイラ……オイラっ!!」
 そうして高鳴る鼓動に促されるままに自分の望みをアルバは伝える。そんなアルバにアカネは優しく微笑みながらコクリと軽く首を縦に振って頷いた。




「うぁぁ……あぁ……」
 感嘆の息が漏れる。手の中の感触。ふよふよとしてとても柔らかだった。羽衣のような手触りの乳房。
 明確に意識してそれを触るのは初めて。
(すごく柔らかい……それに……)
 ふにふにと柔肉を指先で弄る。その手に吸い付くような心地。吸い込まれそうな程に魅入られていた。
 豊かな乳丘の頂にある桜色の突起。ふいに指先で触れる。
「んふっ……吸ってみるかい?」
「……………………」
 微笑ながら問いかけてくるアカネに無言で頷くとアルバの身体は既に動いていた。柔らかな乳肉の先端。
 アルバはそれを自分の口に含む。甘噛みされた瞬間、アカネは僅かに喘いだ。続けてちゅぱちゅぱと。
 音を立てながらアルバはアカネの乳房を吸う。
「んっ……あっ……はっ……こらっ、ちょっと……歯は……あふっ……」
 ガジガジ。乳首を軽く噛む。ちゅるちゅる。唇を窄めて吸い付ける。さながら赤子のように。
 豊満なアカネの乳肉を枕にアルバは一心に授乳を貪る。それは懐かしい温もりだった。
 まるで母親の乳房に抱かれているような。
(アカネねーちゃん……)
 胸に頭をすりつけて、その温もりをアルバは堪能する。そんなアルバの頭をアカネは優しく抱く。
 愛しむように何度も擦る。この可愛い弟分の頭を何度も。
「んぷっ……はっ……あっ……」
 唇を離すとアカネの乳頭はアルバの唾液に濡れていた。途端にアルバは気恥ずかしくなる。
 アカネはクスクスと笑いながらも身を開く。初めてのことに戸惑うアルバを誘うように。
 露わになる世界。それはアルバにとっては未知のものである。
(これが……アカネねーちゃんの……女のヒトの……アソコ……)
 それは一筋の肉色のクレバスだった。薄っすらとした繁みに覆われた赤身の肉の割れ目。
 ヒトが誰しも生まれいずる部分。雄という生命が最も本能的にかきたてられる箇所。
 ここに入る。アルバ自身が。ゴクリ。唾を飲み込む。意識すると胸が破れそうになるほどざわめく。
(ど……どうしたらいいんだ?オイラ……オイラ……)
 明らかに戸惑っていた。童貞の身ではそれも無理も無い。大切な初めて。それを今、迎える。
 そこに生ずる躊躇いと緊張。アルバの中で高まる。胸の鼓動は意識がどうになかなりそうなぐらいに。
「止めとくんなら今のうちだよ」

「……っ!?」
 すると戸惑うアルバにアカネが声をかける。ハッとなるアルバにアカネは続ける。
「あんたがいつか、大事な誰かとする時までとっておきたいと思うんなら今はやめときな。それで後悔しないって思うんならそのまま続ければいい。決めるのはあんただよ。アルバ」
「アカネねーちゃん……」
 土壇場の際でアカネはアルバに決めさせる。アルバ自身に悔いが残らないように。
 突きつけられたアカネの問。その問にアルバはしばし考え、そして
「アカネねーちゃん。オイラ後悔しないよ。オイラの初めて……ねーちゃんに貰って欲しい」
「アルバ……」
 自分の素直な気持ち。それをアルバはアカネに伝える。
「オイラ、ねーちゃんのこと多分……好きなんだと思う……だから……」
 例え童貞を捧げたとしてもそこに後悔はない。そんな確信がアルバにはあった。
 あるいは刹那的な色香に惑わされているだけなのかもしれない。けれど今、胸の中にある想い。
 今、この瞬間だけはそれは真実。
「ははっ。うれしいこと言ってくれるじゃないのさ」
 そんなアルバにアカネも嬉しくなる。大切な弟分の筆下ろし。その相手を務める喜びに満ち溢れて。
 求められるということはそれだけで嬉しいものだ。それが少なからず心を寄せる相手にならなおさら。
「さあ、来なよ。アルバ。最高にいい思いさせてあげるからさ」
「アカネねーちゃん……」
 そうしてアルバの目の前でアカネは肉貝の蓋をくぱぁと開く。顔を覗かす神秘の空間。
 そこに向けてアルバも差し出す。少年から男への階段を駆け上るための鍵を。
「い、いくよ。ア、アカネねーちゃん……」
 突き出した鍵を肉穴に宛がう。震える先端。濡れていた。アルバ自身から滲み出すカウパーの汁に。
「ああ。いいよ。アルバ……」
 アカネは優しく頷く。その秘肉は既に十分に濡れていた。童貞のアルバでも挿入しやすいように。
 シルターンのクノイチに伝わる秘伝の一つ。心許せる相手のために使えるのなら悔いは無い。
「んっ……くっ……はっ……あっ……うわぁっ!」
 何度か試みて、失敗した後に滑り込む肉の竿。ずるりと落ち込む。アルバ自身はアカネの内へと。
「んっ!!~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 そしてその瞬間、アルバは言葉を失った。押し寄せる得も知れぬ快楽の波に。
 ぬるりと竿に絡みつく膣肉。そのまとわりつくような感触。未知の快感にアルバは溺れる。
「くっ……アルバっ……くぅ……」
 ビクンと痙攣するアルバの身体。膣奥まで一気に貫かれながらアカネは抱きしめる。
 腕に抱く。初めての性交の衝動に打ち震える少年の身体。ビクビクと胎内に息づく脈動。
 その脈の熱さを感じながら、小刻みに震えるアルバの背をアカネは優しく撫ぜる。
「うぁっ……ぁっ……アカネ…ねーちゃん……オイラ……オイラっ……」 
 抱きしめられながらアルバは痙攣を覚える。ビリビリと震えるその身体。
「ねーちゃんの中が……気もち良すぎて……それで……オイラ……ねーちゃんの……中で……」
 そこに残るのは射精感。挿入と同時にアルバは達していた。肉竿いっぱいに溜まった白濁の膿。
 それをアカネの膣内で一気に吐き出した。なんとも言えぬ喪失感にアルバは喘ぐ。

「大丈夫。大丈夫だよ。アルバ」
 そんなアルバの背をどうどうと落ち着かせながらアカネは優しい声をかける。
「誰だって最初はそんなもんさ。そうやって色々と経験して上手くなってくもんだからね」
 初体験での早漏。恥じる必要など無いとアカネは諭す。
「今は何も考えないで気持ちよくなっちゃいなよ。わかんないことは全部、このあたしに任せてさ……」
 そう言ってアカネは腰を動かし始める。射精を終えて少し萎えしぼんだアルバの肉竿。
 それを秘鞘で扱きあげる。己が膣肉を自在に操るくのいちの秘伝。その技にアカネは自信はあった。
「うぁぁ……ねーちゃん……アカネ……ねーちゃん……あぐっ……うぁっ……」
 うねうねと滑る膣肉に飲み込まれながらアルバは喘ぐ。ぐにゅぐにゅ。アカネは腰使いは巧み。
 擦られている内に一度は射精を終えたアルバの陰茎も見る見るうちに活力を取り戻す。
 ねっとりと竿全体を絡みつくように扱かれる。かと思うとパクパクと膣口付近の肉でカリ首を責める。
 微妙にポイントをずらしながら与える刺激。変幻自在の肉の締め付けにアルバは喘ぐ。
「ふぁっ……はふっ……あっ……あふっ……アルバっ……」
 腰を動かしながらアカネも喘ぐ。こうしていて分かる。肉鞘を滑らせるごとに逞しくなるアルバの大剣。
 ぴっちりとアカネの膣肉と蜜に接して深く奥を抉る。ぞくり。たまらない。震えがはしる。
(いい男になるんだよ……こんなことぐらいしか……あたしはしてやれないけどさ……)
 夢に向かって純粋に突き進むアルバ。その真っ直ぐな成長がアカネも嬉しかった。
 そんな可愛い弟分へのせめてもの贈物。筆下ろし。それは男性にとって特別な意味を持つ。
 女肉を知る事で男は心身ともに次の領域へと進める。シルターンではそう信じられている。
 それをアルバが望まないのなら無理にするつもりはなかった。けれどアルバは求めてくれた。
 それが嬉しい。だから全力でつとめる。このかくも愛しい弟分に最高の体験を贈るため。
「ふぁっ……はぁっ……アルバっ……アルバぁっ!」
「うあっ……ああっ……アカネねーちゃんっ!!」
 ぐちゅ。ぐちゅ。ぐちゅ。対面座位。向かい合う姿勢で激しく二人は交わる。
 激しく動かされるアカネの腰。それにつられる様にアルバの腰も動いていた。
 練達者のアカネとのセックス。それはビギナーのアルバの技も引き上げる。
 身体で覚える腰使い。心に刻みこむ性の悦び。身体を通して伝わる。悦びの感じ方も愛し方も全て。
 豊かな乳房をアルバの顔に押し付けてアカネはよがる。時折、それをアルバの口に含ませる。
 ちゅるちゅる。再びの授乳行為。それに母性を刺激されながらアカネはまた喘ぐ。
 胎内をひたすら掻き毟るアルバの若竿。気がつけばアカネの方が夢中になっていた。
「ふぁぁぁぁぁあっ!アルバぁっ!アルバぁぁっ!!」
「うぁぁぁっ!ねーちゃんっ!ねーちゃんっ!!」
 ぐちゅり。ぐちゅり。うねりながらギュッときつく締めつけるアカネの膣肉。
 それはアルバの肉を痛いほどに搾る。肉鞘で鍛え上げられた大剣。そこに潜む力。
 存分に引き出す。ビクリ。ビクリ。ギンギンに膨張したアルバがアカネの胎内で暴れる。
「うぁぁぁああああ!ねーちゃんっ!オイラっ!オイラっ!!またぁぁっ!!」
「あふぁぁぁぁぁっ!!いいよ!射精しなっ!あたしの奥に全部ぶちまけちゃいなよっ!」
 そうして迎える抜剣の時。ゴツゴツと突き動かされる子宮の入り口。そこへ一気に流れ込む。
 乾坤一擲。アルバ渾身のブレイブアタックが。
「ふぁぁぁぁあああああああっ!!あくぁぁあああああああああああっ!!!」
 吐き出された熱い白濁の一撃。その直撃を受け止めながらアカネは激しく身悶えた。
 子宮を焼き付けるその熱量にアカネはよがり喘ぎ続けた。




「ホラホラ、何してんのさ。そんなんじゃ日が暮れちゃうよ」
「うわっ……ちょっと待っててくれよ。アカネねーちゃんっ!」
 聖王国へと続く街道。後続を無視してスイスイ先を進むアカネをアルバは必死で追いかける。
 きりきりと痛む腰。そのせいで思うように歩けないというのに。
(どうしてねーちゃんは平気なんだろう……)
 昨晩、激しくナニをしたのはアカネも同じだというのに。これが年季の差というヤツか。
 それともシノビの成せる業か。
(それにしてもアカネねーちゃんは相変わらずだなあ……)
 昨夜アカネと迎えた初体験。アルバにとってそれは一生忘れられそうもない強烈な体験となった。
 朝になってアカネと顔を合わせたとき、マトモにその顔を見ることが出来なかった。
 けれどアカネの方はというとこんな風にいつもの調子である。
(やっぱりアカネねーちゃんはアカネねーちゃんだよ……ハア……)
 アルバは胸の中で溜息づく。大切な童貞をアカネに捧げた事。そのこと自体に後悔はない。
 それでも少しぐらいは意識しては欲しかった。今、自分がアカネを意識している半分ぐらいは。
「おーい。アルバぁ。なにやってんのさあ。追いてっちゃうよぉ」
「頼むから少しは待っててくれよ。ねーちゃん」
 遙か前方で陽気に声をあげるアカネにアルバは情けない声で呻く。ひきつる腰痛。
 さいなまれながらヨロヨロと歩くアルバの様子にアカネはケラケラと笑う。
「ほんと情けないねえ。そんなんじゃ立派な騎士様にはなれないぞぉ。あははっ♪」
「うぅ……ねーちゃんの鬼ぃ……」
 いつもの調子でからかってくるアカネにうるうる涙を零しながらアルバはそれでも足を進める。
 一歩一歩。諦めることなく踏み込む。そんなアルバの足跡。目でざっと追いながらアカネはふいに笑う。
「ふふっ♪ねえ、アルバ……」
「なんだよ……ねーちゃん」
 ようやくにして近くまで寄ってきたアルバにアカネは声をかける。そしてこう言う。
「いい男になりなよ。このあたしを夢中にさせちゃうぐらい飛びっきりのいい男にさ」
「っ!?ねっ……ねーちゃんっ!?」
 ふいにそんなことを言われて一瞬、アルバの息は止まる。ドクン。昨夜も覚えた心臓のトキメキ。
 マジマジと自分を覗き込んでくるアカネを見つめてアルバはたじろぎ、そして。
「ぷっ……ははっ……あははっ……なーんちゃってね♪あはははははは」
「酷すぎるよっ!アカネねーちゃんっ!」
「はいはい。怒らない。怒らない。さあさあ、鬼さんこちら。ほらぁ、ダーッシュっ!」
「うわぁぁっ!また、置いてくっ!ねーちゃんの鬼っ!悪魔ぁっ!鬼畜外道ぉぉっ!」
 そんなやり取りを繰り返して帰路を二人は歩く。その先には分かれるそれぞれの道筋。
 けれどその間を繋ぐ確かな絆をその心に育んで。


~fin~

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