アティ×アズリア「んっ……!?」 不意に、アティに口付けされ、アズリアは何とも言えないような声を上げた。 二人の唇が、不思議な引力でも作用しているのでは?と思うほどに接していた。 その空間だけ時間が止まっているようだった。風は無く、人も居ない、音が無かった。 アズリアの腕時計が、12時を指した。 「ア……アティ!お前!ふざけるなぁ!」 アズリアはそう叫んで、アティの体を引き剥がし、あとずさった。時間が戻った。 「何が…ですか?」 アティは惚けた顔をして、目の前で顔を紅潮させているアズリアに問い掛けた。 「何が?じゃない!…アティ、返答次第ではお前であろうと許しはしないぞ!」 「意味がわかりませんねぇ」 これまたふざけたような態度で返事を返した。そして再び、一歩、二歩と、アズリアとの距離を縮めた。 「く…来るな…!」 怖かった。恐怖なのかもしれない。アティの不思議な威圧感に、アズリアは背中に氷を入れられた感触に近い物を感じ、必然的に弱気な態度を見せてしまっていた。 「はは、来ちゃいました」 さして体格に差が無いアティの体が、再びアズリアの体と重なった。 「や…」 「私…いつも夢見てたんです。いつかこうして貴女と抱き合いたいなって…」 アティの両腕に力が入る。お互いの体の距離が完璧にゼロになり、二人の胸が互いに押し合っていた。 「ア…アティ…、この事は忘れてやるから…今すぐ私を放すんだ…!」 「駄目です。今放したら、アズリア絶対に逃げるでしょ?だから駄目です」 「ば…っ」 馬鹿!そう叫ぼうとしたアズリアの唇に再び、柔らかい刺激が走った。 そして、アズリアの思考は完全に停止した。 「さっき言い忘れてた事…、私の夢の話…。 アズリアと抱き合いたいだけじゃなくて…エッチもしたいなって…」 おわり 目次 |
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