エロ魔剣シリーズ アティ×ソノラ『起きろ…』 真夜中。シャルトスの声で、アティは目を覚ました。 ぞっとして、ベッドから体を起こす。 以前淫らな人形として操られてからというもの、夜更けに彼女を呼び起こす剣の声は毎日のように続いていた。 継承しろ、という声。時には、淫猥な言葉をかけてくる。 そのたびに言葉にならない恐怖を感じるアティは、夜な夜なスカーレルの部屋へと赴いていた。 …今日もそうしよう。スカーレルの部屋に行けば、私は助かる…。 誓いのように自分に向けて語りかけて、アティは剣の声が聞こえないうちにベッドから抜け出し、部屋のドアノブに手をかける。 急がなくちゃ。焦って手に力を入れた瞬間に、声が聞こえてきた。 『今日こそは、逃がすまい…』 ひっ、息を精一杯吸い込むような形で、アティの体が止まった。 正確には止まったではなく…剣の意思にとめられてしまった。 こわばった体に、淡く光る剣が近づく。 『この前のように邪魔が入ってはいけないからな…。外に行くぞ。着替えて、私を装備しろ…。逃げようとしたら…仲間を殺す』 「…はい」 赤のワンピース、白いローブに帽子、腰には碧の賢帝を提げて、改めてアティは部屋を出る。 誰か助けて。願いながら、ゆっくりとした歩みで船の出口に向かう。 ゆっくり歩くことだけが、今彼女にできる唯一の抵抗だった。 ヤードの部屋の前、倉庫の前を通り過ぎ、バスルームで曲がる。 船長室からは、カイルとソノラの声が聞こえる。 声をかけたくても、かけることができない。 足の動きを一段と遅くして、どちらかが気づいてくれないかと願った。 しかし叶わない。船長室を背に、アティは海賊船のタラップを降りた。 「あらっ、センセ。これからお出かけ?」 海賊船の前の暗い道から、声が聞こえた。 背中が浮くほど驚くアティ。同時に、助かったという気持ちで、足が崩れそうになる。 「スカーレル…あの…」 また部屋に行きたいの、そう言おうとしたところで、剣がアティに話し掛ける。 『今ここで覚醒して、コイツを殺してやろうか?お前の手で…』 アティがぶるると震えた。助けてほしい願望を押さえて、アティは無理に微笑む。 「…なんだか、寝つけなくて。散歩でもしてこようかなって」 「こんな時間に?」 胸の奥がぎゅっと締め付けられた。バレる。 こんな時だけ、彼の勘の鋭さが恨めしい。 「あ…ス、スカーレル、もしかしてまたヤッファさんの所で呑んでたんですか?」 「ええ…そうだけど」 「そう…今度私も連れていってくださいね。それじゃあ、おやすみなさい!」 舌が回らなくなりそうな程早口で言う。 アティはもう一度微笑んで、足早に暗闇へと消えていった。 次第に遠くなる足音。 スカーレルは暗闇をにらんで、つぶやく。 「怪しいわ…」 そして乱暴にタラップをのぼって、船長室のソノラを呼ぶ。 「アティが外に出たの。追ってちょうだい」 「…どこに、向かうんですか」 勝手に動く手足は、暗闇の中を迷わずに歩いていた。 夜行性の召還獣の声も気配も、どこにも感じられない。不気味だ。 泣き出しそうな声でアティは、剣に聞く。 『行ってからのお楽しみさ。ああ、先に言っておく…今日はお前に、完璧な継承を求めないつもりだ』 「…じゃあ、何を…」 私はまだ私のままでいられる、そう思ってアティは少し安心した。 しかし、それでは今日することは一体…。 自分で操作できない足が勝手に走り出す。もう目的地は近いのか? 『我は気づいたのだよ。お前があの男とセックスしているとき…力がみなぎっていたことを…』 「!」 『だから今日はお前に…思う存分快感を与えてやろうと思ってな』 剣の笑い声が頭に響いて、アティの体が光る。真夜中では目立ってしまう、覚醒。 だけどここでは、誰も見ているものは居なかった。 走っていた足が止まる。 目の前に広がっていたのは、喚起の門。 「ここは…」 『ここなら邪魔も入るまい。それに、お前の体も自由自在だ』 その頃ソノラは…喚起の門で出た光に向かって、遅れて走り出した。 勝手に動く手が自分の服を脱がしていく間に、アティはシャルトスの言った事を反復した。 セックスが、剣に力を与えている。快楽が私を飲み込む手伝いをしている。 アティは「あの日」以来、何度かスカーレルと夜を共にした。 その度に剣が、力を蓄えていたなんて。 そうしてアティは、剣の心が自分の体に宿っていることを確認させられた。 まるで、がけの上から突き落とされたような気分だ。 手は最後の衣服、秘所を隠すショーツを滑らかな手つきで脱がせていった。 喚起の門の前で、散らばる衣装。 裸で剣を持ってたたずむアティは、さながら霊体のようだ。 『そうだな…ここに来てまで、一人で慰めるなど、寂しくてたまらないだろう』 「え…」 『せっかく喚起の門があるのだからな。お前を満たしてくれるペットを呼ぼう』 「それって…!」 喚起の門が淡く光る。人間くらいの大きさの影。 門の中から出てきて、召喚の儀式は滞りなく行われている。 『さあ、はじめるのだ…』 「や…」 自分を犯すためだけにやってきた召喚獣の姿を見て、アティは数歩後ずさりする。 「先生っ!」 背を向けた方向から呼びとめる声がして、アティは振り返った。 そこには召喚獣に銃をむけるソノラの姿が。 アティを襲おうとする獣に向かって、発砲する。 召喚獣がひるんだ隙に、ソノラがアティに近づく。 「ねえ、帰ろうよ!こんなところで…」 「…ソノラ、来ちゃだめ!」 肩を抱こうとしたソノラを、アティは突き放す。 握り締めた剣が震える。 「はやく…お願い、巻き込まれる前に帰って!」 「ど、どうして!先生も早く」 まごつくソノラの背後に、召喚獣が迫っていた。 「!」 人に似た形の召喚獣はソノラの肩に手をかけ、ソノラを組み敷こうとする。 ばん、と地面に背中を打ちつけるソノラ。 とっさに取り出す銃。目の前の獣を撃とうとするが、引き金は空回りする音だけ鳴る。 召喚獣は長い爪で彼女の服を引き裂こうと、腕を大きく振り上げる。 しかし、振り上げられた腕がソノラの体に落ちることはなかった。 「やめなさい!」 アティが剣を召喚獣の腕に向かって振る。 召喚獣は低くこもったうめき声を出して、森の方へと逃げていった。 「先生…!」 涙声を出すソノラに、アティはにっこりと笑って見せた。 「危なかったね。ほら…帰りなさ…あっ…くぅ…!」 ソノラを船に帰そうとするアティを、突然の頭痛が襲う。 『その女も帰すものか』という剣からの抵抗だった。 手から剣が滑り落ちる。意識が飛びそうになり、アティは必死で自我を保とうとする。 だが体はすでに剣のもので、力なく動く腕が、ソノラの服にかかる。 「ごめんなさい…ごめんね…ソノラ……」 長袖のジャケット。ヘソを見せる大胆な服を、ホットパンツを、ブーツを、下着を。 迷いのない手つきで脱がせて、ソノラはアティと同じ格好になってしまった。 「ごめんね…こんなこと言っても言い訳にしかならないかもしれないけど…体が…体が、シャルトスに操られているの。ごめんなさい…私に、もっと力があったら…」 涙し、悔やみながらも、アティの手はソノラの発展途上の胸をもんでいた。 「…っ…あ…先生…」 「『ふふ…感じてるの…?』」 柔らかい胸に指を這わせて、軽い力でこねるように揉む。 普段のアティならそんな技巧的な事はできない。だけど、今はこの体は自分のものではない。 掌全体で乳房を揉みだし、指先で突起をはじく。 「あっ!…くぅ…」 ソノラは感じてきているのか、艶のかかった声をあげる。 「『そう…その感じ。もっと感じていいのよ…。』」 「…んっ…」 眉をよせて、声を出すまいと必死で頑張るソノラ。 性経験の乏しい彼女にとっては、耐え難い快感だろう。 剣がアティの口を通じて、ソノラに卑猥な言葉をかける。 「『こんな調子じゃ…あそこもぐちゃぐちゃかしら…』」 そして、ソノラの秘部に手を伸ばす。 彼女のそこは、なにも隠すモノがない。アティの手は容易く、茂みの中に入っていく。 「あ…ひぃっ」 湿り気を帯びているソノラの秘所。アティの指がすじをなぞる。 「『可愛いわ…もっと声だしていいのよ』」 ぬめりに誘われて、指が淫核を刺激する。 「!!」 「『気持ちいいのね…じゃあそろそろ、私の方もお願いしていいかしら』」 ソノラは言われるまま、アティの胸に吸い付いていた。 甘い汗とソノラの唾液が混ざって、肌が濡れる。 「先生…この赤いあざみたいなの…」 「!」 驚いたアティに、ソノラは笑う。 「隠さなくったっていいよ。声、筒抜けなんだから」 不意に、魔剣の声が響いた。 『そろそろか』 愛撫を受けるために放していた剣が光る。 『もう一度呼ぶ』 つづく 前へ | 目次 | 次へ |
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