孤島のバカンス その1「アズリアは優秀ですから、軍人になればすぐに昇格できそうですよね」 放課後の教室の片隅、たまたま残っていたアズリアにアティが話し掛けたことから会話が始まっていた。 ライバル視している相手にそのような事を言われても、プライドの高いアズリアにとってそれはある意味嫌味ととれるものであった。 「それはお前にも言える事じゃないのか?……それに、お前みたいなタイプほうが部下の男達にも慕われそうだしな」 「そんなことないですよ」 いかにも男受けのよさそうな、と嫌味を含んで言ったつもりが、アティはそれに気づかず照れくさそうに笑う。憎らしいほどに人のいい性格。自分にはないものを持っているアティが妬ましくあり、それと同時に――憧れる存在でもあった。 「もしアズリアが私の上司になっちゃったらどうしましょうか!?フフッ、同期のよしみで特別扱いなんてしちゃダメですよ?」 「馬鹿を言うな。誰が仕事の場でお前を特別扱いなど」 冗談ですよ、と楽しげに微笑むアティ。その様子にフンと悪態をつくが、心の隅ではそんな風に笑う彼女の姿を見るのが楽しみだった。 「――それにだな」 ぐいと顔をアティに近づけるアズリア。きょとんと自分を見つめるアティに鼓動が高鳴る。 「――そんな事で特別扱いなどしなくとも、今の時点で……私にとってお前は充分特別な存在なんだよ」 「えっ……?」 ……言ってしまった。頬がみるみるうちに熱を帯び始めているのが自分でも分かった。 生まれて初めての告白。 それも同性相手だった。 これにはさすがのアティも引くだろうと覚悟を決めた上での事だった。 アティはしばらく黙ったままアズリアを見つめる。直後、アティは極上の笑みを浮かべた。 「エヘヘッ、未来の隊長殿の親友だなんて、光栄ですね」 「………………」 見事なまでの玉砕だった。机に顔を突っ伏し、うめくアズリア。 「どうしたんですか?隊長?具合でも悪いんですか?」 冗談交じりに尋ねるアティ。その無邪気さが残酷だった。 「……その隊長っていうのはよせ、私はただの軍学校生だ」 重い顔を上げ、アティの顔を見る。瞬間、アズリアの顔が硬直した。 「なッ……!?」 アティの頬にエラが張り、華奢だったその体はゆうに二倍はあるのではないかと思うほどに逞しくなっている。豊満だった胸は厚い胸板へと姿を変えていた。 「誰だお前ェ―――ッ!!?」 ガタガタと椅子ごとあとずさり、絶叫するアズリア。 「……何をおっしゃってるんですか?隊長」 目の前のリィンバウム外生命体は、野太い声を発し、訝しげにアズリアを見つめる。 さらりと美しい赤髪をかきあげる仕草に吐き気をもよおした。 「お前はアティじゃないだろ!?誰だ!?」 「寝ぼけてるんですか?私は……」 ごつごつとした手がアズリアの肩を掴み、その物体は自分の顔をアズリアに向けて勢いよく近づける。荒い鼻息が彼女の顔に吹きかかった。 「うわっ、やめろ……やめてくれ……」 「アズリア隊長……」 「い、いや、お願いッ……!!」 目に涙を浮かべ拒否するが、「アティらしき形をしたモノ」はそれに構うことなく近づいていく。 唇が、鼻先がかすむ。 「うわあああああああああああ――――――ッッ!!!!」 アズリアは絶叫と共に起き上がった。 そこはテントの中。剣を求めて乗り込んだ島の駐屯地。 外からは朝を告げる小鳥のさえずりが漏れていた。 「……夢か……」 額から頬にかけて吹き零れるように流れ出ていた汗を拭い、アズリアは息を吐いた。 学生時代の夢をこんな時に見てしまうなんて。 夢なら自分の願望が多少は反映されていてもいいはずなのに、その内容は現実通りの結果だった上に、最後辺りは不気味な脚色までされていた。 「アズリア隊長」 「ぎゃあああッ!!」 夢の中の化け物と同じ声が聞こえ、再び絶叫したアズリアは思わずその方向へ振り返る。 ……その先にいたのはギャレオだった。 「さっきから何度も呼びかけていたんですよ。酷くうなされていたようでしたから」 それはお前のせいだ、と言いかけた口をあえて閉じる。 あの化け物が何故か見覚えがあると思っていたら、まさかこの男だったとは。 いつもは頼れる男ではあるが、ああいう形で自分の夢の中に登場するのだけは勘弁してほしいと思った。 「……何だ?昨日は私が見張りをしていたから眠いんだ。まだ予定の時間ではないのだろう? もうしばらくゆっくりさせてくれ……」 部下たちに毎晩交代で見張りをさせ、自分だけが毎晩時間通りに眠りにつくという行為をアズリアはあまり快く思わない。上司たるもの、部下に見本を見せてこそ上司たりえるのだという彼女の考えで、アズリア自身も見張りを行っていた。 気だるげな彼女の返事に、ギャレオは困ったように頭をかく。 「ですが、部下から急な情報が入りましてね」 「ん~……情報……?」 「例の海賊どもが、どうやら浜辺に集まって何かを始めているらしいんです」 「――奴らがッ!?いやむしろアティが!?」 掛け布団を蹴り上げ、宙に浮いたそれを拳で叩き伏せるとアズリアはすくっと立ち上がる。 地面にぐしゃぐしゃに落っこちた布団に同情しながらも、ギャレオは頷いた。 「ええ、もう一組の海賊と共に。今後の為にも偵察は向けておくべきかと」 アズリアは顎に手を当て、しばらく黙りこむ。 「この島から脱出でも試みるつもりか?無駄な事を……」 「どうします?隊長」 「――わかった。今すぐ兵を出すぞ、ギャレオ。だが調査を進めるのは大人数では面倒だからな、お前と私が直接乗り込もう。部下たちは森にでも待機させておけ」 「はっ!」 さっそうとテントを抜け、ギャレオは響く声で部下に指示を出している。 特別有能というわけではないが、アズリアは彼をこの部隊では誰よりも信頼している。 頭が固いと言えばそれまでだが、その誠実でまっすぐな性格は、アズリアにとって自分にどこか似た部分を感じる存在だったのだ。 ふと、そばに置いていた鏡を手にとる。 ボサボサの髪。ノーメイクの色気のない顔。アズリアは慌てて髪を手ぐしでとかすと、自分の顔を凝視した。 「…………」 しばらく見つめたあと、わずかに頬を赤らめる。 「……あいつに久々に会うんだしな。化粧ぐらい……しておくか」 一方的な脳内デートの始まりであった。 「ほれ、できましたでぇ~!」 カイル一家の海賊船のそば。オウキーニは鉄板の上に乗せた麺にソースをふりかけ、手際のよい仕草でそれらを箸でほぐしていた。 麺に混じり、その中にはキャベツやニンジン、肉などが混ざっている。 「これがシルターン自治区伝統の『焼きそば』ですわ!」 湯気と香ばしい音が混ざり合う中、オウキーニは自信たっぷりにそれらを皿に盛っていく。 隣りでジャキーニはその匂いを吸い込みながら、満足げにうなずいていた。 「がっはははは!今日はオウキーニがおぬしらの為にわざわざ作ってやったんじゃからな! 感謝して食うんじゃぞ!」 「もっちろん!わあ~っ、美味しそ~!!」 鉄板を覗き込み、瞳を輝かせながらソノラは舌なめずりをする。 「ちょっとソノラ。そんなに身を乗り出して、ヨダレこぼさないでよね」 彼女の黄色いワンピースの水着を背中から引っぱり、スカーレルは顔を引きつらせた。そんな彼は薄手のシャツに短パンというラフな格好だ。 「――それにしても、今日はホントに海水浴日和だなぁ。メイメイさんが水着なんて売ってやがるしよ」 ソノラが着ている水着にカイルは目をやる。それはたまたま店に寄ったときにソノラが見つけて衝動買いしてしまったものであった。 せっかくだから泳ぎたいという彼女の意見に連れられ、結局安かった事もあり、ヤードとスカーレルを覗く仲間達は水着を購入したのだ。 「アタシは焼けるのヤだしぃ。……あ~っ、この焼きそば美味しい!前に帝国に寄った時の海の家を思い出すわね」 「私は泳ぐのが苦手ですから……。オウキーニさん、お茶はありますかね」 大型のテントの中で、オウキーニの焼きそばを食べながらスカーレルとヤードは答える。 それを海水パンツ姿のカイルが呆れたように眺めていた。 「ったくジジくせぇなー。たまにはハメ外して思いっきり遊んでみるのもいいじゃねぇかよ」 「それじゃあカイルがお好きにどうぞ」 すでに空になった皿を横に、スカーレルはさっそく口紅を塗りなおしている。 つまんねえ奴ら、とカイルがつぶやくと、そのまま彼は船の甲板へと視線を向けた。 「……なあ、先生はまだ着替えてんのか?」 スカーレル達にそう言っているカイル自身、本当はそれほど海水浴を楽しみにしているわけではなかった。 カイルが心待ちにしているものは、ただひとつ。 「――先生の水着はね、あたしが選んであげたんだよ」 自身ありげにソノラが言う。 「先生が水着選ぶの恥ずかしいって言うからさ、このあたしが直々に一番似合いそうなのをひとつねっ」 「…………ッ」 荒くなる鼻息を押さえつつ、カイルはアティの到着を待ちわびる。 「真っ黒スケスケなすっげぇハイレグビキニだったりして!!あははっ」 笑みを浮かべながら、カイルに同意を求めるように視線を投げかけるナップ。 このガキと同類とは思いたくない、と内心思ったが、自分に対して否定できないのが虚しかった。 「……あの、お待たせしちゃいました。あはは……」 照れるような小声。 振り返ると、そこには少し大きめの上着を羽織ったアティが立っていた。 裾から覗く白い足が、彼女が水着を着用しているという事を知らせる。 「ほら先生、あたしが選んだ水着をみんなに見せてあげなよ!」 まるで自分のことかのように嬉しそうにソノラが言う。 「う、うん」 アティは少しとまどいながらも困ったように笑顔を浮かべると、上着を肩からゆっくりと下ろしていった。 瞬間、おおっと歓声があがる。 白い肌に合わせたような純白のビキニ。それは彼女の華奢な腰を際立たせ、太ももを惜しみなく晒している。豊満な胸は寄せ上げずとも、それだけで美しい谷間を作り出していた。 「う……」 ゴクリ、とカイルの喉が上下に動く。 想像以上の出来栄えだ。 ヘタに派手な水着よりも、清楚なアティにはこのようなシンプルな物が一番よく似合っていた。 「すっげぇ先生!セクシーボインターッチ!!」 さっそく飛びついたナップが、アティの胸の頂点に指を押し込む。彼女の弾力溢れる胸に、ナップの指先はきゅうっと埋まっていった。 「きゃっ!ちょっと、ナップ君!?」 「へっへー、早いもん勝ちだい!」 してやったとばかりに喜びながら飛び跳ねるナップ。 「あっははははは早いもクソも勝ちも負けもねぇだろうナップどうなんだいエェ?」 「ぎゃああああああああ」 カイルの大きな手が、視線の下で走り回るナップを捕らえる。ミシミシと頭蓋骨の軋む音を立てながら、その小さな頭を握り締めていった。 「こ、殺さないであげてくださいカイルさん」 慌ててアティが止めに入ると、カイルは舌打ちし、命拾いしたなと小声でつぶやく。 「……………は、あはは」 彼のその瞳の奥に宿る紅い光に、ナップは有無を言わさず黙り込んだ。 「さあ、張り切って泳いじゃうぞーっ!!」 「おおーっ!」 パタパタと駆け足で海に向かっていくソノラとナップを、アティは微笑ましげに眺める。 「先生、俺達も行くか?」 手招きするカイルに、テントの下にいたアティは嬉しそうにうなずくと、横に置いていたトレードマークの白い帽子をかぶり立ち上がる。さっそく彼の元へ駆け寄ろうとした時、ふいにスカーレルが手を引いた。 「ちょっとセンセ」 「はい?」 アティがスカーレルの隣りにしゃがみこむと、彼はポケットの中から小さなビンを取り出す。 「これ、昨日言ってたやつ。アタシの部屋に残ってたからあげるわ」 「いいんですかっ?」 それじゃあさっそく、とアティがフタを開けようとすると、スカーレルはすぐにそれを制した。 「まだ使っちゃダメ」 「何でですか?早く使わなきゃ意味ないのに……」 不満げに口を尖らせるアティにスカーレルは微笑すると、いつものように彼女の耳元に口を近づけ、そっと囁いた。 「……こういうのはね?オトコに使ってもらうのよ」 「?……はぁ、そうなんですか……?」 「何かこうしてると平和だなって気がするよな、ホントは全然そうじゃねぇのに」 「ふふ、そうですよね」 目的もなく、アティはカイルの後をついて砂浜を歩いていた。 海で泳ぐのもいいが、まだしばらくの間はカイルと二人きりでいるのもいい。 カイルはいつもさりげなく歩幅を合わせて歩いてくれている。そのさりげない気遣いがアティには嬉しかった。 「……この戦いが終わったらよ」 「?」 カイルの足が止まる。あやうくその背中にぶつかりそうになるが、間一髪、アティも立ち止まった。 「また海に来てぇな」 「ええ、またここに――」 「いや、そうじゃなくて」 首を横に振ると、カイルは振り返る。 「二人でさ、海のあるトコに旅行してみたいんだ。そうだな……例えばファナンとか。あそこには俺の兄弟も住んでるんだぜ。一週間くらい、どうだ?」 「りょ、旅行、ですか」 アティの頬が赤らむ。友人とも旅行など行った事がないという自分が、初めて異性に誘われたのだ。 一体そこに行ってどう過ごせばいいのかもわからない。 それに、二人で宿をとるという事は、やはり――。 ふいに目の前のカイルが上半身裸だという事に気づき、アティの顔がますます赤らむ。 (い、一週間って、そのあいだ毎晩するワケじゃないよね……。でも、カイルさんって体力底無しだし。あ、でもどうなんだろ。アレが普通なのかな?私、男の人はカイルさんしか知らないからなぁ……) 「……おい先生、大丈夫か?顔真っ赤だぜ」 意識が現実に戻った時には、カイルの顔が真正面にあった。 「ずっと日差しの下を歩いてたからな……。ちょっと休むか?」 そばにあった岩陰を指差し、カイルが尋ねる。 「そ、そうですね」 今は少しでも心を落ち着かさなければ。アティは頷くとすぐさまそこへ向かって歩いていった。 小さな岩陰だったが、座り込めばちょうど影が頭の上まで伸びている。 日陰の心地よさに目を閉じると、アティはポーチに先ほどスカーレルから貰ったものが入っていた事を思い出した。 (たしか、カイルさんに使ってもらえって言ってたよね) こそこそとポーチの中を探るアティをカイルが覗き込んでいると、彼女はそこから小ビンを取り出した。 「何だそりゃ?」 「これはですね、日焼け止めのローションです」 てんてんと手の平にビンを逆向けて落とすと、中からトロリとした液状のものが出る。 アティはカイルを見ると、笑顔でその手を差し向けた。 「カイルさん、私の背中に塗ってください」 「えっ」 一瞬驚いたようにカイルが聞き返す。 「だって、自分じゃ塗れませんし」 「まあ……それもそうだよな」 言われるままにカイルは彼女の手の平からそれを拭い取り、背中へと塗りつけた。 「あははっ、ちょ、カイルさん、くすぐったいっ……」 アティが笑うも、ちょっと黙ってろと苦笑しながらカイルは続ける。 手の平の分を塗り終えると、また新たにカイルはローションをとった。 「…………」 それを塗っているあいだ、次第に会話は消えていった。アティが背を向けた状態のせいもあるのだろうが、何となく気まずい。 ローションをのせたカイルの手の平だけが、アティの背中でぬるぬると滑っている。 「なあ、腕も塗っといたほうがいいよな?」 「は、はい……」 ぬるっとした両の手の平が、アティの肩から腕にかけて撫でるように滑る。 ぴくり、とアティの肩が震え、頬が熱を持ち始めた。 その動きに気づき、カイルの手が止まる。 「先生、もしかして今ので感じてたりとかは……」 「し、してませんっ」 慌てて首を横に振るアティ。すると、カイルの手は背後からするりとアティの正面に回りこみ、下腹部を撫で上げた。 へそのくぼみを指でなぞり、さらにわき腹を撫で上げる。 「――ちょ、ちょっとカイルさん!?あの、そこは自分で塗れますからっ……」 「遠慮すんなって。せっかくだし、俺がやっとくよ」 「う……はい……」 手のぬめりが少なくなると、カイルはまたローションをのせる。 少し多めにとり、アティの背後で何やら楽しそうに笑うと、その両手を擦り合わせた。 くちゅくちゅと手の間で音を立てて、ローションがまんべんなく手の平に塗り広げられる。 その音を聞きながら、アティはなぜか自分の頬がどんどん染まっていく事に気づいた。 「それじゃあ、これで終わりにしとくか。もうあんまり残ってねぇし」 カイルはそう言うと、指でブラジャーの下側をなぞり始めた。 「あっ……!?」 アティが何か言おうとする前に、その両手はブラジャーを押し上げ、内側へと入り込んでいく。 白いブラジャーの下にカイルの手の甲がくっきりと浮かび上がり、中の乳房は彼の両手に包み込まれてしまった。 「カ、カカカカカイルさんっ!!」 ぬるぬるとした手の平が乳房を揉みしだき、上下に擦るように撫で始める。 アティのうなじに息がかかると同時に、彼の舌先がアティの耳の裏をなぞった。 「んふッ……!」 かすかな声を漏らし、ビクリと反応する。 濡らし具合を確かめるように親指と人差し指を擦り合わせると、その指でわずかに突起した乳首をつまみあげる。濡れた人差し指がそのまま乳首を擦り、アティの感度を高めていった。 「あッ……ちょ、カイルさッ……?そこは日焼け、しないと思うんですけどッ……」 「ああ、分かってるぜ」 楽しそうに頷きながら、カイルは胸への愛撫をやめない。彼がブラジャーの中で指を動かすたびに、くちゅっと音が立つ。 「いや、まあなんつうか……興奮してきちまってよ」 快感に耐えるアティの額から汗が伝う。目に入りそうになりとっさに目を閉じるが、その汗をカイルはペロリと舐め取った。 「き、汚いですよっ?私の汗なんか舐めたらっ……!」 「何言ってんだ。今さらアティの汗舐めたくらいじゃ、汚ねぇなんて思わねぇよ」 カイルの言葉に、アティの頬が一気に紅潮する。 「それにほれ、アティだってここ」 つう、とカイルの指がアティの股の、わずかに膨らんだ部分をなぞる。湿り気を帯びたそこは、すでに性的な興奮を認めざるを得ない状況となっていた。 「で、でも……あッ……」 ゴッ!! 突然アティの背後で聞こえた鈍い音。 それと同時に、背中のカイルの頭ががくんとアティの肩に垂れ下がる。 「!?」 カイルは後頭部を腫らし、鼻血を流して白目をむいていた。 「な、なに!?」 瞬間、背後の岩陰からさらに伸びる人影が。その人物は影の態勢から察するに、武器を振りかざしていた。 (――まさか、帝国軍――!) アティの背中を冷気が走りぬける。 ――カイルを守らなくては。 丸腰でこのような姿だが、やるしかない。アティは覚悟を決めると、武器をかざすその影の正体に向けて振り返った。 しかし。 「……あ……」 次の瞬間、アティの表情は凍り付いていた。 アティの予想は当たっていた。だがそれは。 「………私が必死でお前を探していたあいだ、お前はこのようなケダモノ男と野外でローションプレイか。い~いご身分だなぁ?――アティ!!?」 顔をタコと見間違えるほどに紅潮させ、ファンデーションを汗で流す帝国兵。 その唇はぶるぶると震え、怒りに満ちていた。 見間違えるはずがない。 彼女は――。 「ア、アズリア……!?」 (で、アズリアの言うローションプレイって、何なんでしょう……?) つづく 目次 | 次へ |
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