孤島のバカンス その3日差しが照りつく中、カイルとギャレオが見つめる先に二人の女が向かい合っていた。 軍服を身にまとったアズリアは、その暑さに額からとめどなく汗を流し、目の前のアティを見つめている。 先ほどの行為の名残か、アティの白い肌にはわずかに赤い跡が点々と残っていた。 それを隠すかのように両手で自分の体を押さえ、困ったような表情でアズリアを見つめ返す。 「あ、あの、外に出たのはいいんですけど、これからどうすれば……?」 「決まっているだろう!私は今からお前と戦うつもりでいる。ここで出会っておきながらむざむざと逃がすわけがないだろう?」 アズリアの言葉に、アティはわずかに表情を曇らせる。 わかっていたことだった。かつては同じ道を目指し、よきライバルとして共に歩んでいた学生時代。 だが今の彼女と自分は、正反対の志を秘めた敵対する存在なのだから。 「でも、何も今日戦わなくてもいいじゃないですか!?だって――」 「それは貴様が海でのうのうと遊び惚けていたいからだろう。さてはこの私から逃げるつもりか?」 図星を突かれ、アティは口ごもる。 日常の心の疲労を癒そうと考え、アティは仲間達とともに海に繰り出した。今日だけは辛い事を忘れ、楽しさを求めカイルと二人きりの時間を過ごしたいと思っていた。 そんなさなかにもっとも厄介な帝国兵、しかもアズリアと対面するという事になってしまったのだ。 それも一度目は前戯の途中。……さらに二度目は本番の真っ最中。 戦うのが嫌だという理由を抜きにしても、正直今すぐにでも逃げ出したい思いであった。 「この期に及んでまだ貴様は戦いを拒むと言うのか!?抜剣するのは嫌だが、男の抜剣なら食らいたいとほざくか!?」 「だ、誰もそんな事は言ってませんよ!」 顔を赤らめて否定するアティに向け、アズリアの指が鋭く指す。 「黙れ!黙れ黙れダマレェッ!!そこの低学歴海賊男に抜剣されて、貴様は覚醒してしまったのだ! 男に腰を振る卑しい雌犬へと……ぁ……」 「アズリア隊長ッ!!」 ふらりと体を傾けるアズリアを、ギャレオは慌てて受け止める。そして素早くポケットから錠剤を取り出すと、それをバラバラと彼女の口へ放りこんだ。 膨らんだ口を閉じ、無言でボリボリと錠剤を噛み砕くアズリア。やがてゴクリと飲み干すと、ギャレオに支えられながら態勢を取り直した。 「ふぅっ……、とにかく逃げる事はこの私が許さん。どうしてもこの場から立ち去りたいと言うのなら、私を倒してからにするんだな」 そう言うと、アズリアは腰に帯びた剣に手をかける。 先ほどカイルを殴りつけたため、鞘は中心のほうがやや歪んでいたが、中の剣にはまったく影響などないだろう。 アティの眉がわずかに動く。だが彼女が何か言うよりも早く、カイルが一歩踏み出した。 「おいっ、卑怯だぞテメェ!アティは今丸腰なんだぞ!?そんな状況で正々堂々、とかぬかすんじゃねえだろうな!?」 「……ふっ」 アズリアは目を閉じ、鼻で笑う。ゆっくりと目を開けると、カイルに哀れむような視線を投げかけた。 指先を横に振り、小首をかしげる。 「これだから小卒以下の低学歴は。我ら誇り高き帝国軍人が、そのようなハンデを前提に戦いを挑むとでも?貴様ら海賊が戦う手段を持たぬ民間人を襲う行為と、同列と見なさないでもらおうか」 「なッ、ななななな!!」 アズリアのトゲを含みすぎた言葉に、カイルの顔が怒りで赤面していく。こめかみからは血管が浮き上がり、今にも赤い噴水が出現しそうなほどの状況だ。 「アズリア!カイルさんにそんな事を言わないでください!」 今にも殴りかからんとするカイルを何とか押さえながら、アティは頬を膨らませる。 「うっ……」 学生時代にアズリアが彼女をからかった時に見せた表情とまったく同じ。わずかに眉をそらせ、赤らんだ頬をプゥッと膨らませている。 可愛い。いつ見ても常識では考えられないほどの愛らしさを、アティの顔は作り出している。 瞬間、アズリアの意識が遠のいた。 「アズリア隊長!!」 再び倒れ込むアズリアを受け止め、また錠剤を口に投げ込んでいる。前回の二倍の量の錠剤をリスのような頬で噛み砕きながら、アズリアは目を見開いた。 「クソッ、これでは精神安定剤がいくつあっても足りん……」 「隊長、ご自愛を……」 不安げにアズリアを見下ろすギャレオ。しかしアズリアは「私の事は心配しなくても大丈夫だ」と優しく微笑みかける。彼女がそのような薬を必要とする理由は、軍人としての過酷な仕事の内容とは何ら関係ないのは言うまでもないだろう。 「――さて、話は戻るが」 体をアティの方へ向けると、アズリアは続ける。 「私はお前が何と言おうと、今からお前と戦うつもりでいる。逃げるなどという愚かな選択肢は存在しないものと思え」 「アズリア……」 「だが、先ほども言った通り、丸腰の相手に剣を振るう事などはしない。ここはひとつ、お前の望む『傷つけない方法』で勝負をつけてやろう」 「えッ……!?」 アティは目を丸くして驚きの声をあげた。 いつも好戦的な彼女からはまず聞く事のないような言葉。 「どんな方法なんだ?その傷つけないやり方ってのは」 「言葉の通りだ、低学歴よ」 さらりと髪を撫で上げ、アズリアが答える。さすがにカイルも言い返す気力を無くしたのか、口の端を引きつらせながらも黙っている。 アズリアがギャレオに目配せすると、彼はいそいそとつま先で彼女の周囲にやや大きめの円を描いた。そして中心に二本の線を引く。ギャレオが立ち退くと、アズリアは自身の橙色が鮮やかなコートに手をかけた。 「簡単な事だ。同じ戦いでも、それが『争い』ではなく『勝負』であればよいのだ。――さあ、思う存分戦おうではないかアティ!シルターン自治区にまつわる伝説の格闘技、帝国で共に過ごしたお前なら知っているだろう!」 ばさぁっ、と彼女のコートが快晴の大空に舞う。風に揺られ、静かにそれが砂の上に落ちた時。 ――アティとカイルは彼女の姿に驚愕した。 「……フフ、あの頃を思い出すだろう、この姿は」 「……ア、アズリア……」 それは紺色の地味な水着だった。 彼女のよく言えばスレンダー、悪く言えば起伏に乏しい胸のところには、白い布地に色褪せたマジックで『アズリア』と書かれている。 少し窮屈そうにうかがえるその水着は、まぎれもなく――。 「学生時代のスクール水着じゃないですか……」 「黙れ!!」 アズリアは叫ぶと、ギャレオの描いた円の中で砂を掴み、それを勢いよく振り撒いた。 両膝に手を添え、軽くしゃがみ込むと、その手を眼前でパンと叩く。 「……」 その光景に、その場の三人は息を呑んだ。 額を伝う汗は、今の暑さからきたものではないだろう。 帝国育ちのアティとギャレオは当然、格闘好きのカイルも、アズリアのその『構え』が何かを理解し、口元をひくつかせる。 「さあ、勝負だアティ!肌と肌のぶつかり合いは争いではない!清いスポーツだ! 戦うぞ――この 相 撲 で!!」 ……断れなかった。アティはアズリアに言われるまま土俵に立ち、彼女と睨みあっていた。 「だってアズリアが、戦いを嫌う私の為に一生懸命考えてくれた方法なんですよ!?」と アティが必死の目でカイルに告げたのだ。カイルはすでに誰にもツッ込みを入れる気が起きず、むしろ今猛烈にツッ込みたいのはアティのお股だけだと心の中でつぶやき続けていた。 「はっけよーい……のこった!」 「アティ、覚悟ぉぉ!!」 ギャレオの掛け声と共に、アズリアは地を蹴り、猪の如き勢いでアティへと向かう。 「えっ!?」 突然の攻撃にアティはうろたえ、その体はいとも簡単にアズリアに抱きすくめられる。 「……隙だらけだな、アティ。『コートの女神』と呼ばれた昔のお前はどこに行った?」 「私はバレー部だったんですから相撲とは何の関係もありません!『灼熱の雌熊』と呼ばれた女子相撲部主将のアズリアに勝てるわけがないでしょう!?」 「ッ……」 アティの的を射た言葉に、アズリアは苦い表情をかすかに浮かべる。学生時代、アティと抱擁したいが為だけに相撲部に入り、アティを幾度となく勧誘した。 だが彼女はそれを受け入れず、バレーに青春を捧げていたのだ。悔しさと彼女に対する反発で、アズリアは相撲を続けた。 ――その結果、彼女の張り手は岩をも砕くという噂が広まり、一部ではアティに近づくものは全てミンチと化すと噂され、周囲から恐れられる事となってしまっていたのだ。 「この程度か!?剣がなければお前はただの女だったのか!?本気を見せてみろ、でなくば一瞬で決着がついてしまうぞ!?」 「あうぅっ……」 アズリアはわざとアティの背中に腕をまわし、彼女のみずみずしい肌を抱きすくめる。 羨ましいほどの豊満な胸がアズリアの胸を圧迫した。 「ちょ、アズリア……?」 さらに手は背中から腰へと伸び、柔らかな太ももに進んでいく。アティは思わずひるむが、唇をきゅっと噛むと、必死でアズリアに抵抗しようと腕を掴む。 だが素人の攻撃などアズリアにとっては攻撃と呼べるような代物ではない。 「その程度か!」 アズリアはまわしを掴むように、アティのビキニパンツの腰部分を掴み込む。だが細いそれはアティの体をとらえるには頼りなさすぎ、その生地だけがアズリアの手でぐいぐいと伸ばされていた。 「――!?ア、アズリアやめて!お、お尻がッ!!」 「勝負に待ったもやめてもあるか!」 ほぼ限界までアティのビキニパンツは引き伸ばされ、それはまるでTバックかと思うほどに彼女の丸いお尻をさらけ出していた。 お願いだから、とすがりついてくるアティの胸の突起が、スクール水着に擦れる。 瞬間、鼻息の荒くなったアズリアの手が力を増し、さらにアティのビキニパンツを引き上げた。 「きゃあああッ!?」 ほぼ紐状となったそれは、もうパンツと呼べる代物ではない。アティの股間は中心に申し訳程度の紐ほどの布が食い込んだ状況で、その布地を挟むように、彼女の薄紅色の花弁が顔を除かせている。 「…………」 ギャレオはすでに審判の役割を放棄し、顔を赤らめて目を閉じていた。 一方カイルはいつの間にやら土俵の間際で胡座をかき、今にも土俵から足を踏み外しそうなアティのちょうど真後ろでかがみ込んでいる。 「いやあ、第三者の視点でこういうアングルで見るのも悪くねぇな……」 「み、見ないでくださいカイルさん!」 顔を赤らめながら叫ぶアティに、カイルは楽しそうに含み笑いを漏らす。 「何言ってんだよ。いつもはパンツすら履かない状況で俺に大事なコト見せてるじゃねぇか。もっとすげぇ体勢で」 ふに、とカイルの指先が、あらわとなったアティの花弁を突く。 「あふッ……!」 先ほどまで散々カイルに貫かれていたそこは、わずかな刺激にも異常なまでの反応を示すようになってしまっていた。彼のペニスとの強烈な摩擦のおかげで鮮やかに充血したそこは、弧を描くように撫でまわされる指の感触に、新たな蜜を溢れさせる。 「お、おいお前たち!?勝負の最中にいきなり何をやって――」 「あッ……あはぁ……」 アズリアの声などすでにアティにとっては上の空であった。艶かしい吐息が、恍惚とした表情とともにアズリアに向けられる。アズリアに抵抗しようと踏ん張っていた体はすでにその力を失い、倒れるように彼女にのしかかっている。 思わず目線の下に座るカイルをアズリアが睨みつけると、それに気づいたカイルはニヤリと八重歯を覗かせて笑みを浮かべた。 何度も俺たちのジャマをしてくれたお礼だぜ、とでも言うかのように。 「カ、カイルさんっ!やめてください、こんなところでッ……」 「じゃあやめちまうぞ?」 「えっ、あぅ、そんなぁ……」 アズリアの瞳には、アティの花弁の中心にカイルの長い指がうずまり、粘液を絡めては膣内から引き抜かれている様子がまじまじと映し出されている。 「き、貴様らッ……神聖な土俵の上でッ……!」 その光景にしばらく目が釘付けになっていたアズリアは、ようやく震える声で言葉を漏らす。 「土俵の上じゃねぇ。土俵外だ」 「ふ、ふざけるなぁああッ!!」 ぷつ。 目を閉じていたギャレオは、彼女に精神安定剤を与える事ができなかった。 次の瞬間三人が見たものは、白目をむいたまま砂の上に仰向けに倒れているアズリアの姿であった――。 「あ……」 「……さすがに調子に乗りすぎちまったな……」 つづく 前へ | 目次 | 次へ |
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