two short story of KID
&SHINICHI
「君の欲しいものは?工藤新一君。」
ビルの窓枠を背に。夜空に浮かぶシルエット。
工藤は、冷めた頭の片隅で何故か。美しいと思った。
そんな陳腐な言葉しか、今は思い浮かばない。
シルクハットでも、マントでも、モノクルでもなく。
ただその瞳が自分を見ていることが、この上もなく・・・。
芸術的で美しい、と思ったのだ。
ここまで追いつめた自分より、追いつめられた彼より。
この空間の全てが、美しいと、そう思えたのだ。
「・・・オレが欲しいのは・・・。」
誰かの顔が、仕草が頭の中を駆けめぐりそして工藤は答えた。
「・・・誰もいない自分だけの場所。」
真実など告げるつもりはなかったのに、唇をついてでたのは、
限りなく真実に近い答え。
目前の大怪盗は、それを表情一つ変えずに受け止めた。
「わかっているんだろう?」
「あぁ。オレは、不可能なものを望んでいるんだ。」
あり得ないと知っているから。
誰もいない場所などないと。
生き続ける限りこの心の中には、共に誰かが生きていると
知っているから。
静寂。
二人を隔てるものは、何もない、ただこの距離が。
「・・・君の望むものを与えられなくて・・・残念だよ。」
工藤は頷いた。
それは確かに、欲しくて望んでいるものではあるけれど。
風向きが、変わった。
そして、工藤が次に顔を上げた時には。
彼の・・・怪盗キッドの姿はもうない。
・・・お前だって充分、オレからオレの望むものを
奪っているだろ。
さすが大怪盗だ。
瞳を閉じると、美しき怪盗の姿が、浮かんでは・・・消えて。
誰かを想う苦しさから逃れたいと望んだ。
そう、誰一人いない自分だけの場所で。
君を想う苦しみから、この心と身体を
解き放ってやりたい・・・。
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